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14.アルフェルド

 バルツクローゲンから旅立ち、太陽が西の空に沈む頃、俺とシンシアはようやく目的地へと到着する。

目的地といっても王都では無い。バルツクローゲンと王都を結ぶ街道、その間にある小さな村だ。


「シンシア、とりあえず今日はここで宿をとりましょう」


村の入り口で馬を降り、シンシアへと手を差し伸べ降りるのを手伝う。

ここまで馬は大人しくシンシアを背に乗せ続けてくれた。じれったくて暴れだすのではないか、と思うくらいゆっくりとしたペースだったが、どうやら馬達はシンシアを気に入ってくれたらしい。


「すみません……私のせいでこんなに時間が掛ってしまって……」


申し訳なさそうに顔を伏せるシンシア。

俺は馬の手綱を引きながら、そんなシンシアへと


「上出来ですよ。お尻、痛いんじゃないんですか? 良く我慢しましたね」


図星だったのかシンシアは顔を真っ赤にして黙ってしまった。

少し調子に乗り過ぎただろうか。まあ、今後共に旅を続ける仲なのだ。このくらいがちょうどいいだろう。


「シンシア、私は馬を預けてきます。一足先に宿をとってきて貰えますか?」


俺は金が入った革袋をシンシアへと手渡す。

シンシアは目を丸くしつつ、何か戸惑っていた。


「宿……ですか? なんていえば……」


そこからか。

まあ、考えたらバルツクローゲンからまともに外に出た事が無いのだ。

無理もないかもしれないが……。


「まあ、人数と部屋が空いているかどうかを聞けば……」


「な、なるほど……行ってきますっ!」


何処か少年のように、シンシアは不安そうな表情から一変して張り切って宿屋へと。

まあ何事も経験だ。この村なら詐欺に合う事も無いだろう。


 俺はそのまま馬小屋へと赴き、二匹の馬を預かってもらう。

代金は予め革袋から抜いておいた。


「まいど。ところでアンタ騎士? スコルアに行くのか?」


「あぁ、そうだが……何か?」


馬小屋の主人は喜々とした表情で俺に話しかけてくる。

何かいいことでもあったのだろうか。


「新たな英雄が現れたって皆騒いでるよ。アンタもその口で行くんじゃないのか?」


「英雄?」


「知らねえのか? ザナリアとかいう魔人を討伐したとかで……」


……なんだと。

まさかその英雄とは……俺の事か?


「楽しみだなぁ。これで魔人共は今より大人しくなるって話だしな」


「あ、あぁ……そうだな」


適当に話を終わらせ、馬小屋から離れると思わず溜息が出る。

俺が英雄? そんな馬鹿な。そんな存在とは一番かけ離れた存在だ、俺は。

英雄とは清廉潔白な聖人……とは行かないが、少なくとも俺のように捻くれた騎士がなれる物では無い。

普段は猫を被っているが、俺は戦いとなると自分でも抑えられない衝動に駆られる。ザナリアの時もそうだったが、このまま戦い続けていたい、そんな風に思ってしまった。


「やはり勲章の授与は断るか……いや、しかし……」


こんな小さな村にまで話が行きわたっているのだ。

恐らくスコルアには人が相当に集まっている。そんな中で勲章なんぞいらん……なんて言い放とう物なら晒し首にされる事は目に見えている。王族と貴族の顔に泥を塗るような物だ。俺はもっと細々とした授与式だと思っていたのに……。


