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魔法の違い

「呪詛魔法によって僕のこの傷痕の様に魂がそうあるべき・・・・・・物であると変更されている。そのため癒しの呪文で治すことが出来ないのだ。」


 僕は旅の道中、歩きながらリリアに呪詛魔法について教えていた。

 リリアは魔導士としての基本の魔法は全て使えるようになっている。その為、そろそろ違う系列の魔法を教えるべきだったから良い機会だと思う。


 リリアは大変筋が良い。

 魔導士ウィザードの使う紋章魔法は僕よりも上達が早い様だ。これは何の先入観も無い白紙の状態だからだろう。

 僕の場合、貴族院での学習が足を引っ張っている。

 貴族院で教える魔法に関する事は魔術師ソーサーラーに即したものだ。その知識が枷となり紋章魔法の習得を少し難しくしている。


「呪詛魔法とは厄介な物なのですね。“治せない”となるとどの様に対処すればいいのでしょうか……。」


 リリアにとっては少し難しいのかもしれない。リリアは貴族が使う魔法について詳しく知らない。

 確かに呪詛魔法は強力だ。しかし貴族がよく使う魔法ではない。呪詛魔法よりも精神力の消費が少なく発動も早い魔法を使う。呪詛魔法は呪詛を加える分、魔法の発動が遅いのだ。


「対処法は幾つかあるが、呪詛魔法は呪詛の強度を上げるほど発動が遅くなる。だから発動までに呪文を阻止するのが一つ。」


「受ける前に相手を叩く方法ですね。それとは違う他の方法は……そう言えば師匠。解呪リムーブカースは呪詛を解く魔法ですよね?でも呪詛は治せないから?あれ????」


 リリアの言う通り呪詛は治せないのに呪詛を解く解呪リムーブカースが存在するのは意味が無いように思える。

 だがそれは呪詛が即座に成立する魔法であった場合だ。


「呪詛魔法は呪詛が完成するまで一定の時間がかかる。その間に呪詛を解くのが解呪リムーブカースだよ。」


「呪詛を受けてもすぐに解呪リムーブカースを使えば対処は可能という事ですか……。」


「そう、それが呪詛の欠点。ただ中には呪詛が完成するまで対象となった者に深刻なダメージを与える物がある。その為、わざと完成を遅くして苦しませる事もある。」


 セルダンが僕に使った呪炎カースフレイムがこの類いの呪詛だ。実際、一月あまり痛みは引かなかった。


「師匠、解呪リムーブカースを使っても解けない様な強力な呪詛はないのですか?」


「呪詛を使用した者と解呪リムーブカースを使用した者との力量差があるならあり得る。だけど、同じぐらいの力量なら間違いなく解くことが出来る。これは魔法の強度が低いからだ。」


 強力な魔法を使う場合は魔法の回路が大きく複雑になる。

 魔術師ソーサラーの場合、どこまで魔法回路を大きくすることが出来るのかは個人の魔力(内面)により変わる。

 呪詛魔法は通常の魔法に呪詛と言う要因が加わるので魔法回路が呪詛の分大きくなる。その為、魔法を強くする為の魔術回路を呪詛の無い魔法よりも大きくすることが出来ない。


「ちょうどいい機会だから、僕たち魔導士ウィザードが使う魔法と魔術師ソーサラーが使う魔法の違いについても教えておこう。」


「……違いですか?」


「大きな違いは魔導士ウィザードが使う紋章魔法は魔術師ソーサラーが使う魔法よりも発動が極めて遅い事だ。魔導士ウィザードが使う紋章魔法は魔術師ソーサラーが使う遅い魔法である呪詛魔法よりも発動が遅い。」


 この差はどうやっても覆らない。

 魔術師ソーサラーは魔術回路を自分の中に作る。対して魔導士ウィザードは紋章回路を外に作る。その差が魔法の発動に影響しているのだ。


「だがその反面、魔術師ソーサラーには魔術回路の大きさに個人制限がある。だが、魔導士ウィザードの紋章回路には大きさの制限が無い。つまり、そうだな……。」


 丁度森に差し掛かってきたところだった為、今日はこの近辺で野営すべきだろう。

 場所は森に少し入った所、木々で道側から見えにくい場所がいい。

 その場所に移動した僕は杖を取り出し大きな紋章を描く。


秘密基地セーフハウス


 魔法の完成と共に木々の間に小さな家のような物が出現する。


「!な、何ですか!?この家のような物は??」


 秘密基地セーフハウス。半日ほど効果のある魔法で安全な家を作り出すことが出来る。

 この魔法は複雑で大きな紋章回路を描くため魔術師ソーサラーでは大きすぎて不可能な魔法だ。


「この家なら魔獣に襲われても安全だ。それにベッドやトイレ、風呂もついているので快適に過ごせるぞ……ん?」


 リリアは僕の家を見ていない。別に何か気になることがある様だ。


「師匠、誰か底の茂みに隠れています。初めは鹿か何かと思ったのだけどどうも違う様な……。」


 その時、茂みからガサガサと音がして子供が一人ふらふらと歩み出た。

 だがその姿は僕が今まで見たことの無いような姿だった。

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