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9話 乙女ゲームを手にいれろ!

私はおやつを終えると紅茶談義を始めたソラと虎太郎くんを置いてお母様の元に走った。もちろん、乙女ゲームをおねだりするためだ。

ハードとソフトでそれなりの金額するだろう、しないはずがない。なのでその為ならお手伝いだろうと家事だろうとなんでもやる!


その決意を秘めてお母様の部屋をノックするとすぐに返事があった。ドキドキしながら中にはいる。

「あらハルちゃん、どうしたの?」

お母様は机に向かっていたようで椅子から立ち上がると私の元に来て首を傾げた。

「お母様、お願いがあるの!」

「あら、珍しい。なにかしら?」

「あのね…その………」

私から何か欲しいとか言い出すのは実は初めてだったりする。それくらいこの両親は充分な位、いろんなものを与えてくれている。だから必要だとも思わなかった。

けれど、言わねば!

一度深呼吸してお母様を見上げる。


「ゲームが欲しいの!」


言った!言えた!まさか『ゲームが欲しい』その一言にこれだけの気力を使うとは思わなかった!


「ゲーム?ボードゲームなら遊戯室にあったと思うけど…そうじゃないの?」

私の言葉にお母様は首をかしげた後、どんなものなのか詳しく教えて?と私をソファーに座るように促し、その隣に自分も座る。


よし、乙女ゲームが如何に素晴らしいか、お母様にプレゼンしなければ!!

それによって今後の乙女ゲームプレイ人生が変わる!!


私はゲーム機の良いところを余すことなく話し乙女ゲームが如何に人生を豊かにしてくれるか、それによって淑女としてのあり方を学べるという事(多少オーバーに話したことは認めます)をお母様に語って聞かせた。

暫く私のプレゼンを熱心に聞いていたお母様は、私が語り終えたのを見ると暫く腕を組んで考え始めた。

ゲーム機の金額はそこそこするし、教育方針によっては子供にゲーム機を持たせたくないという親御さんもいるだろう。



うちの両親はどっちだろう……。

やっぱり、そんなものダメって言われるかなぁ……


「良いんじゃないかしら?」


ほらやっぱり………ん?……今、なんと?


「いいの?」

「えぇ、ハルちゃんはお勉強も出きるし、お父様とお母様を困らせるような我が儘を言ったこともないし。何か欲しいなんて初めてだもの。あ、でもお母様だけじゃ決められないからお父様にも相談するけど…いいわよね?」

「もちろん!ありがとうお母様!」

嬉しさのあまりお母様にぎゅっと抱きつくと、よしよしと頭を撫でられる。

「でも、時間をちゃんと決めて勉強に差し支えないようにね?」

「はい!」


お母様が聖母!後光がさして見えるよ!なんなら撮影機材並みのライトを持ってきて後ろから人力で当てます!

私は心の中で両手を上げて、お母様を称える万歳を繰り返した。







◇◇

その週の土曜日。私達はお父様の仕事がお休みということもあり、家族で出掛けることになった。目的はもちろん、私がおねだりした乙女ゲームを買うためだ!

因みに虎太郎くんは家族水入らずの時間を邪魔したくはないと、家に残った……後でお土産買っていこう、なんか気を使わせてごめん。


でも、でも!もう、楽しみで昨日は眠れなかった!と言いたいけれどなんとか睡魔を呼び寄せようと羊を数え、500まで数えた辺りで気がつけば朝でした!うん、がっつり寝てましたよ。

とりあえず、ハードと合わせてソフトを1本買ってくれるというお父様の言葉に全力で甘えてどんな物にしようか悩みまくった。

と言っても、この世界で発売されている乙女ゲームがどんな物なのか私には分からない。お母様に語ったのはあくまで前世での乙女ゲーム知識だ。


学園物かファンタジー物か、もしくは歴史物でも良い。とりあえず攻略キャラクターが多くて長く楽しめるやつを探す!事前にネットとかで調べられなかったのがとても悔しい…しかしそればっかりは仕方ない。


因みに乙女ゲームのプレイヤーにはいろんなタイプがいると思うが、私はメインヒーローから順番に片っ端から全員攻略する派だ。なのでだいたい箱推し(1つの作品のキャラクター全てが好きで推し)になる。


……浮気?何を言ってるんですか、1人しかプレイしないで一途ですよアピールしたって私としてはなにも得がないし、全員プレイした方が制作側にも失礼がないでしょう!

