5話:鮎の友釣り1
その後、来た道を帰り12時過ぎに実家に着くと、すく食べられる様にしてやると言い、母の静子さんが米のとぎ汁を大きな鍋に入れて取ってきた大きなタケノコ4本を切って煮込んだ。その時に以前もらったカニの缶詰を入れた卵焼きを作って昼食に出すと美味しいと言い、しっかり御飯を食べて
、タケノコのあく抜きにちょっと時間がかかると言い、明日にならないと、えぐみが取れないと言った。明後日には勇三に届けさせると言い3時頃に山田さんの兄弟が帰っていった。明後日の5月10日に勇三が山田さん家に大きな鍋に入った茹でてあく抜きして食べやすい大きさに切ったタケノコを持って行った。すると山田静香さんと、お母さんの絹子さんが包丁で切って食べると美味しいと言って喜んでくれ、こんなに良いんですかというと大丈夫ですと勇三がぶっきらぼうに答えた。
絹子さんが悪いわねと言い、ちょっと待ててと言い大きな袋にかりんとうの缶とおせんべいの長方形の缶とビスケットの丸缶を入れて持って行ってと言うので、すみませんねと言い,もらって帰って言った。勇三が家に着くと、お菓子をいただいたと缶の入った袋を見て、これ町田のデパートでしか売ってない高級品だといって、こんな高い物もらうなんてと驚いていた。夕方、父が帰ってきてお茶を飲みながら、かりんとう、おせんべい,ビスケットを食べると、今迄食べたことのない上品な甘さと、辛さ、バターの良い香りがした。その後、すぐに母が山田さんの家に、お礼の電話を入れた。
「かんこ焼き」は山菜、茸、小豆、かぼちゃ、さつまいも、切干大根、漬物など季節の具材を小麦粉の生地で包んで焼いて蒸した料理。以前は随分食べさせられたものだった。
今度遊びに来るときには、鮎釣りに連れて行ってあげるからといった。翌週の休みに、朝9時に山田賢一さんと静香さんが江成家に来て、鮎釣りの現場を見せていただけますかと聞くので、君たちはやらないと聞くと、始めてなので釣るところが見たいだけですと言うので了解と言った。ちなみに釣る時には入漁料、1日、成人1500円だと教えると良い値段するんですねと言った。そして山田賢一さんの運転する車で相模川の鮎の釣れる場所へ行き、おとりになる鮎を買って、釣り具に装着して、オトリを水中に、足元から沖へと送り出す。流れに対して45度くらいの角度で下流側へと導いてから、立ち上がりながら竿を立てて糸を張り、オトリが出ていくように誘導してやる。
次にオトリが出て行くのに合わせて腕を伸ばす。伸ばしたサオ先の真下あたりまでオトリが出たら、もう一方の手をサオに添えて構える。下流側の手で竿尻を握り反対の手は指先で軽く支える程度にして、竿先に伝わるオトリの動きを感じるようにする。竿と水面の角度を30度程度にして1箇所でしばらくオトリを泳がせる。川底まで沈んで元気に泳いでいるのがオトリの理想的な状態だ。サオを寝かせると、オトリを底へ沈ませやすい。また、糸を張りすぎるとオトリが浮いてしまい、緩めすぎると仕掛けが絡むなどトラブルの原因になるので、ほどよい状態を保つのがポイントだ。この状態で5分以上アタリがなければ次のスポットへ。いったんオトリを引き上げて再度送り出してもいいし、竿でオトリを引いて別の場所に移動させる。これで、始めて20分位しても、うまくいかなかった。