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銀の仮面

 帝都には各地方から必要以上に物資が集められ、それらを必要とする地方に運ばれる。

 その運搬を担うのが隊商である。隊商は毎日どこかの地方へ移動しており、それらの護衛としての冒険者の需要は高い。


「シスターベルモットの手紙は、お前をその隊商に加えてよその都市に送ってくれと言う事だ。何にも出来ない奴だったら職人見習いか最悪、奴隷と言う形で送り出すが、お前は斥候スカウトとして護衛に加わるのが良いだろう。どの隊商に加えるかは追って連絡する。それまでの間、救護院で待機しておいてくれ。あと……」


「あと?」


「いつまでも包帯をしているわけにはいかないだろう。雑貨屋で仮面マスクでも買っておけ。」


 包帯の代わりの仮面マスクか……たしかに僕には必要な物だろう。どの様なものが良いだろうか?

 それらを含めシスターベルモットに報告する必要があるだろうし、他のシスターやステラ達に別れの挨拶はしていない。僕は足早に救護院への道を急ぐのだった。


―――――――――――――――――――――


 シスターベルモットの紹介でやって来た新人が帰った後、影の中からリバルに声をかけた。


「リバル、いまのやつイザークと言ったか。」


「ん?そうだが?ユーイング気になるのか?」


「……あやつ、私の気配に気づいていた様だぞ。」


「ほう、それはすごい。期待の新人斥候スカウトと言ったところだな。」


「機会があれば私自身が鍛えてみたいところだが、訳アリなら仕方あるまい。ところで奴は何処へ移すつもりだ?」


 リバルは地図を見ながら少し考える。彼の頭の中には地方貴族の冒険者間の評判や報酬の支払い状況が入っているのだ。その情報に従い冒険者を各町に派遣する。だからこそギルド長を務めていると言えた。


「昔ならオーランド領が良かったが、領主代行になって雲行きが怪しくなってきている。イザークの能力を鍛える事を考えると……ルヴァンか。」


「ルヴァンへ行く隊商なら三日後に出発だ。それに混ぜるのがよかろう。」


「そうだなあそこはダンジョンがあるおかげで隊商の行き来も多い。ルヴァン伯爵は前のオーランド公と親交が深かったためか冒険者の扱いも良い。問題は無いだろう。」


―――――――――――――――――――――


 僕の為にささやかながら救護院で出立式なる物が催された。この出立式は救護院から世の中に出てゆく者を祝うものだ。

 出立に当たってシスターやステラがお祝いの品を贈ってくれた。ギルド長に聞いたのだろうか?彼らの贈り物は火傷の跡を隠す銀色の仮面マスクだった。顔の上半分に集中している火傷を隠すタイプの物だ。口の部分は開放されている為この仮面マスクを着けたまま食事をとることが出来る。

 シスターやステラ達と別れを惜しんだ後、僕はギルドにやって来た。顔には救護院でもらったマスクを着けている。


 部屋に入った僕の姿を見るなりギルド長は驚きの声を上げた。


「うぉ?!って、イザークか。……まあいいか、包帯よりそっちの方がましだな。」


 やはり仮面をつけているのは奇異に映る様だ。普段はローブで隠していた方が良いだろう。


「来てすぐで悪いんだイザーク、隊商に就く他の護衛のメンバーは門に集まっている。中にはそのままルヴァンに留まる者もいるから色々と打合せ中だ。急いだ方がよいだろう、すぐ門に行ってくれ。」

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