第3話 8歳になりました(トーマが生まれた街の紹介です)
前半は、トーマの家族と、トーマが生まれた街の紹介です。
後半の本編からでも楽しめると思いますので、お楽しみください。
<< 主人公、家族、街の紹介>>--------------------------------------------
主人公:トーマ・ハサウェイ 8歳。身長 160cm,体重 55kg。金髪でオッドアイ。整った顔立ちをしている。(発育がとても良い、元気な男の子。トーマが生まれた国では、オッドアイの男の子は、大地母神ミレーニアの寵愛を受けて生まれてきた、と信じられている)
姉:マリーナ・ハサウェイ 9歳。身長 130cm,体重 30kg(母に似て金髪碧眼、スレンダーな体系の美少女。元気な女の子で頭が良い)
母:マリア・ハサウェイ 28歳、バスティア共和国、ランカスター辺境伯の3女で、トーマ・ハサウェイの母。封印の祠から現れた魔物の襲撃で命を落としかけたところを、冒険者だったルースに救われた。金髪碧眼の美人で豊満な体系。明るく、優しい女性で、いわゆる理想的な母。
父:ルース・ハサウェイ 34歳、バスティア共和国、騎士。元Aランク冒険者としての功績で騎士に叙勲された。通称は魔剣のルース。領地持ちの騎士であり、専任従士を6名。その他、25名の冒険者兼任戦士を抱える。役目は、封印の祠の警護(従士 1名+冒険者 2名が、交代で24時間警護)。
従士長:バーダック・セントリオ 34歳、準騎士。ルースの仲間で元Aランク冒険者、通称は豪剣のバーダック。妻は、シシリア・セントリオ 33歳。同じく、ルースの仲間で元Aランク冒険者、ハサウェイ・タウンのミレーニア教会のマザーを務める。
子供は3名の男の子。アンドレ(10)、ドゥーリオ(9)、トロワース(7)。
館:少し大きめの地方騎士の館。厩舎と牧場、大きな鶏舎(!)を併設し、柵に囲まれた少し大きめの住居。10LDK。家令兼庭師、メイド、厩者長の3名が住み込みで働いている。
街:ハサウェイ・タウン、人口 800人。バスティア共和国東方のワレス山脈の麓に位置する、小さな田舎街。用水路を兼ねた水堀と、土塁に囲まれている。
気候は温暖で自然(森・水)は豊か、広々とした街。ワレス山脈を挟んで北方は他国と接している。旧 王都直轄領で、東と南は、ランカスター辺境伯領が隣接する。
街の中心には、大地母神を祭るミレーニア教会があり。小さい街ながら、冒険者ギルド、常設市場、主に冒険者・商隊用の宿泊施設・酒場があり、とても活気がある。人々は穏やかで、ルース・ハサウェイは良い領主のようだ。
街の東には、水量が豊富な大きな川が流れ、南側には麦畑が広がる。西には森が広がり、魔物が住む。通称は魔の森。北はワレス山脈へと続く山麓で、穏やかな傾斜が続く。北へしばらく進んだ所にモーリア・ビレッジという、小さな村がある。
街の特産品:肥沃な土地で育つ麦、菜の花から搾り取られる菜種油。山麓から掘り出される岩塩、鶏卵(鶏肉は、ハサウェイ・タウン内で消費される)
村:モーリア・ビレッジ。人口 100人。ハサウェイ・タウンの北西に位置し、南側は草原に面しているが、その他は森に囲まれた山間の小さな村。ハサウェイ・タウンから、馬を軽く走らせて約10分(約5km)。人の往来は多い。林業と農業、狩猟を生業としている人々が住む。封印の祠へと続く道の中継地点。
封印の祠:出口が分厚い石の扉で封印された、山麓の洞窟。石作りの警護兵の詰め所と、狼煙を上げるための簡素な見張り台。馬を休めるための小さな牧場と厩舎がある。モーリア・ビレッジの北西に位置し、馬を軽く走らせて約1時間(30km程離れている)。
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トーマの日課は、早朝の、大地母神ミレーニア教会でのお祈りから始まる。
午前中は、従士長バーダックの息子達、アンドレ、ドゥーリオ、トロワースと一緒に、バーダックから剣技の訓練を受ける。
バーダックは、子供向けの訓練だというのに、全く容赦がない。
「ねえ、バーダック、僕たちのような子供に、そこまで本気で訓練させる必要ってあるの?」
トーマが聞くと、バーダックが顎に手をあてながら答える。
「ふーん、じゃあ聞くが、どこの街に、そんな立派な体格をした子供がいるんだ?坊は、もはや子供ではない。その背格好は、立派な剣士だ。さあ、稽古を続けるぞ!素振り1,000回追加だ!」
「「「えええ!、トーマ様が余計なことをいうからだ!」」」
アンドレ、ドゥーリオ、トロワースにとっては、とんだトバッチリだ。
昼食をはさんで、午後は、姉と一緒に、母から、基礎教育と魔法教育を受ける。
基礎教育は、読み書きと計算。魔法教育も、実技を伴わない座学だけだ。計算問題を解くのに疲れた姉が、母にいつものお願いをしている
「ねえ、母様。そろそろ、魔法の発動訓練をしませんか?ずっと勉強だけでは、魔法は上達しないと思うの」
「魔法を使いたいという気持ちも分かりますが、魔法の制御をする理性を持たない人が魔法を発動させると、どうなってしまうのか分かりますよね?魔法が暴走して、周りの人達にケガを負わせてしまったら大変でしょう?だから、しっかりと、基礎知識を身に着ける事が大事ですよ。さあ、早く計算問題を終わらせなさいマリーナ。トーマは、ずっと前に終わらせてますよ?」
「うそ、この問題って、とっても難しいじゃない。どうやって解いたのトーマ?」
「掛け算は、基本的な計算パターンを記憶しておくと、早いですよ。2×2が4とか、3×3が、9とか。」
「うええ、面倒くさい。勉強つまんない。」
「はいはい、頑張りましょうね。マリーナ?」
「はーい」
と、こんな調子で、剣の訓練と、勉強をする日々が続いていった。
午前中の剣の訓練は、かなりハードなので、毎日続けると、疲れて倒れてしまうのではないか、とマリアは心配しているが、トーマは、いたって元気に日々を過ごしている。
どんなに疲れていても、多少のケガをしたとしても、早朝のミレーニア教会でのお祈りを済ませると『直ぐに元気になる』という特異な体質を持っていた。
(「この回復力が、大地母神ミレーニアさまの言っていた『ささやかな加護』なのかな?」)
と、トーマは思っている。
街の北側には、人の背丈ほどの草が生い茂る、広い草原がある。
ここには、トーマが1歳の頃、誤って(?)逃がした鶏が野生化して大繁殖している。
午後の勉強が終わってから、夕食前までの僅かな自由時間(約1時間)で、野生化して数が増えた鶏を捕獲する事が、訓練を兼ねてはいるが、トーマにとって一番大事な日課だ。
鶏を見つけたら、ソーっと忍び寄って「それ!」と、一気に飛び掛かって素手で捕まえようとする。しかし、飛べないとはいえ、羽根を持った鶏はすばしっこく、なかなか捕まえる事ができない。
運良く鶏を捕まえる事ができた日は、夕食に『鶏の竜田揚げ』が出される。
そう、ハサウェイ・タウンは、小麦粉と、菜種油が豊富にあり、鶏の竜田揚げが作れるのだ。
大好物の『鶏の竜田揚げ』を食べると、何だか、力が強くなったような感じがするトーマであった。
次話、強制(?)イベントが発生します。お楽しみに。