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15話 ヒロインは雑種な転生者!?

「それで、貴方は……まさか転生とかしていたりするの、かな」

悪ノリしそうだったのでお嬢様風な口調は押さえ込んで、単刀直入に女の子に尋ねる。

「……………………………………………………まさかハル、さんも?」


よかったようやく喋ってくれた、間が長いよ!間が!しかも私もって聞いてくるってことはやっぱそうなんだね!?仲間なんだね!!

「そう、そうなの!!」

思わず嬉しくなってこくこく頷く。


「…………」


しかしまたしても無言たぁーいむ!なんで黙るの!?不安になるから!なんでも良いから何か喋っておくれぇぇ!!


「成る程…あの発光人間が言ってた先に行った人ってのはハルさんだったのか…なーんだ…縦ロールじゃないだもんな、私ビックリしちゃった」

発光人間……はあの自称天使のことだろうけど縦ロールってなに!?私縦ロールキャラなの!?

私の動揺を他所に彼女はふにゃりと笑う。さっきまでの可愛いぷるぷるにゃんこは何処にいったのか!その警戒を解いた笑顔可愛いぃ~!猫耳ピョコピョコしてるー!


「あ、じゃあ自己紹介しなくても分かるね。私達一緒のクラスだし、これから仲良くしてくれると嬉しいな」

初対面のおどおどした雰囲気は何処へやら、さっぱりとした話し方は寧ろ男っぽくてイケメン女子な感じがする!あ、ちょっと待った。自己紹介は必要です。

「ご、ごめんなさい…実は私…このゲーム知らなくて…貴女の名前も分からないの」

私が申し訳なくて目を伏せながら告げると彼女は目をぱちくりさせた後、何故か私に抱き付いてきた。ふわりと良い匂いがする。

「やだもう、今のちょー可愛い。ハルさん、私の攻略対象になって」

可愛いのは貴女です!是非猫耳をもふらせてください!


彼女は戸惑う私から離れるとこほんと軽く咳払いしてにっこりと微笑む。見た目は愛らしいのに中身がイケメンな雰囲気あるのでギャップがとんでもないです。イケメン女子とか好みなんで止めて下さい、うっかりキュンキュンしてしまうわ。


「えっとじゃあ放課後、どうかな?これから入学式だしちょっと逃したくないイベントがあるから、長話はちょっと…」

「そうだ!入学式!……イベントってやっぱり乙女ゲームの?」

「そうそう。あ、先に自己紹介だけしておくね。私の名前は秋葉 モカ。このゲームのヒロインポジションで、雑種なの。宜しくね」

そういって胸を張り微笑む姿は愛らしいのにとても格好良く見えた。









△△

入学式をなんとか乗り切り、新入生は教室へ移動していた。

モカちゃんの言うように私達は同じクラスだったし、ソラの言っていたように虎太郎くんは生徒会副会長だった。ちなみに生徒会会長はなんとクロくんでした。吃驚。

生徒会メンバーと言うことはソラ含め、お前らも攻略キャラなのか!?

久しぶりに見る二人はなんかイケメンに成長していた。虎太郎くんと一瞬目が合ったんだけど何故か恥ずかしくて思い切り反らしてしまった……後で謝ろう。それを見ていたモカちゃんは生暖かい視線をこちらに向けていた。

モカちゃん、うちの両親みたいな視線をやめてもらえないかね!?


あ。ちなみにソラとは別のクラスでした。少し残念。


「ハルさん……ね、もうハルって呼んでもいい?」

自己紹介や授業の説明等を含むホームルームが終わり、ちらほらと生徒達が解散し始めている中で前の席に座っていたモカちゃんが、椅子ごとこちらを向いて声をかけてきた。

「うん、私もモカちゃんて呼んでいいかな?」

モカちゃんはもちろんと微笑む。

「で、どうする?色々話したいことあるんだよね。教室だと誰が聞いてるか分からないし、寮の私の部屋来ない?」

「うん、私も色々確認したかったから行く!」

こくこくと頷くと、モカちゃんは目を細めてよしよしと私の頭を撫でてきた。

「ハルって……なんかこう、母性本能擽る可愛さがあるよね」

どういうことだろう?

意味が分からなくて首を傾げるとため息をつかれてしまった、ぼそっともって帰りたいとか言ってるのは何故。


「ハル、終わったか………げ。今朝の猿猫」

モカちゃんと話しているとソラが顔を覗かせ嫌そうな顔をした。

「ソラ!モカちゃんに失礼でしょ!」

猿猫とはどんな悪口だ!あれか、木に登っていたから猿で、加えて猫科だから猿猫ってことか。弟よ、お姉ちゃんそんな悪口許しませんよ。


「……悪かった。もう言わない。それでハル、虎太郎に会いに行かないか?この後、時間作ってくれてるってさ」

「コタローくんに…?」

久しぶりに会いたい…。思わず目を輝かせる私にモカちゃんがくすりと微笑む。

「行ってきなよ。用事終わったら連絡して?」

モカちゃんはスマホを見せる。入学式の直後に私達は連絡先を交換しているので問題ない。

「ごめんね、モカちゃん。じゃあちょっと行ってくる!」

私は鞄に残りの荷物を詰めると立ち上がる。

「おうよ、楽しんでおいで。弟くん、あんまり邪魔しない様にね?」

「お前に言われたくない」

モカちゃんはソラの前でキャラを作ることを止めたらしい…でもこなしてるイベントがあるってことは狙ってる人がいるってことかな…?それも含めて後で聞いてみよう。

「行くぞ、ハル」

「あ、待って!」

手を振るモカちゃんに見送られながら私とソラは教室を後にした。


「アイツと友達になったの?」

隣を歩きながらソラは首を傾げる。何処か不満そうだ、いきなり押し潰されたわけだからあまり良い印象が無いのかもしれない。

「うん、そうなの!」

つい嬉しくて口許が緩む。

「…男じゃないならいいか」

「ん?何が?」

「別に」

意味が分からなくて首を傾げるとソラは視線をそらす。そうして歩くうちに目的についたらしい。

「ここで虎太郎が待ってるってさ」

そういってソラがノックしたドアには『生徒会室』のプレートが貼り付けられていた。




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