「……アルフェルド?」


その時、背後から俺の名を呼んでくる男の声が。

振り向き顔を確認すると、そこに立っていたのは俺も良く知る騎士隊長の一人、チェーザレ・シスタリア。


「ははっ! ようやく会えたな! お前ぇ……何をこんな所で油売ってんだ?」


突然肩を組んでくるチェーザレ。そのまま怪しい笑顔で俺を舐めるように見てくる。


「少し痩せたか? ザナリアにこっぴどくやられたか、でもお前はやっぱり俺の見込んだ通りの騎士……」


「ちょ、待てチェーザレ。お前こそここで何をしている」


「何って……魔人討伐の帰りだよ。アルベルタが襲われたってんで行ってみたら……何のこと無い、ただの雑魚だった」


ちなみにアルベルタとは、ここから東に位置する港町。

そこからの帰りに、この村へ寄ったのか。しかし雑魚だったと言う割りには、チェーザレの鎧は血で汚れていた。討伐任務というより、まるで戦場から帰ってきたかのような返り血の量だ。


「チェーザレ……その血は……」


「あ? だから魔人の盗伐任務の帰りだっつってんだろ」


「……何体居た」


「あー……まあ、二百匹くらい?」


今、村にはチェーザレの部下らしき騎士は見当たらない。

まさかコイツ……


「また一人で独走したのか? ドレインがまたブチきれるぞ」


ドレインとはチェーザレの副官的な存在。

いつも独走するチェーザレの尻拭いをさせられている不幸な女性騎士だ。


「だってメンドくせーんだよ。ドレインちゃんが慎重なのは分かるけど……アルベルタに常駐してる騎士隊が時間稼いでる間に到着しないと不味いだろ? だったら……」


「お前は自分の立場を……いや、俺が言えた口じゃないか……」


俺がそう零すと、チェーザレは大声で笑いながら背中を叩いてくる。


「そうだよなぁ! お前こそ王都からの応援を待つべきだっただろ、相手はあのイルベルサの怪物だったんだからよ」


「ああ、もう、五月蠅い。俺はもう宿に行くぞ」


シンシアが待っているであろう宿屋は既に視界に入っている。

俺はそちらへと歩き出すと、何故かチェーザレも付いてきた。


「……何か用か」


「いや、なんで宿屋よ。お前王都に帰らないのか?」


コイツ……俺がザナリアを討伐した事は知っているのにシンシアの事は知らないのか。

相変わらず人の話を聞かない奴だ。恐らくリエナ様の報告も、大半は右から左に流れているのだろう。


「俺は今護衛任務中なんだ。まだ馬にもまともに乗れない娘だからな、日が沈んだ後に出歩くのは危険だ」


「あー、あーあーあー。なんかそんな事言ってたな……親父が」


頷きながら納得するチェーザレを尻目に、俺は宿屋へと足を運ぶ。

当然のようにチェーザレも付いてきた。まあいい、護衛は多いに越した事は無い。



 ※



 宿屋の中に入ると、ポツンとシンシアは一人、玄関口で待っていた。

今にも泣きそうな顔で。


「シンシア、部屋は取れましたか……? どうしたんです?」


「……いえ、部屋は取れましたが……すみません、別に何も……」


と、その時一際大きな腹の音がシンシアから発せられた。

途端に顔を再び真っ赤にするシンシア。成程、腹が減っていたのか。


「待たせてしまってすみません。変人に絡まれてしまって……宿の主人に食事を頼みましょう」


「いえ、別にそこまで待っては……って変人?」


シンシアは俺の後ろに佇む騎士へと目線を向ける。

そしてだんだんと顔が青ざめていくのが分かった。


「チェ……チェーザレ王子……! 何でこんなところに……!」


そう、この男……チェーザレ・シスタリアは家名からも分かる通り……王族だ。

しかも七人の王子達の中でも長男に当たる。まごうことなき時期国王だが……本人にその意志は無い。


「ん? あぁ、よろしくさん。王子は止めてくれ。俺の事はチェーザレでいいよ」


「は、はい? え? えっ? 変人って……」


慌てふためくシンシア。

俺はそっとその肩を抱いて、そそくさと宿の食堂へと。

そのままシンシアへと耳打ちする。


「あまり気にしないでください。彼は確かに王子ですが、一騎士に過ぎません」


「いや、そんな……」


「いいですから……」


 そのまま宿屋の主人へと食事を頼み、先にシンシアを席に着かせると当たり前のようにチェーザレも席に。しかも血まみれの鎧を付けたまま。


「チェーザレ、せめて胸当てだけでも取れ。飯を食うんだぞ、これから」


「ん? おう、スマンスマン」


シンシアは王子になんて口を! と表情だけで俺に伝えてくる。

まあ、最初は仕方ない。だが慣れだ、こんなものは。




 ※



 

