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第55話 戦闘メカ ザブングル(1982-83年)

 これまた名作揃いの82年でも最初期スタート(2月6日放送開始)の作品、ザブングルの登場です。富野監督のリアルロボット第二作……とは素直にいかないところが富野監督の富野監督たる所以(ゆえん)。リアルタイム時に見てたのと、大人になってからCS放送で全話チェックしました。本作もスパロボに出てたりしますが、その頃のスパロボはやってません。


 ウォーカーマシン(以下WMと略記)と呼ばれる量産型のロボが山ほど出てきて活躍する、という意味ではリアルロボに分類されるのですが、作品自体は「陽の富野」が本領を発揮したコメディタッチの快作だったりするので、いわゆる「リアルロボット」の作風になってません。物理法則無視した動きをして「漫画だからね」とか登場人物がメタいこと言っちゃう作品ですから(笑)。これWikiによると劇場版やスパロボだと「アニメだからね」になってるそうですが、残念ながらそっちは未見です。


 もっとも、コメディタッチとは言っても、主人公ジロンは両親を殺された復讐に燃えてたり、ヒロインのエルチもいきなり父親が死亡したり、敵に洗脳されて恋人のジロンとガチ敵対したり、最後は失明したりと結構ハードな展開もあります。


 どんな犯罪をしても三日間逃げ切れば許さないといけないという「三日限りの掟」というものが存在する惑星ゾラが舞台ですが、第1話で「惑星ゾラと呼ばれる地球」とかナレーションが入っていることや、過去の遺産が所蔵されている博物館の修造物などから「荒廃した未来の地球」が舞台であることがわかります。このゾラでは、実際に地上で野蛮に近い生活している「シビリアン」と、環境を整えたドーム内で文化的な生活を営んでいる支配層「イノセント」に分かれており、WMなどの科学技術の産物はイノセントからシビリアンに下げ渡されるものとなっています。作品見てたときには気付いてなかったんですが、Wikiによると修理技術みたいなものも余りないと書いてありました。


 このあたり、同じ82年後半作品の『マクロス』における文化や修復技術を持たないゼントラーディ人とシビリアンの類似性を今更ながらに気付いたり(笑)。


 さて、その「三日限りの掟」を破って、両親を殺したティンプ(声優は銀河万丈)への復讐に執念を燃やしているジロンは、掟破りの男として変な目で見られていますが、その常識にとらわれないところは、やがてイノセントの支配を覆す動きのリーダーに彼を押し上げます。


 もっとも、中盤まではカタカムという男がそうした運動のリーダー格だったのですが、サブタイトルで「カタカムは終わった」とかいう話があるように、途中で失脚して退場します。これが退場するだけで死んでもいないというところがザブングルらしかったり(笑)。まあ、自爆したと思われて葬式は出されてので作中では死亡扱いですけど。


 なお、このジロン、作中でも丸顔だの何だのと呼ばれてるように、キャラデザ的にいうと全然ハンサムじゃありません(笑)。ところが、言動や行動から結構モテモテという、ある意味男の理想だったりするキャラなんですよねえ。


 実はシビリアンとは荒廃したゾラでも生活していけるように作られた新人類で、ゾラの自然環境下では生存できないイノセントは本来はシビリアンにゾラの支配権を渡そうとしていたのですが、実権を渡すことを拒むイノセントの一派がイノセント支配を続けようとしていました。そこで、本来の理想を追求しようとするイノセントのリーダーであるアーサーがジロンたちと手を組んでイノセント既得権益擁護派を倒すことで物語は終わります。


 その過程でジロンたちに敵対していたエルチは洗脳を解除されて記憶を取り戻し、失明したことと相まって荒野に逃げだしてしまいますが、ジロンは彼女を追いかけて、一緒に生きようと説得してハッピーエンド。


 これだけでも今までの富野作品で一番スカッとした終わり方してるのに、劇場版では死んだはずのアーサー様も実は生きてたことが判明し、エルチの失明も治ることが示唆されて終わるそうです。こっちは未見なのでWiki情報ですけど。


 そういえば、ジロンの宿敵ティンプすら死んでないんですよね。普通ならこれはモヤモヤした気分を抱かせる要因になるはずなんですが、大して気にならないという。まあ、当のジロンが途中からあまり復讐にこだわらなくなってはいましたんで。


 さて、本作のロボ的な魅力といえば、数々のリアリティあふれるWM……なはずなのですが、正直、そんなにカッコ良いとは思えないんですよねえ(笑)。プラモの売り上げとかもあまり振るわなかったようで、一部キットはモックアップが発表されてるのに販売中止になったとかWikiに書いてありました。


 実際、この頃というと私はガンダムのプラモは山ほど買ってるのに、ザブングルのプラモを買ったおぼえはまったく無いです。確かに、タミヤの戦車とかを思い起こさせるタッチのボックスアートはカッコ良かったんですけど、じゃあキットが魅力的かというと、そうでもなかったんですよね。


 教訓、いくらリアルロボが受けてるからって、ただひたすらリアルにすればいいってモンじゃない(笑)。


 じゃあ本作で何が魅力的だったかって、実は旧来のスーパーロボット然としたデザインで自動車や飛行機形態に変形する主人公ロボ、ザブングルと、ランドシップが変形して超大型WMになるアイアンギアーだったり(笑)。


