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魔力ゼロの魔法使い ー両親は殺され廃嫡され殺されかけた。だが僕は全てを取り戻す。ー  作者: 士口 十介
オーランド領

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刻印魔法

 ルトルスはカルミラからは一歩引いた位置で取引を行っていた。当然の事の様に公爵家との取引量は減る。

 しかし、悪い事ばかりではない。カルミラと一歩引いた位置で取引していたおかげでカルミラに怪しまれることが無かったのだ。


「それも全て来るべき日の為、あのディラン様のお子であるアイザック様ならきっと立ち上がってくれるだろうと、密かに用意をしていたのだよ。」


「ほう?ではランゴルの状況は?」


「この都市の大部分は私の影響下にある。今ならここの代官を拘束して立てこもることも可能だ。」


 それを聞いたスティーブンはニヤリと笑う。


「それは良い考えだ。ぜひやってもらおう。」


 ―――――――――――――――――――――


 スティーブンとルトルスがランゴルで密談をしていた頃、アイザックも座して待っていたわけではない。

 セルダンとの戦いにおいて気付いた事、自らの欠点や新たな発見を克服、または習得すべく動いていた。


「師匠、今度は何の術式の実験をするのでしょうか?」


 アイザックは館の実験棟で術式の用意をしていた。

 実験棟の長い机の上には各種の薬品の他、様々な紋章の描かれた羊皮紙や魔導書が所狭しと無造作に置かれている。

 そんな中、アイザックは細かく詳細な紋章が描かれた一枚の羊皮紙をリリアに手渡した。


「師匠この紋章は何か特別な紋章でしょうか?私には灯りの紋章の様に見えますが?ただ、付随するものがよく判らないのですが?」


 リリアには中心となる灯りの紋章は理解できた。だがそれの付随する細かな紋章の役目が判らなかった。


「ああ、これは“灯りの杖”と言われる物の紋章だよ。基本的に灯りの紋章と似ているが様々な出力を調整することが出来る紋章が付随している。それとこれも渡しておこう。」


 アイザックがリリアに渡したのは先ほどの紋章を上回るほど細かく緻密な紋章だった。


「これは?」


「戦闘にとくに魔法での攻防に特化した紋章だよ。それは先ほどの紋章が上手く行ったときに使う物だよ。」


 簡単にリリアに説明するとアイザックは自分の右手の袖を二の腕まで捲りあげた。


「リリア、先ほどの渡した羊皮紙があるな。」


「はい、師匠。」


「では、そこに描かれている紋章を私の腕に刻み込むのだ。」


「え!」


 リリアにとっては想像もしていない事をアイザックに頼まれ、思わず聞き返した。


「師匠それは本気なのでしょうか?」


「ああ」


「刻むとすれば呪術ですよね。それはとっても痛いですよ?」


「痛いだろうね。」


「でも必要な事なのですよね?」


「ああ、今僕が持つ欠点を克服する為には必要な事だ。」


 リリアは少し目を閉じて何かを考えるとアイザックに詰め寄った。


「ではまず、師匠の弟子である私に試すべきです。途中で何か問題があるのかもしれません。もし師匠を失うことになれば取り返しのつかない事になります。」


「残念ながらそれはダメだ。最初にそうだな、刻印魔法と呼ぶべきか?この被験者になると言う栄光は渡すわけにはいかないからかな。何、あのセルダンでもできたのだ。君なら、私の一番弟子である君なら完ぺきにこなせるはずだよ。」


「師匠、その言い方はずるいです。」


「ふふふふ。ずるいのも良い魔導士の資質だよ、リリア君。ではやってくれ。」


 アイザックは右腕をリリアの前に突き出すと静かに目を閉じた。


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