 三人で宿屋の主人による手料理を囲む。

非常に食欲を刺激する肉料理の数々に、目を丸くするシンシア。

バルツクローゲンではこんな肉料理はそうそう食べれないだろう。

何せあの街では大半が魔術師。野生の獣を狩りなどせず、自分達で栽培した野菜や果物、それに魚や卵などが主だった筈だ。モモルさんが用意してくれた食事にも、肉料理などたまにしか出てこなかった。


 食事が用意されるなり、骨付き肉を取り齧り付くチェーザレ。

その食べっぷりは正に王族のそれだ。口の周りを汚しつつ豪快に食べている。


「ぁ、あの……チェーザレ王子……ぁっ、えっと……チェーザレ……さま?」


「呼び捨てでいいって。そういう君の名前は? 俺まだ聞いてないんだけども……」


「はっ! し、失礼しました! 王子!」


「だから王子は要らねえって」


ケラケラと笑いながらシンシアの反応を楽しんでいるチェーザレ。

シンシアは自己紹介を交えつつ、何故自分がここに居るかなども説明する。

ナハトとなるべく修行の旅に出たばかりだということも。


「ナハト? あぁ、マシルの幹部候補か。だったら肉食って体力付けねえとな。ほら、食え食え」


「は、はい……頂きます……」


ちなみにこの食事代も俺の金なんだが。

まあいい、チェーザレの言う通り……シンシアは体力を付けるべきだ。

もう少し太った方がいい。今は少し痩せすぎだ。


 蝋燭の火のみで照らされる室内。

窓の外は既に真っ暗で、月明かりのみで村が照らされてる。

 シンシアは相変わらずチェーザレに恐縮してしまい、緊張であまり食事が喉に通らないようだ。

ここは……チェーザレがいかに変人かを理解させる必要があるな。


「シンシア、そんなに緊張しなくてもいいですよ。先ほども言いましたがチェーザレは変人です。王族で……しかも次期国王と期待されていながら、それをものの見事に蹴って騎士に身を堕としたんですから」


「相変わらず酷え言い方だな、オイ」


チェーザレは相変わらず笑いながら食事を続ける。

シンシアは興味深そうに俺の話に耳を傾けてくれた。


「何故……騎士になったんですか? 王族は退屈だったんですか?」


「中々いい質問をする。シンシアちゃん」


いや、当然の質問だろう。

お前を見て何故と首を傾げない人間など居ない。


「まあ単純な話だ。俺の弟の方が国王に向いてると思ったんだ。だから俺は騎士として弟を守る側として生きる事を選んだってだけだ」


「……弟というと、ライオネル様でしょうか」


「そそ」


ライオネル・シスタリア。王族の中では三番目の兄弟。ちなみにチェーザレとライオネルの間には長女も居るが、実はその長女もチェーザレと同じく騎士の道を選んだ。動機もほぼほぼ同じだが、あちらは現在王族護衛団、その団長としてしっかりと任務に従事している。フラフラと独走する兄とは似ても似つかない。


「ライオネルは頭いいし顔もいい。一つ欠点をあげるとすれば……真面目すぎる所か」


「お前と半々にすれば丁度良かったのにな。ライオネル王子に真面目さを吸い取られたか」


「ははっ、そうみたいだな。ともかくシンシアちゃん、俺は確かに王族だが……今は一騎士として扱ってもらいたい。勿論これは俺のワガママだ。強制はしない。ちょっとスネるだけだ」


