第4話 桜の災難と大和マニア
山城
真名 奏
身長 169センチ
体重 聞きたいか(本人談)
容姿 長い黒髪に黒い瞳だが凛達と違い大人びた美しさを持つ
外見年齢 23歳
好きなこと 人をからかうこと
嫌いなこと からかわれること
補足
戦艦山城の艦魂、常に余裕ぶった喋り方をする。なぜか艦魂の中では発言力があるようで長門の艦魂である鈴も一目置いている。
凛をからかうのがどうやらお気にめしたようである。
桜は闇の中でじっと息を潜めていた。
「乱暴は…いよ?」
男の声だ。
乱暴とはまさか…
桜は近くにあった分厚い本を手にした。殺されてたまるかという思いが強かった。
せっかく助かった命をなくすなんていやだ。
声が近づいてくる。
「不自然…ないですか?」
すると、本棚に軽い衝撃があった。
そして、野太い男の声。
「おい、小西動かすの手伝え!」
はっきりと聞き取れた。
相手はどうやら本棚を動かすらしい。
つまりばれたのだ。
(死にたくない死にたくない…)
桜はがくがくと振るえる。
「あ!開って書いたボタンがありますよ」
その声が聞こえたと思ったらウイイイイインという機械音と共に本棚が動きだした。
もうだめだと桜は覚悟をきめて古事記と書かれた本を投擲態勢にはいった。
それより少し前、凛と撫子は奏にはんば強引に紀伊に連れて来られていた。
まあ、凛の場合は帰ってきたという方が正しいか…
「ほう、艦内は私や撫子とは違うのだな。ん?あれが機関か?」
「そうよ」
凛達が出たのは機動戦艦『紀伊』の命の一つとも言える核融合炉がある最深部にある動力室だった。巨大な機械の周りを整備兵が歩き回っている。
「おら!早くそこのスパナ持ってこい!あっちにおいてあるノートパソコンも取ってこい!」
「はい!」
若い整備兵が上官に言われて慌てて走っていった。
上官は20代後半ぐらいの若い男だった。ベテランがいそうものだが核融合炉の技術はまだ、確定したばかりなのでベテランはいないのである。
むろん今の上官は腕はいいが…
そして、その上官、安藤 忠司は何気なく凛達の方を見るとはっとした顔になった。
部下に何かを言った後こちらにやって来る。
「よう凛!なんだ?珍しいな?こっちの友達でも紹介に来たか?」
安藤はにやりとして言ったが凛は怒った。
「安藤!真名を呼ぶなと何度言ったら分かるの!私の真名を私の前で呼んでいいのは…」
「恭介だけだろ?わかってるって、そんなに怒るなよ。ところで」
忠司は撫子と奏に目を向けると
「あんたたちも艦魂だろ?」
「ほう、私達が見えるのか?」
奏が意外そうに言った。
撫子もまあ、という顔で忠司を見ている。
艦魂が見える人間というのは以外に少ないのである。
「まあ、始めの頃はびっくりしたが慣れた。俺は安藤 忠司だ。核融合炉のまあ、責任者だな」
「ふむ、私は、山城だ。」
奏が自己紹介すると撫子も薄く微笑みながら
「私は大和と申します」
「大和だって!」
忠司はいささか興奮した様子だった。
「あ、あの…」
様子が代わってしまった忠司を見ながら撫子が首を傾げると凛が説明してくれた。
「忠司は大の大和マニアなのよ」
はあと凛は息を吐いた。
「大和マニア?マニアとはなんだ凛?」
「簡単に言うなら大好きということかな?」
「ほほう」
奏の目が光った。
「忠司は撫子のことが好きなのだな?」
確認するように奏が言うと忠司は聞いたか聞いてないのか
「ああ!大好きだ!夢見たいだ!大和の艦魂に会えるなんて!是非、撫子と呼ばせてくれ!真名なんだろ?」
今にも撫子に詰め寄りそうだったので凛が間に入った。
「ちょっと忠司!撫子に失礼じゃない!艦魂の真名を許可なく呼ぶなんて殺されても文句はいえないわよ!」
「い、いえ凛様確かに真名を呼ばれるのは困りますが殿方の好意を無下にするわけには…」
