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第9話 わんぱく妹と落ち着いた姉


「我こそは戦艦日向の艦魂じゃ」


と胸を張り言う少女を隣に立つ青いリボンの少女はため息をつきながら


「私は伊勢の艦魂です」


見た目は同じでも性格は彼女達は真逆だと桜はこの時思った。


「で?おまえら何のようで来たんだ?」


「いやな、あの柚子に戦いを挑む愚かな男を見にきたんじゃ、柚子は姉上や朱里には及ばんがなかなか強のでな」


「柚子は金剛、朱里は比叡の艦魂のことです」

妹の説明では説明不足と判断した剣が修正をいれた。


「汝がその愚かものか?」


京子は恭介の方へ歩きふと机の上のクッキーに目をやる。


「食べたいのか?」

恭介が興味深々といった目で京子がクッキーを見ているのを見てにやにやしていった。


「くれるのか?」


京子の顔がぱっと輝いた。


「ああ、食えよ日向…ってなんだか俺の名前呼んでる見たいだな」


日向 恭介は複雑そうな顔をしている。

「ここよいか?」


「え?はい」


京子は凛の正面、そして桜の横に座ると顔をほころばせてクッキーを口にいれた。


「おお、美味じゃなこれは」


「そりゃそうよ」


いきなり現れた伊勢姉妹に始めは驚きはしたが凛はいつものペースを取り戻していた。


「ん?汝は紀伊の艦魂の…」


「凛よ」


「我は京子じゃ。汝は人間じゃな?」


京子が顔を横に向けた先には桜がいる。桜は人外の存在である艦魂には随分なれたつもりだったが本当にいろいろな性格の艦魂がいるんだなと思った。


「藤宮 桜です」


ぺこりと桜は頭を下げた。


「このクッキー桜が作ったのよ」


「なんと!」


凛の言葉に京子はクッキーと桜を見比べてから


「本当に汝が作ったのか?」


桜はうなずきながら

「はい、紀伊さんに材料を貰って作りました。最近始めたばっかりの趣味だったんですけど…」


「これだけ作れればたいしたものですよ」


桜が顔をあげると京子とうりふたつ。

腰に日本の日本刀を下げる艦魂が桜の横に座った。

つまり桜は日向と伊勢の艦魂に囲まれた形になる。


伊勢の艦魂剣(つるぎ)はクッキーを口にいれる。


「形は悪くないですが少し砂糖を減らした方がいいかもしれませんね」


「あ、それは私も思ってて次回の課題にしようかなって…」

剣は穏やかに微笑むと


「そうですか。あつかましいことを言ってしまいすみません」


と頭を下げられので桜は慌てた。


「そんな!指摘してくれるなんてうれしいです」


「そう言ってくれるなら助かります」


フフフと笑いあう桜と剣を凛は見ながら

(この子誰とでも仲良くなるのね…)


と思っていた。

桜が凛を見た。

凛はまさか考えてることがばれたとかと思ったがあほらしいのでやめた。


一方桜は戸惑っていた。


(や、やっぱり今の声紀伊さんの心の声…なんで私に聞こえるの?)


もしかして艦魂が見えるものの共通の能力なのかもしれないと桜は思った。

後で聞いてみようと桜が思った時


「ううむ…日向 恭介か…ややこしい名じゃな…恭介と我は呼ぶが構わんか?」


「ああ、構わんぞ」


京子はうむと頷き


「なら汝も我を真名で呼べ桜とやらも構わんぞ」


「京子…」


目をつぶり呆れた声で剣が妹を窘める。軽々しく真名を名乗るなということらしい。


「別によいではないか姉上、姉上も真名を名乗ればどうじゃ?」


京子の中では真名を呼ばせるのは決定事項らしい。

凛は艦魂同士だから無条件だが人間である桜はお菓子作りの腕がなかなかいいし気に入ったから恭介の場合は名前がややこしいということで…


「京子と呼ぶがよい桜に恭介とやら」


妹の真名発言に剣はふーと息を吐いて


「桜さんは構いません。クッキーの恩もありますし悪い人ではなさそうです。ただ…恭介さ…ややこしいので下の名前で呼びます。恭介さんは決闘しだいということです」


「姉上は最低でも自分と撃ち合えたり特殊な能力を持っていたりと尊敬できる人物にしか真名を許さんからのう」


うんうんと京子が言った。


「いや、別に真名にこだわらなくてもいいんだがな。女の子と仲良くなれるのはうれしいが」


「…っ!」


恭介の発言に凛が一瞬殺気のこもった目で彼を見たのを桜は見逃さなかった。

ちなみに桜が聞いた凛の心の中は


(恭介の馬鹿ぁ、私というものがありながら…て、私何言ってるの?)


である。

思わず微笑みがこぼれそうになり桜は慌てて笑いを噛み殺した。


「ハハハ、面白い奴じゃ恭介、我は汝を気に入ったぞ」


「そりゃ光栄だな」


その光景を凛はうう…と嫉妬丸だしの顔で…しかし、言えないため複雑な顔で見ているのだった。


ちなみに桜は凛の考えてることがなぜかわかるので笑いを噛み殺し続けるのであった。


決闘は刻一刻と迫っていた。



桜「今回は伊勢の艦魂を紹介したいと思います」


凛「…」


桜「き、紀伊さんその格好は一体…」


凛「聞かないで…本編読めばわかる…」

桜「は、はいでも可愛いですよ?」


凛「うう…大和(伊)達め…」


剣「そろそろいいですか?」


桜「あ、すみませんどうぞ」


剣「始めまして戦艦伊勢の艦魂、真名は(つるぎ)といいます」


桜「京子さんとうりふたつですね」


剣「ええ、性格はまるで違いますがリボンで見分けてください」


桜「剣さんは青で京子さんはピンクですね」


剣「ええ」


桜「京子さんが先にでちゃいましたがよかったですか?」


剣「少し複雑ですが可愛い妹ですから構いませんよ」


桜「お、大人なんですね」


剣「妹があの性格ですから…」


桜「な、なるほど」

凛「わかるわね」


剣「では私はこの辺で」


桜「は、はいありがとうございました」

凛「さようなら」


剣「はい凛、その服似合ってますよ」


凛「うう…複雑…」

剣「失礼します」


桜「ご意見・感想お待ちしています」



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