子供か。

しかしチェーザレは王族という肩書で騎士隊長にまで上り詰めたのではない。

騎士隊長を指名するのは騎士団長であるウォーレン・カルシウスだ。彼は王族だろうが貴族だろうが容赦しない。実力が無いと判断すれば即座に騎士から除名する。チェーザレはそんな騎士団長から実力を買われ、正真正銘の騎士隊長として一角を担っている。一人で二百体の魔人を始末したのだ、今更そんな説明は不要だとは思うが。


 シンシアは俺達の遠慮のない会話を聞きながら、だんだんと慣れてきたのか食事が進むようになった。

いい傾向だ。


「ところでアルフェルド、お前勲章受け取るよな? 親父が直々に指名した由緒正しい最高の勲章だ。断ったら多分その場で……」


首を手で横に切るジェスチャーをするチェーザレ。

いや、待て……今何と言った。国王直々に指名した最高の勲章?

まさかそれは……


「なんだ、もしかして聞いてないのか。お前に与えられる勲章はアリアクランゼだぞ」


 飯を食うのも忘れて呆けてしまう。

シンシアも聞き間違いではないか、ともう一度チェーザレへ確認をするように聞き直した。


「いや、だからアリアクランゼ……って、お前等……本当に知らなかったのか」


シンシアと同時に頷く俺。

アリアクランゼという勲章は間違いなく最高位の物だ。

国王の一存のみで与えられる勲章で、歴史上それを受け取った者は数人程度。

それの誰もがシスタリアの英雄として語られている。


 シンシアは俺の顔色を伺うなり、そっと取り皿に肉をわけてくれる。


「前祝い……しましょうか。まだ頭が追い付いていませんが……」


「え? あぁ、はい……」


何という事だ。

第一王子のチェーザレが言うのだ、間違い無いだろう。

この俺がシスタリアで最高位の勲章を与えられる……そんな事があっていいのか。


「なあ、チェーザレ……なんとか……国王に掛け合ってもらえないか。勲章は無かったことに……」


そんな勲章受け取って良いはずが無い。

英雄と呼ばれるに値するような人間ではない、俺は……。


「諦めろ。真面目な話、今回の勲章は国王の一存なんだ。断れば国への反逆罪に問われるぞ」


「しかし……」


「しかしもカカシも無え。お前はもう受け取るしか無えんだよ。何をそんな遠慮してるんだ」


遠慮しているわけでは無い。

話に付いていけないだけだ。アリアクランゼなんて名誉を……ただの一騎士が……。


いや、待て……もし勲章を受け取ってしまったら……シンシアの護衛任務はどうなる?


「んなもん、解かれるに決まってんだろ。なんだったら俺の隊から優秀な奴選出して……」


「駄目だ……シンシアの護衛は俺だけだ。この護衛任務が続けられないなら……死んでも勲章など受け取らない」


俺がそう言い放つと、シンシアは何故か真っ赤な顔に……そしてチェーザレは呆れたように


「お前なぁ……死んでもって、ホントに殺されちまうんだぞ。だったらリエナ様にお願い奉ったらどうだ。あの人だって大戦の英雄でシンシアちゃんの師匠なんだろ? 護衛の騎士はお前しかないって親父殿に進言してもらえよ」