凛は違うと忠司を指差すと
「こいつは別に撫子が好きなんじゃなくて戦艦大和の船体が好きな変態なの!」
あんまりな言い方だった。
安藤も当然反論した。
「んな!変態だと凛!男の戦艦大和が好きで何が悪いんだ!」
「うるさい!凛って呼ぶな!女に興味なしの時点で変態確定よ!なんであんた見たいなのが恭介の友達なのよ!」
「知るか!それよりどけ凛!」
「ちょ!何よ」
凛は忠司に退けられると撫子の前に立ち何やら自分の服をあさりはじめた。
「あ、あの…安藤様?」
撫子が声をかけたが安藤は何かを探してペンを左手にもったまま、まだ捜す。
「くそ!ないぞ」
そんな時先程ノートパソコンとスパナを持ってこいと命令した兵が2つを持って走ってきた。
「お!丁度いい!」
忠司はスパナを奪い取ると撫子にペンとスパナを出して
「サインください」
撫子は目を白黒させ凛はあきれて、奏は笑っていた。
ちなみに整備兵は何もない空間にスパナとペンを差し延べる上官を不信がったが次の瞬間撫子がサインをし始めた時、スパナとペンが浮いたので彼は腰を抜かして逃げた。
もうひとつ余談だが大和と撫子のサインが書かれたスパナは彼の生涯の宝物になったということだ。
「あ、そうだ!」
奏と撫子を連れて紀伊を歩いていた凛はふと立ち止まった。
「どうかしたのか凛?」
奏が訪ねると凛は答えた。
「恭介に会わないといけない…会わせないといけない人がいるから…」
「会わせたい方?」
撫子が訪ねた。
どうでもいいが一動作全てが綺麗な動作だなと凛は思いながら桜のことを話すと2人は納得した。
凛はなら帰るという2人と別れ恭介を探した結果資料室の廊下で教えるのが適切と判断したが山本五十六が一緒にいたので廊下の先から資料室を指差す程度に留めた。
案の定、山本には艦魂が見えたようで部下の2人が資料室に入っていく。
「げ!」
凛はまずいと思った。
廊下ごしだったから分からなかったが山本を案内してたのは古賀で恭介がいない。
まったくあの男はと凛は思いながらなるようになれと思って資料室に自分も入って言った。
移動本棚に僅かな隙間が出来た瞬間桜はおもいっきり古事記を正面に投げ付けた。
必死だったからかなり力の入った分厚いその本はこちらを見ようとした男に激突した。
「ぎゃ!」
「小西!」
一人が倒れ野太い声の男が声を張りあげる。
桜は今だとかばんで相手を叩くため相手に向かい突進した。
「む!」
男は突っ込んでくる桜に気が付いた。
だが、桜は止まらない。
かばんを振りかぶろうとして右手を男に捕まれ男の背に…
「!?」
まずいと思ったがもう遅い。
男はそのまま背負い投げで桜を一瞬空にとばした。
「うおりゃあああ!」
「きゃあああああ!」
悲鳴が交差した瞬間スダアアアアンという音がしたが気絶した桜には聞くことが出来なかった。
何やら敵を捕まえましたという野太い男の声が聞こえた気がしたが桜の意識は闇に落ちていった。
凛「うう…紹介したくない…」
桜「えっと…山城さんです」
奏「ふむ、ここが紹介コーナーか」
凛「やっぱり来た…」
奏「そんなに喜ぶことなかろう凛?」
凛「喜んでない!」
奏「いやいや、そういうむきになるところがかわいいなあ凛は」
凛「むぐ…うう…」
桜「あ、あの山城さん?そろそろ自己紹介を…」
奏「ん?ああ、そうだな…だが私のプライバシーはすでに前書きに書いたからな…特に言うことがない…どうしようか凛?」
凛「知らないわよ!なら帰りなさいよ!」
奏「そうか…では、凛も帰ろう。おいしい魚がさっき釣れたんだ」
凛「ちょ!放してよ」
↑
ひょいっと凛をかつぎあげる。
奏「さあ、行こうか!我が家へ」
凛「き、恭介ぇ!助けてえ!」
桜「行っちゃった…変な艦魂だったな…あ!ご意見・感想お待ちしています」