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二話

 お、俺TUEEE!

 右手には装填数と連射性が高くスキル『貫通』付きのオートマチックの拳銃、左手には今の外見と合わせ日本刀をチョイスしドキドキの初の対人戦。

 結果は地面に転がる山賊が一ダース、初めてのちゃんとした戦闘は難易度的にはイージーの以下の楽さで終わった。

 機械の体のおかげか、集中すると相手の動きがゆっくり見え、手足は想像した通りに動き、さながらアクション映画のワンシーンのようだった。

 本当のドキドキはこれからだけど。


「ケガは無いか、お二人さん」


「あり「危険ですご主人様!」」


 周囲の安全を確認してから武器をしまい、二人に近づいたのだが早速警戒された。


「でもこの人は助けてくれたよ?」


「しかし、賊に情けを掛けています!」


 二人の反応は、子供は好意的でメイドは不信感マシマシといった感じか。

 まあそれはしょうがないよね、自分は誰も殺していないんだし。

 山賊達を見ると、血こそ流れているが「うぅ…」とか「いてぇよう…」とか言って悶えていた。

 自分は刀では肩や腕に峰打ち、銃では足の甲に向け発砲していた、痛いだろうが死ぬよりはマシだろう。

 決して真っ二つになったり、ぶちまけられた内臓を見たくなかった訳では無いよ?

 決して。


「あっあの!」


 メイドの方が根負けしたのか、子供が声を掛けてきた。


「大丈夫だったか?」


「はい! ありがとうございました!」


 アーマーを見回しながら興奮して近寄ってくる子供、この熱い目線には親近感があった。

 そうそれはヒーローだ、ヒーローショーを見に行って握手をしてもらった時の昔の自分そっくりだ。

 ならばその期待に答え、それらしく振るわなくてはなるまい。

 片膝をつき、子供の目線まで背を低くし頭を撫でる。


「助けられたのは君達が諦めずに頑張ったおかげだ」


 自分が観察をしていた時、この子供が炎を出して牽制し、その隙をついてくる敵をメイドが勢い良く殴り飛ばしていた。

 恐らく山賊達はこの二人を生け捕りにする為に、包囲した後わざと攻撃をさせ体力を消耗させていた最中だったのだろう。

 山賊達は数も多く、ダメージを受けた者は後衛に回復してもらえば後は時間の問題だ。

 到着が遅ければ、最悪な事態になっていた。


「でも助けてくれたのは貴方です。それに勇者様みたいでかっこよかったです!」


「特別な事はしていない、困った人を助けるのは当然だろう? だだ、それが君達でたまたま解決できる力を持っていただけさ」


 かつてテレビで熱中したヒーローを思い出し再現する。

 それが子供の感性に直撃したのか目線が更に熱くなる、この良さが分かるとは将来有望な子だ。


「そうですね、素晴らしい方ですね。では早く行きましょう、今から私が全力で走れば都市には夕暮れ前には着くはずです」


 子供との良い雰囲気を壊して引きはがそうとするメイド、お前はおもちゃ屋で夢中になっている子供を無理矢理連れて行こうとする母ちゃんか。


「すみません、普段はいい人なんですが戦闘の後なせいか気が立っていて」


「気にしなくていい、それだけ君が大切なんだ」


「気にしなくていいそうですよ? さすが賊を見逃せる心の広い方です」


 風当りが強いのはそれが原因か。

 山賊達はこのやり取りの間に、一人残らず逃げ出していた。


「勘違いしないで欲しい、これにはちゃんとした理由がある」


「そうですか、例えばあいつらが舎弟だからとか?」


 めっちゃ警戒してるよメイド、今気付いたけど尻尾が立ってるし。


「質問に質問で返して悪いが、ケガを負い慌てて逃げるとしたら何処に行くと思う?」


 自分の考えをメイドは察し若干警戒心が弱まったのか、尻尾が下がっていく。

 これはチャンスと思い、観察していた時に思い付いた推理を披露する。


「まず身なりが良い君達がこんな場所でどうして襲われていたのか、恐らくさっきの発言から思うに都市に移動しようとしていたら馬車乗った商人あたりに声を掛けられたんじゃないか? 『もし良かったら、一緒にどうぞ』と、そして乗ってある程度移動したところで、馬車から落とされ山賊に囲まれた違うか?」


「そうですが、何故そんな事まで?」


「車輪の跡と足跡の深ささ」


 地面には戦闘で荒らされているとはいえ、遠くから見た時には一直線に四輪車に近い物が走った後と蹄の跡が残っていた。

 もしかしたらと思っていたが、だいたい合っていたようだ。


「普通馬車を止めたいならまず進行方向を塞ぎ反転するか左右に移動しようと悩み隙が生まれたところで包囲するはず、しかし跡は途中で深くなっている場所があるだけで一直線に進んでいる。これは躊躇せずに加速した証拠だ。馬車と山賊はグルだったんだな、馬車の跡と同じ方向に山賊が逃げてる」


 二人が関心しているのが雰囲気でわかる、推理小説や漫画を読み漁ってて本当に良かった。


「一網打尽にする絶好のチャンスだ、急がせてもらう」


 そもそも本命は山賊達の方にある、これ以上話を長引かせて素性や使った武器について質問されると面倒だ。

 勇者やら都市やら気になる単語がいくつかあったが、本命を逃がすわけにはいかない。


「二人とも気を付けて」


 しかし、よせばいいのに余計なことを思いつく。

 せっかくヒーローのように現れたのだ、どうせなら去る時もヒーローっぽくいこう。


「とぅッ!」


 移動用アイテムの一つである、非武装のバイクを召喚し前方宙返りをしながら飛び乗る。

 そして、二人に手を一回だけ振り、アクセルを開け全速力でこの場から立ち去る。

 一度でいいからやってみたかったんだよねこれ。


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