「それは……そうか、その手が……シンシア、明日もう一度バルツクローゲンへ戻って……」


「いえ、その必要はないです……この子に伝えてもらいましょう……」


いいつつ青い宝石を懐から取り出すシンシア。

それは……もしかして守護霊か。酒が大好きだという……


「お酒は……ありますか?」


「お、飲む? でも俺一応任務中……」


「チェーザレ、酔いつぶれても構わん。頼む」


元々俺はシンシアの護衛だ。

チェーザレが酔いつぶれても、ついでに守るくらいは出来る。


「では……少し口の悪い子ですが、根は良い子なので……」


シンシアは青い宝石に手を翳し、祈りをささげるように目を伏せる。

すると宝石は淡く発光しだし、シンシアの膝の上へと……まるで幽霊のように薄く、ぼんやりと子供の姿が現れた。


これが守護霊か。

初めて見るわけではないが、シンシアの守護霊は何処か酷く存在が薄い。

本当に幽霊のようだ。俺が今まで見てきたのはしっかりと実体があったが……。


「エリーゼ、ご挨拶を……」


シンシアの言葉に、エリーゼと呼ばれた守護霊は顔を上げ、俺とチェーザレへ目線を移動させる。

そのまま、まるで妖精か何かのようにテーブルの上へと、今からダンスをするかの如く飛び乗り俺とチェーザレへ軽くお辞儀をしてくる。


「エリーゼ……ご挨拶を」


再びシンシアは同じ事を言う。

いや、挨拶なら今されたではないか。可愛くお辞儀を……


「エリーゼ?」


『だぁぁ! うるせえな! むさい男二人に囲まれて息したくねえんだよ!』


なんだ、今の声は。

もしかしてこの守護霊の声か。


「エリーゼ? なんでそんな言葉使いなの? 女の子なんだからもっと上品に……」


『うるさいうるさいうるさい! 俺の勝手だろうが!』


「エリーゼ? だめよ? 俺なんて言っちゃ……ちゃんと私って……」


『うるせえっつってんだよ! 俺は俺でいいんだよ!』


「エリーゼ? なんでそんな事いうの? 私の事嫌い?」


しばらくシンシアとエリーゼの寸劇が続く。

俺とチェーザレは二人の様子を伺いつつ、ちまちまと食事を続けていた。


シンシアとエリーゼ……どう見ても反抗期の親子だな。

守護霊とは死した人間や動物、時には魔人の魂へと祈りを捧げて望みを叶えてもらうというもの。

しかし、こちらも守護霊の要望にこたえなければならない。しかしモモルさん曰く、最近守護霊の事を理解せず、まるで道具のように扱う魔術師が増えていると言っていたのだから、必ずしも守護霊の要望には応えなくても良いとも解釈できる。


 寸劇を続けるシンシアとエリーゼ。

俺はひと段落したところへ、そっと割って入る。


「シンシア、そろそろ……」


「あぁ、はい。エリーゼ、リエナ様に伝言を頼みたいのだけれど……」


『じゃあ酒だ! 酒を持ってこい! おい、ムサイ男ども! お前らは飲めるよな?』


これは……要望に答えなければこちらの願いも聞き届けて貰えないか。

 俺は部屋の外へ出て、宿屋の主人へと酒を頼む。

すると主人は酒樽を丸々一つ抱えて持ってくる。


「酒酒ーっ」


『さっけさけーっ!』


早くも意気投合するチェーザレとエリーゼ。

チェーザレは拳で酒樽の蓋を割り、木製のジョッキで汲み取りエリーゼとシンシアに手渡した。


「アルフェルドは?」


「俺はいい。お前が付き合ってやれ」


伝言一つ頼むのに酒に付き合ってやらねばならんとは……。

なんて面倒くさい守護霊なんだ。まあ平和的でいいかもしれないが。

中には血や人間の内臓を求めてくる守護霊も居るらしい。

それに比べれば可愛い物か。


 そのまま俺以外の三人は乾杯をし、宴が始まる。

俺は三人がいい感じに酔ってきたのを見計らい、宿屋の外へ。


冷たい空気に体を晒し、空を見上げる。

満天の星空とは別に、煌々と輝く月が。


「マルコシアス……お前が生きていたら……」


アリアクランゼを与えられるにふさわしい騎士は俺じゃない。

マルコシアスと俺の立場が逆だったら……彼も同じ事を言っただろう。


シンシアの護衛云々とは別に、その名誉ある勲章を受け取る事、それ自体に罪悪感に似た何かを感じる。


その勲章は……本当に俺のような者が受け取って良い物かと。

ただ……ひたすらに。




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