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魔力ゼロの魔法使い ー両親は殺され廃嫡され殺されかけた。だが僕は全てを取り戻す。ー  作者: 士口 十介
冒険者

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帝国情報部

 物品を示すはずの魔法の矢がその場でくるくる回り方向を示さない。


 これは対象の物が途方もなく遠くにあるか、魔法の収納鞄ホールディングバックに入れているか、すでに失われている場合に起こる。

 時間から考えても物品探査ロケートオブジェクトの範囲外に移動したとは考えにくい。そしてガストンさんは魔法の収納鞄ホールディングバックを持っていない。


「ガストンさんの剛拳はたしかミスリル製だったはずだ。それが失われている?それにしては戦闘跡がきれいすぎる。」


「イザークさん……。」


 リリアちゃんが真っ青な顔をして近づいて来た。手には小さな鞄を持っている。たしかあれはモーリスさんが使っている仕入れ用の魔法の収納鞄ホールディングバックだったはずだ。


「おとうさん、お父さんの短刀が無いの……、この短刀と御揃いの……。」


 リリアちゃんは黒い鞘に入った短刀を僕に見せた。

 柄の部分に黒い帯状の皮の様な物が巻かれ金の飾りで止めている。鍔や金の飾りも細部に意匠をこらした物だ。東方の国で作られた脇差と言う物に見える。


 だが待てよ?


「リリアちゃん。その短刀を少し貸してくれないか?揃いの短刀ならもう一つの方のありかが判るかもしれない。」


 リリアちゃんは少し考えると僕に短刀を差し出した。僕はその短刀を使い、物品探査ロケートオブジェクトの魔法を唱える。魔法の矢はしばらくクルクル回っていたが次第に回転がゆっくりとなり、一つの方向を示した。


「……この先にもう一つの短刀があるはずだ。」


 魔法の矢は裏庭の奥を示していた。僕とリリアちゃんはその方向へゆっくりと進んで行いった。しかし、ある地点を過ぎた時、今度は宵町亭の方角を示す。


「これは!」


 今度は更にゆっくりと矢の方向がどの時点で変わるかを確認する。先ほどよりもさらに遅くゆっくりと進む。

 見ている前でクルリと矢が動いた。僕は変化のあったその場所をくまなく探索する。


キラリ


 変化のあったその場所、丁度雑草の影に隠れて短刀の刃の一部らしいものが光っていた。刃は綺麗に丸く切り取られた先の部分の様だ。

 だがどうやってこんなの綺麗に切り落としたのだろう?断面の角で手が切れそうなぐらい綺麗に、そして滑らかに切り取られている。


 僕は短刀の刃の一部を手に考えを巡らせていた。


 その為、あの男の接近に気がつくのが遅れることになった。


―――――――――――――――――――――


 細身の男、アルタイルは神殿の執務室で体を休めていた。

 彼が所属する帝国情報部が迷宮都市ルヴァンで活動する場合、神殿を拠点にしており、彼の部下もこの神殿に所属している。


 今日の作戦、宵町亭と言う名前の宿を襲撃し首謀者を確保する作戦は成功した。

 少し手ごわいであろうと考えていた、元剣士と拳闘士はいつもの方法で無力化することが出来た。彼ら二人の意志は固い。特に剣士の方は一緒にいた女を殺したのが不味かったようだ。

 この二人は折れることは無いだろう。ならば、いつもの様に消え去ってもらうまでだ。


 作戦は成功したのだが、私の頭に少し引っ掛かる点が出来ている。


 ルヴァンでの異音は半年前から確認されていた。

 当初、異音を発生させていた人物は用心深いらしくなかなか尻尾を掴ませなかった。帝都での案件、試練の迷宮における調査が無ければ私が一から調べ上げる案件だ。


 だが、この数日で簡単に身元が割れた。


 おかしい。


 何故こうも簡単に身元が割れることを行ったのだろうか?

 当初の用心深さの欠片も感じられない。


 私がその違和感の理由を考えていると部下が驚く報告を持ってきた。


「サムという男は最近異音を鳴らし始めたばかりだと!」


 これで合点が入った。もう一人、魔道士(ウィザード)が存在するのだ。


「新目標の魔導士ウィザードは私が確保する。お前たちは万が一に備えろ。逃亡された場合の対応、所定の場所にて待機せよ。」


 アルタイルの部下達は敬礼をすると一目散に駆け出していった。


「よし。これで万が一に私の手から逃げる事があっても捉えることが出来る。そして私にはこれがある。」


 アルタイルは懐からこぶし大の水晶球を取り出し確認する。表面に複雑な文様、魔導回路が見える。どうやら何らかの魔道具の様だ。アルタイルは2、3操作し何かを確かめている。


 アルタイルは魔道具の作動に問題が無いことを確認し懐にしまうと部屋を出ていった。

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