作戦会議…そして現実
弘津さんのあの動画公開から1か月…
俺と天木さんは…いや、啓示を受け取った人たちと神社庁関係者は、大阪府大阪市にある長堀橋というところにある貸会議室で会議をしていた。
一部ここまでの交通費が捻出できずにインターネット電話を介して参加している人たちもいるが、半分以上の人たちは現地へ赴き、こうして顔を合わせている。
貸会議室のお代は弘津さんが稼いだ広告料から出ている。頑張って稼いだお金なので、それなりに意義のあることを話すように心がけたい。
「では、第一回南海トラフ巨大地震の啓示を受け取った人たちの会議with神社庁を始めます。 今回はこの案件の拡散方法と署名の方法について話し合います。」
この会議で様々な拡散方法と署名の方法が出た。
拡散してもらう方法としては、TwitterやFacebookなどを用いて拡散する方法、国土地理院やJAMSTECにかけあって南海トラフ地震の震源域について調査を要求し、異常が見つかれば気象庁にそれを報告、マスコミに拡散してもらうなどの方法が、
署名の方法については、インターネット上にそのための掲示板を開設し、そのサイトのURLをTwitterやFacebookなどの投稿に貼り付けて署名を募る方法、マスコミに拡散してもらった時に電話で署名を募集する方法、などが挙がった。
議論の末、拡散の方法は後者の方法が、署名については前者の方法に決まった。
ちなみに、拡散の方法を主に実行するのは鹿児島県で啓示を受け取った枕崎さんが、署名の方法は主に俺が中心になって実行することとなった。
家に帰った俺は、さっそくホームページ作成ソフトを開き、掲示板を作るために奮闘した。ニート歴10年の俺が10年間かけて身に着けたスキルを駆使し、ホームページを作っていく中で、不意にどこからか声が聞こえた。
「ご尽力ありがとうございます。心より感謝します。宮坂智和とその仲間たち。これで日本は救われました…(泣)」
「いやいやいや!泣くタイミング早すぎるから!ていうかどうしたの?」
「実は…あ!『てれび』というものを見ればわかりますね。それでは!」
「おい!ちょっと待てよ!」
その時、俺はこれが夢であることに気づいた。目を覚まし、NHKのチャンネルに合わせた時、突如赤字で「避難勧告」という文字が画面に出てきたのに気づいた。
どういうことかと首をかしげながらデータ放送のニュースを見たら、臨時ニュースのあのチャイムが鳴ると同時に臨時ニュースが始まった。
!?何があった!?
そうこうしているうちにテレビ画面の中に映るアナウンサーが言い始めた。
「海洋研究開発機構、通称JAMSTEC及び気象庁が発表した情報によりますと…」
緊迫した赴きで話すアナウンサーとそれを緊迫した表情で見る俺がいた。
アナウンサーは続けた。
「南海トラフ地震の震源域である高知県沖の海洋調査を、本日14時16分ごろ実施し、採取したサンプルを検査したところ、ひずみがいつ地震が起きてもおかしくないほどに蓄積されており、5か月以内に南海トラフ地震が起きる可能性が100パーセントであることが分かりました。そのため、今から読み上げる地域では、避難指示などが発令されております。高知県の…」
この時、俺は凍り付いた。逃れようもない現実と、あの天照大御神が予言したことが当たってしまったということ、そして…
対処法を進言しなければ南海トラフが起こり、関東以西の太平洋側の都市はほぼ修復不能の壊滅状態に陥ることが証明されてしまったということ。
あぁ…ちくしょう!ちくしょう!ちくしょうめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!…
俺は語彙力を失い、その日は1日中泣き、わめき続けた。
3月9日、このニュースが流れた日を、俺の中では「悪魔の日」と呼んでいる。




