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34話 自分の人生は自分だけの人生

ミケくん視点になります

少し短めです

寮にも学校にも帰ることが出来ないまま1日が過ぎた。明日はいよいよ両親が設定したお見合いがある。


お見合いと言えば、断ることも出来るような顔を合わせや会話をするだけだと思う人が多いだろう。けれど、今回のこれは違う。

両親は見合いをしてそのまま相手と婚約手続きをとるつもりだとオレに告げた。


そして、オレが逃げ出さないように部屋の前に護衛という名目で屈強な男を2人、配置して見張らせている。

軟禁状態だ。いくら血の繋がりがある子供でも人権がある。そうまでしてすぐにでもオレに伴侶を宛がいたい事情があるのだろう。


オレは…あの人たちの所有物なんかじゃない!


そう叫んでみたところで聞く耳を持った人などこの家にはいない。

けれど、そんなオレにも希望があった。昨日、友人である伊集院ソラから連絡があったのだ。


オレの片想い相手である秋葉モカ。

彼女がハルと手を組んでオレを取り戻そうとしているから諦めるなと。

『ミケ、お前の人生だ。他の誰かじゃない。お前が選んで生きる人生だ、後悔するとわかってる方を選ぶんじゃねぇ』

ぶっきらぼうにそう告げる友人の声は、本当にオレを心配している様に聞こえた。

お人好しだなぁ、と思いながらこんなオレにも味方がいた事が嬉しかった。何より。


モカちゃんに、少なからず想われていたなんて知らなかった…。


ついにやけそうになる口許を抑える。

彼女に想いを改めて伝える為にもオレは諦めるわけにもいかない。

何が出来るか考えていると部屋のドアがノックされた。


「ミケ、お祖母様がいらっしゃった。ご挨拶なさい」

聞こえてきたのは父の猫なで声だ。思わず顔をしかめる。

如月家の現当主であるお祖母様、彼女の言葉は絶対だ。


両親と共謀してオレを説得しに来たのか。


身構えているとお祖母様が1人で部屋に入ってきた。一緒に入ろうとした父を制して扉をしめる。

年齢の割には若く、背筋もしゃんとしている彼女はまっすぐにオレを見つめる。昔からこの人に見られると自然と背筋が伸びたものだ。


「ミケ、貴方が婚約したら当主の座は貴方に譲り渡します」


祖母が発したその言葉に息を飲む。

それと同時にひとつの考えが頭をよぎる。

父を通り越してオレに当主の座が与えられると言うことは父に取って悔しいことであるはず。

だから父はなんとか自分が実権を握れるように自分に都合のいい領家から、見合い相手を見繕ってきたのでは無いだろうか。

実父の言うことは聞かずとも、婚約したら相手のいうことなら聞くだろうと思っているのだとしたら問答無用で殴ってやろうと心に誓う。


どこまで息子を所有物として扱うつもりなんだ…



改めて祖母に視線を合わせる。

1つ確認しておきたい。

「お祖母様はオレに急いで婚約させたいのですか?オレは、確かに如月家の跡取りです。けれどオレの人生はオレのものだ、両親にも貴女にも自由にさせるつもりは毛頭ない」


ここに生徒会の仲間やクラスメイトがいたらきっと、学校との違いに驚くだろう。裏表を使い分けている自覚はある。


祖母はオレの言葉を静かに聞いていたがやがてゆっくりと口を開き、予想外の言葉を口にした。




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