表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/82

迷宮探索の課題

 流石に半月ほど貴族院で過ごせば試験の配点もわかるようになってくる。試験は毎回赤点ギリギリにすることが出来たのと、同じ第四寮の仲間の助けもあり、セルダンのイジメはあまり受けないようになっていた。


 そうこうしているうちに、一年が過ぎた。


 貴族院ではダンスパーティーや新年会といった行事が有ったが、第四寮の者は女子に相手にされない。その為、そういった行事とは無関係に過ごしていた。

 行事の間、僕はもっぱら図書館に篭り、貴族院の蔵書を読んでいた。この場所ならセルダンが入ってくることはない。その上、出費なしで魔法関連の勉強ができる為、一石二鳥なのだ。


 やがて一年が過ぎ、第四寮の三年生の先輩が卒業し僕らが二年に上がる。貴族院では二年生からダンジョン実習、試練の迷宮と言われるダンジョンでの実習が始まる。


 試練の迷宮は最下層迄の階数が十階しかない比較的浅いダンジョンだ。浅いからと言って危険が無いわけではない。階が下がるごとにダンジョンの難易度は等差級数的に上がる。

 その為、深い階層では場合により死亡する危険もはらんでいた。


 貴族院での実習は三年までの間に五階層にたどり着くことである。貴族にはそれなりの実力も必要なのだ。それ以外にも錬金術で使う材料を調達するのにも使われている。街で買うよりも安く高品質の物が手に入るのだ。


 この実習は何人かのパーティを組んでもよく、最低一人の外部協力者が必要である。その為、名門貴族の子弟は数人の腕利きの冒険者を多数雇い迷宮に挑む。

 セルダンはガラの悪そうな冒険者を数人引きつれ迷宮に挑んでいる。セルダンが雇った冒険者のほとんどが上級と言われる連中らしい。


 ただ金銭的の余裕のない貴族の子弟などは仲間同士でパーティを組み迷宮に挑む。その場合、雇う冒険者は比較的安価な者になる。(仲間同士で出しあっても、である)


 僕たち第四寮の連中もその例の通り、第四寮の二年生でパーティを組み安価な冒険者を一人雇っていた。

 彼女はオディッタと言う名前で冒険者の職業クラス斥候スカウトだ。オディッタによると冒険者の実力は等級であらわされ、上から順番に、白金プラチナ黄金ゴールド白銀シルバー黄銅カッパー黒鉄アイアン丹銅ブラス青銅ブロンズティン辰砂レッド白木ホワイト。彼女は中級が目前の錫級、あと少しで丹銅級になれると自己紹介された。彼女の話によるとセルダンが雇った冒険者は黒鉄級であるが、かなり評判の悪い連中らしい。


 オディッタは錫級ティンと言っても斥候スカウトである為、僕らにはない冒険者の知識を良く知っていた。少しお金はかかったが彼女を雇ったのは正解だったと思う。


「雇ってもらったのはありがたいですが、あなた方は貴族なのですからもう少し等級ランクの高い丹銅ブラスの方が良かったのではないでしょうか?私は初心者よりはましですが、まだ中級ではありませんよ?」


「オディッタさん。貴族にもいろいろあって、僕らの様な貧乏貴族は良くて錫級までしか雇えないのですよ。その錫級でもバイトをしなければ雇えません。」


 ロバートの言う通り、僕らでは彼女を雇う為にアルバイトをする必要があった。一日や二日ではなく長期間雇う必要があったからだ。

 ロバートやマルクスは体力があり体が丈夫なので前衛、アーサーやフィリップは魔法が使えるので後衛、僕もロバートほど剣術が優れていないが魔法が使えないので前衛にいる。

 それに斥候スカウトのオディッタさんが加わることでバランスの良いパーティになった。その為か迷宮に潜り始めて一月足らずの内に第三階層にたどり着いた。

 ただ、この三階層、今までの階層とは違い下に降りる階段の前の部屋にボスがいるそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