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39話 夏休みの予定は?


今さらだけど、どちらにしろ私も招待されるなら私で良かったんじゃ……?

あ、でも、そのまま婚約っていうのは困る…まだ乙女ゲームとか満喫してないし!

婚約したらきっと2次元のご令嬢達のように、花嫁修行とかやらされるに違いない…。

お姑さんに掃除の後に「あら、こんなところに埃が…」とかいわれるんだ!!

それは嫌だ、私はまだ2次元に浸っていたい!!嫁姑バトルなんて嫌だ!



「という訳でソラがクロくんの偽装婚約者を演じることになったの」


「ふぁー!!!なにそれ創作意欲がとてもわくネタをありがとう、マジ萌える!クロ×ソラって事よね!?いや、年下攻めも…イケる気がする…ソラ×クロ?ありかも…滾るわぁ」


うん、わかってたけど予想以上の発狂ぶり。私はモカちゃんに話した事を早くも後悔していた。


放課後、生徒会室にて私とモカちゃんは書類の整理をしていた。

そこで昼間の呼び出しの事を聞かれ、モカちゃんになら大丈夫だろうと思いうっかり話してしまったのが間違いだった。



モカちゃんの瞳は…そりゃもうキラキラしてる、寧ろギラギラしている…



いやぁ、偏見は無いけど実際に目の当たりにすると凄い…。何と言うか、情熱が。とにかく凄い。

うん、人の情熱って時にビックリするくらい凄いよね!


「しかも弟くんが女装するとかなにその美味しいシチュエーション!ご馳走様です。ハル、弟くんの写真、是非とも私に横流しして!」

「よ、横流し……。送るのは多分ソラが嫌がると思うからこっそり見せるくらいなら」

「それで充分よ、ありがとうハル!」

がっしり手を握られた。


………蛇に睨まれたカエルの気分かも。


「それにしても中御門会長も大変ね」


腐モードが落ち着いたのかモカちゃんは書類の整理に戻る。

期日が古いものから日付の順にまとめ束にしていく。それを私が月毎に纏め、ファイリングしていた。


「財閥の御曹司だからね」

「ハルだって財閥のご令嬢じゃない、そういった話は今までなかったの?」

「んー…無い、かも。と言うか仮にあったとしても私のところまで来ない」


お父様やお母様は過保護だから彼らのお眼鏡に叶わない場合、私の元に来る前にふるい落されて残らなかったという事が考えられる。


確証はないけれど、入学前にお見合いの写真の様なものは見たことがある。

そこそこ体格よろしい感じの男性が写っている写真がリビングに置かれていて、よく見ようとした瞬間ソラに没収された。

そこからそれっぽい写真は見ていない。


「成る程……弟くんはハルの防犯…いや、防御システムだもんね」

「そこまで大袈裟なものじゃないよ、ただちょっと心配性なだけで」


苦笑を浮かべそう告げるとモカちゃんは何処か生暖かいものを見るめで私をみい見てた。何故だ。


「で、中御門会長のパーティーにはハルも行くんでしょ?」

作業する手を止めずに聞かれ、その手際のよさに感心しながら頷く。

「うん。両親も参加したかったらしいんだけど、お友達の音楽会があってそっちに行かなきゃ行けないからって残念がってた」

「じゃあハル1人でいくの?弟くんはきっと中御門会長に付きっきりになるでしょ?」

「そうみたい、だから私のエスコートはコタローくんに頼んだの。その方がソラも両親も安心だっていってたから」



私自身、虎太郎くんが同伴してくれるなら心強いと言うのもある。


何せ長い間一緒に居たわけだし、コタローくんのサポートスキルはレベル高いもんね!


「そっか、じゃあ大丈夫ね」

それを聞いてモカちゃんも安心したようだ。さすが虎太郎くん、皆の頼れるお兄さんである。


「でも財閥のパーティーとか、きっと凄いんでしょうね…私は家族でやる誕生日パーティーしかわからないけど。どんな感じなの?」

興味があるのかモカちゃんが首を傾げる。


「私が参加したことがあるのは立食形式のパーティーなんだけど、料理はすごく美味しかったよ。なんでも有名ホテルのシェフが観衆したものばっかりらしくて…。あ、でも財閥のご令嬢とか御子息も結構来てて挨拶ばっかりだったからあんまり食べられなかったんだけどね」


思い出し苦笑を浮かべる。

お父様に連れられていったパーティーではひたすらに挨拶するばかりで疲れきって料理どころではなかった。ソラもご令嬢達に囲まれてせっかくの料理が食べられなかったと嘆いていた気がする。


「…お金持ちって大変ね」

うへぇと顔をしかめてモカちゃんが呟く。

「ミケくんと結婚したらモカちゃんもお金持ちの仲間入りだからね?」

そういってくすりと笑うとモカちゃんはぼふっと一瞬で顔を赤く染めた。

「け、結婚とかっ……まだ、先の…話だしっ!」

作業していた手を止めるほどに動揺している。

「ふふ…モカちゃん可愛い!」

「もう、ハル!」

くすくす笑うとポカポカと軽く叩かれる。子猫がじゃれてるみたいで可愛い。


「あ、夏休みなんだけどハルは行くの?」

不意に話題が代わり首を傾げる。

「どこに?」

「どこって夏の祭典だよ!」

そういって拳を掲げるモカちゃん。


夏の祭典…?音楽祭みたいな?もしくは何処かで花火大会とかお祭りとかあるのだろうか…だったら是非ともいきたい!



「何処かで夏祭りでもあるの?」

そう尋ねると怪訝な顔をされた。

「ハルって本当にオタク…? 」


何で突然今それ聞いたの…?


質問の意図が理解できずにとりあえず頷く。

「だったらわかるでしょ?毎年お盆近くに開催されるあの夏の祭典…別名アニマケが!」


「アニマケ……?」


アニマル…毛…?

アニメ…負け?

………アニメ………はっ!?もしやそれは…!


「まさかこの世界にもあるの!?あの祭典が!」


私の言葉にモカちゃんはぐっと親指をたてた。



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