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8話 ケーキと紅茶、それから…


「ハル様、ソラ様、今日のおやつはケーキと紅茶ですよ」

そういって虎太郎くんがおやつをテーブルに並べてくれる。

彼がうちに来て1ヶ月経過する頃にはすっかり我が家に馴染んでいた。

ソラともすっかり仲良くなった様だ。時々火花を散らす程に見詰め合っているが、それ以外では普通に仲が良い。男同士なにか通じるものがあるのだろう。

今も紅茶の種類についてソラと虎太郎くんは仲良さげに話している。

一般的に猫に紅茶を与えるのは良くないとされているが、私達はあくまで人間に近いので問題ない。食べ物については人と同じものを食べるし、犬猫が食べられないものだって平気で食べられる。

身体的特徴も何が違うと言われれば、ほぼ差ない。

猫科は人間+猫耳=少し聴覚が良くなるくらいで犬科は人間+犬科=少し嗅覚が良くなる、それくらいの差だ。



それにしても………私より仲良くない?



虎太郎くんとソラはまるで幼馴染といってもおかしくないくらいに仲良しになっている。

「ずるいわ」

私がポツリと呟くと、2人がこちらを見て首を傾げる。2人ともきょとんとした顔が可愛い。

「私もいるのに2人ばっかり仲良くして…。私も構って!」

私も耳とか、耳とか、耳とかもふりたい!!


そういうと話をしていた2人目掛けて飛び込む。そして頭の上のもふもふキュートイヤー…正しくはもふもふ犬耳と、もふもふ猫耳をこれでもかと言うほど撫でまくる。

「ちょっ、ハル!雑に撫でるな!毛が抜ける!」

「あら、私はもふもふマイスター(自称)なのよ。ソラのもふもふが抜けるような失態はしないから安心して」

「自称!?自称ってなんだ!?」

「ハル様、私の耳ならたくさん撫でても良いですよ?」

「本当!?コタローくんは優しいのね!」

嬉しい提案にソラの耳から手を離して両手で犬耳をもふる。虎太郎くんは撫でやすいように頭を少し下げてくれた。

本人からの許可もおりたのでもふもふを堪能する。触れればもふんとぬくぬくな毛が指先を包んでくれた。


もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ………


……こ、これは…ソラと同じくらいのもふもふ度!紛れもない、もふ5つ星!

身近にもふ5つ星が2匹………いや2人もいるなんて、幸せすぎる!


「…ふぅ、いいもふもふだったわ。流石コタローくんね、毎日もふっても良いくらいだわ」

「ありがとうございます、ハル様になら毎日でも触れていただきたいくらいです。寧ろ私もハル様に触れたいです」


おぉう?コタローくんももふもふマニアなのかな?わかる、もふもふには抗えないよね。1度触れたら最後、心ゆくまでもふりたくなるよね。

良かろう、もふ仲間としていくらでももふると良い!


「自分の耳には自信がないけれど、それでもよければどうぞ?」

私が頭を差し出すとそれまで黙っていたソラが、虎太郎くんとの間に割り込んできた。

「だ、駄目だ!ハル、そんな簡単に男に耳を触らせるな!」

「チッ」

ソラは何やら怒っているし、虎太郎くんが舌打ちする。そんなにもふりたかったのか。

「あら、でもお父様やソラだって触るじゃない。どうしてダメなの?」

「俺達はいいの!家族だから!」

「私はコタローくんも家族みたいなものだと思っているのだけど…」

「ふふ……、ハル様と私が結婚すれば私も家族になれますよ」

虎太郎くんの言葉にソラは赤くなる。

私としては虎太郎くんマセてるなー、位にしか思わないけど、ソラには刺激が強いのかもしれない。

「駄目だ!虎太郎とハルが結婚なんて駄目!」



ソラよ、お姉ちゃんはピンと来たぞ。お兄ちゃんみたいに思ってるコタローくんを取られたくないんでしょ!ビンゴでしょ!?

だからそんなに向きになって……まったく、本当にツンデレにゃんこなんだから。可愛すぎる、本当に可愛すぎるわ


「大丈夫よ、ソラ。私はコタローくんをソラからとったりしないから」

そういうと虎太郎くんとソラは同時にこちらを見て何いってんだこいつ、と言うように眉を寄せる。

「……ソラ様、これは素ですか?」

「…あぁ、残念ながら」

にこにこ微笑む私に虎太郎くんとソラは頭を抱えている。


……ん?何か間違えた?


私が首を傾げると、2人は生暖かいような視線をこちらに向けた後、紅茶の準備を再開した。

私も手伝いを申し出たけれど、ハルは不器用だから駄目だとソラに止められ結局一人で椅子に戻った。


仕方がないのでケーキを先に食べる。今日のおやつはチーズケーキだ。

しっとりとしたケーキの下にクッキー生地が敷いてあり、サクサクしてて美味しい。


それにしても結婚ねぇ……私、悪役令嬢(予定)なんだけど…破滅エンドもあるとか自称天使が言ってたけど…。前世は…うん、ゲームと仕事に時間を費やしたから恋愛なんて出来なかった。というかする気なかった。もし破滅エンドを回避できたらその時考える事にしよう。

それにしてもチーズケーキうまうま……。


「ハル様、紅茶です」

「ありがとうコタローくん」

スッと差し出された紅茶を飲むと、甘いケーキと相性がいいのかとても美味しい。

気がつけばソラも私の正面にある椅子へと腰かけていてケーキを食べていた。虎太郎くんは私達の横に控えるように立っている。



なんかこれ、乙女ゲームのスチルみたい。2人ともまだ子供だけどね。大きくなったらイケメンになるかもしれないし……。


そこでふと気が付く。

この世界には普通にテレビもネットもある。パソコンはお父様の部屋にあったのをみた。仕事用なので触らせて貰えなかったけれど。リビングには大きなテレビもある。たまに映画のDVDをお母様とソラと一緒に見ることもある。

何となく見てたCMで家庭用ゲーム機が売っているのも知っていた。前世で使っていたものと似ていて、その時は「へぇ、この世界にもゲーム機があるんだ」なんて呑気に思っていたけれど。


ゲーム機があるなら……もちろん、あるよね?


もふもふ重視の生活に重点を置いていたためすっかり忘れていた………忘れていた、なんて前世の私からすればあり得ない失態だ。


そう……この世界にゲームがあるのなら、あるはず。寧ろなければおかしい…

この世界にも、『乙女ゲーム』があるはず!

ならば是が非でもプレイしたい!!






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