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23話 yes紅茶 noアルコール

「ハル、大丈夫?」

「………うん、ダイジョーブ」

「よし、何があったか話してごらん?」

モカちゃんは私がドアに頭を打ち付けていたのを力業で止めて部屋に招いてくれました。


具体的にはドアと額の間に手を入れ思い切り抱き締められました…マジなんなんですか、モカさん。

イケメン、良い匂いした。


紅茶を淹れてもらい、よしよしと頭を撫でられる。


コタローくんとは違う小さな柔らかいお手て、可愛いです。


私は生徒会室を出た後に虎太郎くんとアニメショップに行った事、その帰り道での事を簡潔に説明する。

相槌を打ちながら聞いていたモカちゃんだったが、私が話終えたのを確認すると指を3本立ててこちらを見た。

「3つ聞きたいことがあるんだけど」

「うん、なぁに?」


「まず、1つ目。私もアニメショップ行きたかった!ハル、今度一緒にいこう?聞くところによると薄い本があるんだよね!?見たい、BでLなものにかなり飢えてるの…ふふふ、補充する良い機会だよね…うふふふふ」

がしっと手を掴まれて迫られた。拒否する理由もないし、私もモカちゃんと行きたかったので2つ返事でオッケーした。


モカちゃんは……貴腐人でした!!!



「で、次に2つ目。西園寺先輩って元々ゲームとかアニメ、好きなの?」

「ううん。昔、私が乙女ゲームしてたのは知ってるけどコタローくん本人が好きって訳じゃないと思うの」

「ふぅん……最後、3つ目。ハルは…先輩が好きなの?」


ピクリと紅茶のカップを持つ私の手が止まった。


「あ、もちろん恋愛的な意味でね?」


友達としてなら好きだと答えようとしたら先回りされた。違っていたらしい。


コタローくんは、イケメンだし…近くにいるとかなり動揺します。けどそれが恋愛的な意味で好きかと言えば…正直わからない。

今までそんなこと考えたこともなかった。


「わからない」

私が正直に答えるとモカちゃんは目を細めて微笑む。

「デートって言葉を出すのは少なからず気があるって事だと思うから、少し考えてみたら?」

「でも、からかわれただけかも…」

「西園寺先輩はそう言うことする人なの?」

「……………多分、しない」

「なら、少しそういう意味で見ても良いと思うよ?…まぁ、本人から告白された訳でもないんだしそんなに身構えない感じで」

「なにそれ難しい……」

「恋ってやつは難しいのよ…」

染々と語るモカちゃん。ミケくんとの事があるせいか少し大人びて見えます。カッコいい。


バーとかでカクテル飲んでいそうな雰囲気が出てます。

あれ、これ、紅茶だよね?アルコールじゃないよね?


「ところで、モカちゃんはミケくんとどうなったの?」

私の質問に今度はモカちゃんの動きが止まる。

「えっと…どうってほどじゃないよ…!ただ、ダンスの曲をいくつか聞かせてもらって…候補を選んだだけだし…」

「あ、そうだ!ダンス!ミケくんとの時間邪魔したら悪いなと思って先に帰ったんだけど…どうなった?」

「3つくらい候補をあげてみたんだけど…他にも良いものがあったら教えて欲しいな」

そういってモカちゃんは曲名とアーティストの書かれたメモをくれた。

「全部動画サイトで聞けるやつだよ」

「わかった、聞いてみる……で?」

「………ん?」

「ミケくんとは?」

「………っ…一緒に、帰ったくらい」

みるみるうちに耳まで赤くなるとモカちゃんは視線を反らしてうつ向いてしまう。


本当に可愛いなこの子は!


「良かったね」

微笑みそう告げるとこくりとモカちゃんは頷く。

「でも…つい『モカ』で話しちゃって…なかなか『私』として話せなくて…『モカ』で好感度あげても意味無いんだよ…」

しょんぼりと落ち込む猫耳、もふりたいと思ってしまうけれど、我慢だ。


空気読め私のもふもふ魂!


「大丈夫だよ、まだいくらでも機会はあるんだし。生徒会の交流会だってあるんだから」

そういうとモカちゃんはぱっと顔を上げた、不安そうな瞳と目が合う。

「…水族館…何着ていこう!?私、可愛い服なんて持ってない!」

「服……?」

首を傾げるとブンブンと頷かれる。

「ゲームにはほとんど私服で会うイベント無かったから、可愛い女の子の服なんて持ってなくて…」


そう言って寮に備え付けられてるクローゼットを開けて中を見せてくれる。

そこに掛かっていたのは、シンプルなパーカーだったり、格好いいシャツだったり、黒系のズボンだったり。当たり障り無いようなユニセックスの服ばかりだった。


確かに年頃の女の子として、しかも好きな人も一緒にいく交流会で着ていくには魅力が足りない。


「なら私の服、着てみる?」

幸い私とモカちゃんの背格好は似ている。服を貸せるかもしれない。

「いいの?」

「もちろん!でもモカちゃんはミケくんに『自分』をアピールしたいんだよね?それなら私の服とモカちゃんの服を掛け合わせて素に近い感じにコーディネートするのはどうかな?」

提案してみたらモカちゃんは嬉しそうにブンブンと頷く。

さっきから首がとれそうです。


でも喜んでもらえたようで何より!

それにしても頷くタイミングでお耳もパタパタ動いてますよ、可愛い。もふっていいですか?


「モカちゃん、耳をもふらせて!」


おっと心の声が漏れました。


「え…?耳くらい構わないけど…はい」

そういって頭を猫耳を向けられる。

もちろん遠慮なくもふりました。


もふもふもふ…もふもふ。もっふん、もっふる、たまらんもふ。


雑種と聞いていたけど毛並みはたまらんです。シルクの手触りに近い。もふ5つ星に限りなく近い……。

これは、もふ4.9星で!



こうしてモカちゃんをもふもふしまくり交流会の服装について話しているうちに、私はすっかり虎太郎くんのデート発言を忘れてしまった。


……仕方ないと思うの。

目の前に迫った重要なことに気を取られてしまったのは。

私の記憶力が悪いんじゃない!……と思いたい。



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