攻略キャラクター1人1人に制作者の愛と情熱が込められているんだよ!?キャラクター設定、イラスト、声優さん!それはそのキャラの為に制作側が時間をかけて作りあげた言わば1つの美術品だ!

それをプレイしないなんて制作者への冒涜だよ!作品リスペクトするなら全員プレイしてこそでしょ!?…おっとつい熱が入ってしまった。



因みに私はキャラとの恋愛を現実世界に変換するほど入れ込むようなタイプではない。

前世で聞いた話の一部だけど「この作品の○○キャラクターは私のものだから取らないで!」みたいなタイプとはぶっちゃけ相容れない。

そんな事言ってるような人を尊重したら公式が倒産するだろうし、本当に心から作品やキャラクターが好きだと言うのならそんな自分本意な発言はまずしないだろう。

同担拒否とかも正直意味が分からない。現実世界で○○キャラクターと付き合ってますとか素で言い出す様な頭のネジぶっとんじゃってる方々も苦手です。あくまでごっこ遊びというかゲームという事を認識したうえで、付き合うならこんなキャラ!とか話すのは寧ろ好きなんだけど。

なんというか現実とゲームの区別がつかないガチな方々は無理です、大人として。それが許されるのは小学校低学年くらいまでだよ。

仮にキャラクラーが現実に出てきたとしても、周りを異常に敵視したり不愉快にさせて自分の要求を通そうとする人に好意を抱きますかね?

…いや、まぁそういう盲目的な人が好きという人もいるかもしれないけどさ。その変はちょっとノーカンで。

私が乙女ゲームの攻略キャラクターなら絶対好意は抱かない。むしろ嫌悪&ドン引きする。もう少し回りも見ようぜ?お前1人が生きる世界じゃないんだから、とか思う。

あくまで私個人の意見だけどね。



私の乙女ゲーム事情はさておき、やって来たデパート!のゲームコーナー!(兼電化製品売り場)

はやる気持ちを押さえて冷静に陳列されたゲームソフトを前に仁王立ちする。

少し離れたところではソラと両親が「今はこんなものがあるんだね」「私達が子供の頃は…」と昔話をしていた。


ソラ、真面目に聞かなくても良いんだよ……?特にお父様の子供時代の話はやたら長くなるから。


私は既に何度も同じことを聞かされているので、最近は取り合わないようにしている。3回目までは大人しく聞いたけれど4回目からは「前にも聞きました」と逃げることにしていた。そのせいか、今度はソラが捕まってしまっているけれど。


それはさておき、ゲームだゲーム!!


面展されたゲームソフトの右側、売れ筋ゲームの端に追いやられるやように乙女ゲームを見つけた。


いいぃぃやっほおおおぉうう!!!ゲームだ、乙女ゲームだ、わああぁいいい!!


内心小躍りしながら、乙女ゲームのケースを取り敢えず1つ手に取る。

ケースはダミーだ、パッケージをコピーしてダミー用のケースに差し込んだものだろう。レジで中身入りと交換してくれる、盗難防止タイプ。


さてさて、これはどんなストーリーの乙女ゲームかな?


表紙を見るとイケメンがずらりと並んでいてその中央にヒロインと思わしき女の子がいる。さっとパッケージをみて驚いた。


この世界の乙女ゲームにも 獣耳があるじゃないか!!


他のゲームのパッケージを見ても全部のキャラに犬耳、もしくは猫耳がついている。唯一ついてないのはファンタジーものに描かれている妖精っぽいキャラクターだけだ。


うぬぬぬ…この世界では獣耳がデフォなのか……だがしかしそれも良い!いろんな形があるもんね!




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