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27話 3人で過ごす時間

3人で、やって来ました、商店街。

前に虎太郎くんが連れてきてくれたアニメショップもある商店街ですよ!


しかし、今回の目的はクレープ。なのでまっすぐにクレープ屋さんに向かう。


幼い頃からの癖もあり、私とソラは手を繋いでいる。その一歩後ろを虎太郎くんが歩いていた。

クレープ屋さんについて財布を取り出すために手を離すと、ソラの猫耳が少しだけ寂しそうにパタンと1度垂れる。

けれど、クレープのメニュー表を見た途端に嬉しそうに耳をパタパタさせはじめた。


本当に、うちの弟は、可愛い!



「ソラはどれにするんだ?」

ソラが見ているメニュー表を虎太郎君が覗き込む。こうして並ぶと虎太郎くんの方が少し身長が高い。


モカちゃんがここにいたら目をキラキラさせるんだろうなぁ…


そんなことを思いながら苦笑を浮かべていると、食べたいものが決まったらしくソラは桃のトッピングされたクレープを注文していた。

「ハルは決まった?」

そういって虎太郎くんが振り返る。

「コタローくんはどれにするの?」

「これかな」

そういって指したメニューは甘くないタイプのお肉と野菜が巻かれたクレープだ。

「じゃあ私は無難にチョコバナナかな」

メニューも決まったところでそれぞれ注文し、店先に設置してあるベンチに並んで腰掛けクレープを食べる。


「……うま」

そういって頬を緩めたのは私じゃない、ソラだ。


気持ちはわかる、ここのクレープめっちゃ美味しい!

これはモカちゃんにも是非おすすめせねば!


私とソラは無心でクレープを平らげる。それを見ていたコタローくんがくすりと笑った。

「ソラもハルも、本当に美味しそうに食べるよな」

「美味いものは美味く食べてこそだろ?」

「ソラに同じく!」

「……本当に変わってないんだな」

くすくす笑う虎太郎くんはどこか楽しそうだ。

「虎太郎だって変わってねぇじゃん、少し身長伸びたくらいで」

ソラが首をかしげるが私は心の中で首を横に振る。


ソラ、そんなことない!コタローくん、だいぶイケメンになったよ!!

気軽にもふもふさせてなんて言えないくらい、イケメンになられました!言うけどな!


「成長期だからな、私はまだ伸びるぞ?」

「もう伸びるな!俺が追い付けなくなるだろ!」


ソラたん、身長を気にしていたようです、可愛い。


「今に追い抜いて虎太郎を見下ろしてやるからな」

「楽しみにしてる」

虎太郎くんはくすくすと笑いながらソラの頭を撫でる。昔も思ったがこうしてみていると本物の兄弟みたいだ。

微笑ましく眺めていると急にソラが私を見た。

「ハルは身長、高いのと低いのとどっちがいい!?」


なぜ私に話を振った。

しかも何故そんなに必死なの。そんなに身長が気になるの?


「私はもふもふならどっちでも」

身長なんか気にしなくていいのよ、と言う意味も込めてそう告げると虎太郎くんに笑われソラは頭を抱えてしまった。

「そうだった…ハルはこういうやつだった」

「ハルらしいな」

「何よ…もふもふ優先だっていいでしょ?」


なんだい、2人して。私は身長なんて重要視してないのだよ。


「…………はぁ、アホらし。もう帰ろうぜ」

そういって立ち上がったソラの後ろに私と虎太郎くんが続く。

「ハル、私はもふもふ優先でも良いと思う」

「でしょ?流石コタローくん!」

「虎太郎、ハルを甘やかすな。そのうち耳を寄越せって言われるぞ?」

「そんなこと言わないわ……今は」

「後々言うつもりかよ!」

「だって、コタローくんもソラもすごくお耳がもふもふなんだもの!もふ5つ星なんだもの、もふってて幸せなんだもの!」

力説するとソラが呆れた表情になる。

「……ハル、他の人をあまりもふらないほうが良いと思う。私たちは構わないけれど」

然り気無く虎太郎くんに注意された。


確かに、片っ端からもふらせて!とか迫ったら迷惑だよね…うぅ。

モカちゃんに耳をもふらせてもらった時、少し戸惑ってたし…気を付けよう。


「わかったわ、そうする」

素直に私が頷くと虎太郎くんが「よしよし」と頭を撫でてくれる。

「もふりたくなったら俺が虎太郎にしろよ?」

ソラにまで言われた。身内なら良いってことだよね、肝に命じておきます。




こうして久しぶりに過ごした3人の時間は私に取って楽しいものだった、またこうして3人で過ごせたらと思う。


この先に待ち受けるものなど全く予想もしてなかった私はこの時、呑気にそんなことを考えていた。


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