 このザブングルなんですが、いきなり第1話で二機登場して組み合うという衝撃的なシーンからスタートします。主人公ロボが二機! このシーンは非常に強烈でした。いくら敵や味方の雑魚は量産型が普通になった頃とはいっても、リアルロボであるダグラムすらワンオフだったところに、いきなり二機ですから。作風がコメディなんでリアルタッチではないとは言っても、この「主人公ロボが二機」だけで「リアルロボット」というジャンルにぶち込んでいいと言えるくらいに衝撃的だったんですね。


 もっとも、見分けをつけやすくするためか、片方はいきなり羽が壊れたまま修理もせず、当然変形もしないままで使い続けられます。こっちの壊れた方にジロンが乗ってることが多いというのがザブングルらしいところで(笑)。


 そしてもうひとつのエポックメイキングが、初の主人公乗り換え二号ロボ――作品をまたぐとゲッタードラゴンが、同一デザインならメカンダーロボ二号機があるので、ひとつの作品内においてデザインが違うロボに乗り換えるという意味で――であるウォーカーギャリアの登場です。ザブングル二機のうち一機が本当に壊れて使えなくなったあとでジロンが乗るようになったのが新型WMのウォーカーギャリア。これが、胴体はぶっとくて短足だわ、顔は旧ザクを四角くしたような感じだわで、全然カッコ良くないという(笑)。いや、旧ザクはカッコいいんですけどね。何でだろ。


※なお、特撮まで広げると同一作品内主人公乗り換え二号ロボは「ジャンボーグ9」になるというご指摘を感想で一一様からいただきました。この点については「カクヨム」においてサンシロー様がエッセイ『特撮のおもちゃ箱』の「ジャンボーグA&9」でその先進性を指摘しているのを読んでいました。ただ、ジャンボーグAと9は設定上「宇宙サイボーグ」となっており、実質は操縦するロボであるものの、Wikiなどによると企画書段階からロボットとは差別化することを意図していたとのことで、本作では取り上げておりません。


 リアルタイム時は後半あまり見てなかったんですけど、その理由の半分はウォーカーギャリアがダサかったからなんじゃないかと思ったり(笑)。


 Wiki読んでも、ウォーカーギャリアの玩具の売り上げはあまり良くなかったみたいです。子供は正直だ(笑)。CM見た限りだと、結構アニメを忠実に再現してたみたいなんですけどね。


 玩具と言えば、欲しかったのがアイアンギアー。ザブングルはそれほどでもなかったんですが、アイアンギアーは欲しかったなあ。あ、でも弟がザブングルの小さな玩具持ってたなあ。プラモじゃなくてプラスティック製の完成品。手の平サイズなのに結構しっかり変形してた記憶があります。


 アイアンギアーは地上を動くランドシップというのが巨大WMに変形するんですが、足になる船首部分に連装砲塔が付いていたり、肩や腰にあたる部分に近接防衛用の機関砲座とかが付いてて、めちゃくちゃ戦艦感があったんですよ……無法の荒野を行く船だから武装が必須とはいえ民間の商用輸送船なのに(笑)。


 なお、設定上は量産されてるみたいなんですが、ザブングルは最初の二機以外は同型機は登場せず、ウォーカーギャリアはワンオフの登場だったのに対して、アイアンギアーは実際に同型艦が二隻も登場します。


 最初に出てきたグレタ・ガリーはアイアンギアーと交戦して小破しますが、この戦闘で初代アイアンギアーが大破したので、ジロンたちはグレタ・ガリーを奪って二代目アイアンギアーとします。外見は同じでもグレタ・ガリーの方が高性能になっていたようです。


 そのあと、さらに改良されたギアー・ギアーというのが登場して、これは洗脳されたエルチが指揮してアイアンギアーに戦いを挑んできます。相違点としては、頭部(艦橋部)の上にエルチが立って指揮するお立ち台が設置されたところでしょうか。なお、Wikiなどでは「ギア・ギア」って表記されてますけど、リアルタイム時や再放送時に作中の登場人物のセリフを聞いた感じでは「ギアー・ギアー」と伸ばしてる風に聞こえたんで、本稿ではそちらで記述しています。


 こいつら以外で特に印象に残ってるとなると、ウォーカーギャリア風の胴体にザブングルの頭を継ぎ足したようなデザインの、ティンプの愛機ブラッカリィ(これもワンオフ登場)ぐらいなんですよね。


 結局、私がザブングルで魅力的に感じたロボというと、旧来のスーパーロボット系のザブングルと、戦艦が変形するというこれまたスーパー系ギミック満載のアイアンギアーだったという。


 このことから考えても、やっぱりザブングルってリアルロボットじゃなくてスーパー系なんじゃないかなとか思ったりしました(笑)。


 あと、これも主題歌がカッコ良い燃える歌なんですよ。オープニング映像も良くて、飛行形態のザブングルがジロンの上を飛び越えてくシーンとか、歌い出しの後の間奏部の「ジャーンジャーンジャーンジャン!」×2の部分でアイアンギアーが変形するシーンがカッコ良かったなあ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 明けまして。 そうなのですか。やはり本放送をきちんと見ないとダメですねえ。キリコも一見エゴスティックだけど根はいいやつ、という設定も上手く生かされてなかった気がしたんですよねえ。 今回…
[良い点] 『ザブングル』の主題歌・BGM含む音楽監督は、馬飼野康二さんです。当時、弟がザブングルに狂ってて、サントラのカセットテープを持ってたので知ってたんですね。 『忍たま』のマカイノ先生でもお…
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