第7話 未来と過去の艦魂の違い
久々の桜の更新です。
ではどうぞ
結局桜は途中で会った兵に案内してもらい見知った場所まで来ると兵は帰って言った。
さて戻るかと歩き出した桜だったが…
「貴様なんだその恰好は!」
「な、何よあんたいきなり!」
そんな怒鳴り声を聞き桜は足を止めた。
扉を見ると少々大きめの扉だった。
そして、声は両方聞き覚えのある声だったので桜は扉をノックしてから扉を開けた。
「ひっ!」
思わず引くほどの殺気が桜に流れてきた。
部屋の中を見ると竹刀を持った軍服姿の金剛の艦魂、柚子と黒いワンピース姿の凛がいた。
柚子は振り返り凛は桜の姿を認めると
「桜!」
「む?桜か?」
と言うと殺気が少しだが収まった。
「ど、どうしたんですか2人共?」
とりあえず誰かに見られてもまずいので扉を閉めてから桜が言うと柚子は再び殺気を噴出させた。
「どうしたもこうしたもない!見ろこいつの服装を!」
柚子は竹刀で凛がいる方を指した。
「な、何か問題なんですか?」
桜が聞くと柚子は頷き
「軍務中に私服になるなど我が連合艦隊の規則に反している。だから、こうして注意をしてるのだ」
なるほどと桜は思った。
確か昔の海軍は鉄拳制裁が当たり前に行われていたと聞く。艦魂達にもそんなルールがあるのかもしれないが…
「そ、そんなもの古い伝統よ。だから、あなた達はアメリカに負けたのよ」
その瞬間柚子の怒りが更に増した。
ビリビリとまるで暴風でも浴びているような感覚に桜は陥り凛も一歩引いた。
「神国日本が負けるだと!貴様もう一度いってみろ!」
バシと竹刀を床にたたき付ける柚子
「な、何度でも言ってやるわ!日本は1945年にアメリカに無条件降伏したのよ。伝統なんてくだらないものに縛られた結果よ」
「貴様!」
柚子は竹刀を振り上げた。
「ひっ」
凛は目をぎゅっとつぶる。
「海軍魂叩き直してやる!」
まずいと桜は思ったがどうにもならない。
自分はただの学生であんな鬼のような艦魂に立ち向かう力はないのだ。
「はい、そこまで」
柚子の竹刀が振り下ろされる直前に桜の後ろから声がかかった。
桜が振り向くと日向 恭介が立っていた。
「き、恭介」
凛は泣きそうな顔になりながらも必死で涙を見られるものかと堪えながらその男の名を呼んだ。
「誰だ貴様は?下士官ではないな?」
柚子は竹刀を降ろしてから恭介を見た。日本海軍のものとは細部が違う2042年の海軍の制服を着ている彼は柚子の元まで歩いてくると凛を庇うようにたつと軽い笑みを浮かべながら敬礼した。
「2042年の最後の連合艦隊司令長官兼機動戦艦『紀伊』の艦長、日向 恭介大将だ。ま、2042年の話だけどな」
柚子は目を丸くした。
「2042年…大将だと?」
「そうだ。この『紀伊』は2042年の世界から歴史を変えるためにこの時代にやって来た。日本を滅びの運命から救うためにな」
日向は柚子を見ながら言った。
柚子はちらりと凛の方を見て
「ふむ、確かに我々の戦艦の主砲を受け無傷だったことと山本長官が貴様に会ったことを考えれば信じられない話ではないが…」
柚子は再び殺気を噴出し
「だからと言って規律を見出していい理由にはならん!そこをどけ!」
日向はやれやれと頭をかきながら
「固いやつだな…炎樹の言ってた通りだ」
「貴様ぁ」
その瞬間ひゅんとすさまじい速度で日向の横を竹刀が空を切り地面にたたき付けられる。
一瞬日向の耳を僅かに掠めた音を桜は聞いた。
「なっ」
凛が目を見開いて柚子に何かを言おうとしたが柚子のもし、蝦がいれば殺気だけで殺せるほどの怒りを発す柚子に声をつぐんでしまう。
桜に至っては殺気でぴくりとも動けなかった。
柚子は恭介をにらめつけ
「炎樹…これは三笠殿の真名だ。貴様艦魂の真名を認められずに呼ぶなど死ぬ覚悟あってだろうな?」
しかし、恭介は回りが固まる中余裕の笑みを崩さなかった。
「認められたんだよ。まあ、呼ぶなと言うなら本人の前以外では呼ばないさ。認められたと言っても2042年の機動戦艦『三笠』の炎樹だけどな」
「いい加減なことを…」
「じゃあさあ賭けをしないか?」
「賭けだと?」
柚子が言うと日向は頷いた。
「今からお前と俺で試合をするんだ。お前が勝ったら真名のことを謝罪して凛にも日本海軍の艦魂のルールに従わせるよ」
「ほう」
柚子は感心して言った。
「男に二言はないな?」
「ないさ、ただし俺が勝ったら凛や未来の艦魂達はこの時代の艦魂のルールに縛らせないというのはどうだ?」
「いいだろう。鈴…長門の艦魂だがあいつを始めとして他の艦魂達にも私が話そう。約束を忘れるな?」
「もちろん」
恭介は微笑んで言った。
「ふん…それで試合はいつだ?今からでも構わんぞ?」
恭介は少し考えるようにしてから
「ここでやるのもな…3時間後に紀伊の前部速射砲のある甲板でどうだ?」
「いいだろう。約束を忘れるな」
柚子はそういうと光に包まれてその金髪を揺らしながら転移の光に消えた。
「だ、大丈夫なんですか!」
柚子が消えた瞬間、桜は恭介に言った。
「何が?」
と桜を見る恭介。
桜はなにがってと思いながら
「柚子さんとの試合のことですよ!負けたら紀伊さんが地獄に…」
「その心配はないわ」
自分と共に恭介に食ってかかると思っていた凛の言葉に桜は驚愕した。
「な、心配ないって…」
「それより私はあの柚子ってやつの真名をあなたが呼んでるのが驚きよ。艦魂の真名を人間が呼ぶのは本人の許可が必要。許可がなければ殺されても文句は言えないと未来の私達にすらある決まりがあるの」
「そんな決まりが…」
桜は聞いてよかったと思った。
この先、艦魂が見える自分は改めて知っておかないといけないルールだと桜は思った。
「でも、恭介…炎樹姉さんの真名呼ぶなら気をつけないと」
「なんだ凛?心配してくれたのか?」
「だ、誰が心配なんか…」
そういいながら凛は顔をあかくしていた。
2人は余裕である理由が桜は気になったが3時間後には分かる。
そして、その場にはたくさんの艦魂達が来るということだ。
待ち遠しいような怖いような複雑な気分の桜であった。
桜「今回は紹介する人がいませんね紀伊さん」
凛「みたいね…というか久しぶりね桜」
桜「アハハ…本編では私紀伊に乗ってますし外伝の主人公ですからあまり本編には出ないんです」
凛「かわいそうに…」
作者「このコーナーは私のだぁ!返せ」
凛「そしてここには愚か者が…」
作者「あ!」
ズドオオオオオオン
桜「アハハ…ご意見・感想お待ちしていますね」
凛「それじゃあ」