75話 猫を攻略する乙女ゲームに転生した、はずだった。
「コタローくん……恥ずかしいことさらっというようになったよね…あと意地悪になった」
熱をもった頬を誤魔化すように視線をそらしながら告げると虎太郎くんはくすりと笑う。
「ハルが可愛いからつい……嫌?」
その聞き方はズルいと思う。
虎太郎くんの事が好きな私は拒絶の言葉を言えない、言うつもりもないけれど。
虎太郎くんはそれをわかっててわざと聞いてくる。その反対の言葉を言わせたいが為に。
「嫌ってわけじゃ…」
「なら…私はこのままでもいい?」
再び首を傾げ見詰められて可愛いと思ってしまう。
けどここで良いと言ってしまうと後戻りできない、寧ろ虎太郎くんの意地悪に拍車がかかる気がする。
私が本気で嫌がることはしないだろうけど……。
顔を反らしてどう返答すべきか迷っているとふいに頭上の猫耳にキスされた。
「っ………!!」
大袈裟なくらいびくりと肩が跳ね上がり顔の熱が上がる。
「ね、答えて」
低く甘い声が私の耳元で響く。
私の頭はパニック寸前だ。
「ほ、ほどほどに!!程々にしてくれるならそのままでもいいからっ!」
痛いくらいに速まる鼓動に耐えきれず、この羞恥から逃げ出したくてそう告げると虎太郎くんは言質は取った、とばかりにいい笑顔になった。
「可愛い……好きだ、ハル」
もう…本当に勘弁してください!!!
蕩けた甘い笑みを浮かべる虎太郎くんに私の心臓は悲鳴をあげる。
虎太郎くんとの恋人関係の慣れるにはまだまだ長い時間がかかりそうだ。
△△
その2日後、私は無事寮生活を再開することができた。
問題なく学園生活に戻れているのは私のために尽力してくれた両親や、生徒会の皆のお陰だ。
本当に解決してよかったと思う。
「ハル、おはよう」
教室に行くとモカちゃんがいた。
「解決してよかったね、お疲れ様」
労いの言葉をかけられて苦笑する。
「頑張ったのは私じゃなくて私の回りだけどね、でもありがと」
「どういたしまして。で、話は変わるけど……コスプレに興味ない!?」
「コスプレ……?」
変わりすぎだ、例の件の犯人とか動機とか聞きたがるんじゃないかと思ってたのに。
「そう!今度『蒼星の一輪華』のオンリーイベントがあるの!そこでコスプレ参加してみたくて…あ、折角なら西園寺先輩も誘おう!あと弟くんも……ライバルキャラやってもらって壁ドンとか撮影したい」
あ、これ完全にオタクモードだ。
モカちゃん、ここ学校ですよ!?私も興味あるけどね!?
嬉々としてコスプレの予定を立てるモカちゃんを眺めながら「平和だな」とか思ってしまう。
ここ最近色々ありすぎたから仕方ない。
そして私はある重大なことに気がつく。
もふもふ目的でこの世界に転生してきたのにもふもふ要素少なくない!?
「モカちゃん…」
ポツリと呟いた私にコスプレについて語っていたモカちゃんが首を傾げる。
「コスプレに協力する代わりに私のもふもふパラダイス計画に協力して!」
にゃんことわんこをたくさん集めてその毛並みに埋もれたい!!今度こそ!!
がしっと手を掴んだ私に今度はモカちゃんが苦笑することになったのは言うまでもない。
これで本編は完結となります。完結まで一気に投稿させていただきました。
たくさんの閲覧、評価、ブクマありがとうございました('ω')ノ




