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セルダン・ラフォテリア

 オーランド家に来た時、カルミラは一人の少年を連れていた。

 名前を“セルダン・ラフォテリア”カルミラの一人息子だそうだ。


 金髪碧眼白い肌。鼻筋はすっきりとしており整った顔をしている。背丈は僕と同じぐらい。年齢も同じ十歳だ。


 「こんにちは。僕の名前はアイザック……」


 僕の挨拶の途中でセルダンはカルミラの後ろに隠れてしまった。その時セルダンはこちらをちらりと蔑むような眼で僕を見た。父上の位置からはセルダンの表情は見えない様だ。それを判っているのかセルダンは蔑むようにニヤニヤ笑っている。


「セルダンは人見知りの様だな。アイザック、セルダンと仲良く……。少し疲れた。」


 父上はそう言うとベッド上に横になった。倒れてから何日も立つが病状はなかなか回復しない。主治医のハイデマン先生は母上が倒れた事などの心労が積み重なったのだろうと言っていた。


 父上が眠ったのを見計らい僕やカルミラたちは寝室を出る。カルミラは我が物顔で執事のスティーブンやメイドにいろいろ指示を出している。


「それとアイザック、明日からあなたとセルダンの剣術の稽古の為に剣士の先生を手配しています……セルダン、アイザックと剣術の稽古をするように。」



 次の日の朝、いつもの様に剣術の訓練場へ行くと新しい剣術の先生が来ていた。セルダンはまだ来ていない様だ。


「お前がアイザックか。俺は今日からお前に剣術を教える”グレオ・マーゼル”、元王国騎士団員だ。」


 新しい剣術の先生は元王国騎士団に所属してた”グレオ・マーゼル”と名乗った。家名があるので貴族の身分はあるのだろう。くすんだ金髪でとび色の目、中肉中背で父上より少し若いように見える。


 軽く準備運動を兼ねて走りこんだ後、グレオと木剣での稽古をすることになった。

 グレオに言われるまま数分の間、木剣を打ち合わせる。


「……予想より……とりあえず……」


 打ち込み稽古の間、グレオは何やらブツブツ呟いていた。

 グレオは元王国騎士団に所属していただけあり剣術の腕はそれなりに出来るようだ。が、父上と比べると今一つの様な気がする。


「とりあえず、セルダンさ……セルダンが来るまで訓練場の周りを走っていろ。」


 その日、セルダンが来たのはそれから一時間後、僕が走り込みで疲労困憊になった時だった。


「今日から私が父上に代わり兄上の剣術の相手をいたします。」


 セルダンはやって来るなり木剣を構えた。


「待て、セルダン。今は走り込みの後で……。」


「それは素晴らしいやる気ですセルダンさま・・お互い実力を見せるいい機会ですね。」


 体力を消耗した状態でまともに剣が振れるわけがない。僕はセルダンを止めようとしたがグレオが割って入った。


「待て、グレオ。今は体力が……。」


「隙あり!」


 棒立ちのままの僕にセルダンは木剣を何度も振るう。木とは言え訓練で打ち合う事もあるのでかなり硬い木が使われている。何度も繰り返される打ち込みで顔は腫れ上がり所々に血がにじむ。


「疲れて体力スタミナがない?魔法の一つでも使ったらどうです?失礼、兄上は魔力無しの出来損ないでしたか。」


 そんな僕を見てセルダンはせせら笑う。


「さて、兄上。傷を負ったままでは父上も心配なさるでしょう。治して差し上げますよ。グレオ!」


 セルダンに命令されグレオは僕に回復の呪文を使い僕にささやく。


「オーランド公爵も大変だよな、回復魔法も使えない出来損ないが跡取りとは。これでは気苦労も絶えないだろう。治る病気も治らないと言う物だ。」


「……」


 僕はグレオに言われ反論することが出来なかった。グレオはニヤリと笑いながら立ち上がる。


「流石はセルダン様です。良い太刀筋でした。ここまで腕に差がありますとアイザックには基礎からやり直してもらう必要がありますね。」


 この日から僕は朝早く訓練場の周りを走らされ、セルダンに打ちのめされては回復される日々が始まった。

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