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第35話 機動戦士ガンダム その15 立てよ国民よ!編

 もういい加減次のロボに行きたい気分も出てきたガンダム話15回目でございます。でも書いちゃうのはネタが尽きないから。この人については書かざるをえまいよ。ということで、今回はサブタイが示すとおり、ギレン閣下その他でお送りいたします。


 ギレン・ザビ。ラスボスです。初期ラスボスの父親、公王デギン・ザビをソーラ・レイで敵将レビルごと焼き殺し文字通り独裁権を握るものの「兄上も意外とお甘いようで」と妹キシリアに背後から撃ち殺されて死亡。銃をつきつけられてるのに「冗談はよせ」と本気で言ってるあたりに本人の自信過剰が見て取れます。


 この人は何と言っても演説に尽きるでしょう。サブタイのガルマ追悼演説「ガルマはなぜ死んだのか!?」とか、ア・バオア・クーでの「あえて言おう、カスであると!」とか、名言の宝庫です(ガルマの方は、シャアの「坊やだからさ」のツッコみ込みで)。


 演説以外でも「ヒットラー? 中世期の人物ですな」とかネタとして使える名言が結構あります。これは、その直前のデギンの「貴公はヒットラーの尻尾だな」込みで名言。


 とにかく「悪のラスボス」としての魅力に満ちあふれてる人物です。全身これ信念の(かたまり)。自分のやってることが「正しい」と信じて疑ってません。作中の「せっかく減った人口です」「優良な人種だけを残す」「それ以外に()()()()()()()()は望めません」「そのためにはザビ家独裁による人類のコントロールしかありません」などのセリフから「人類は自分が独裁管理することで救われる」という確信がドバドバあふれてきています。世間一般の善悪理非じゃないところに判断基準がある。だから、何十億人殺そうがビクともしない。ギレンに聞けばこう答えるでしょう「必要なことだ。そうしなければ人類は滅ぶ」。


 そう、ギレンは彼の主観的には人類愛に満ちあふれた「人類の永遠の平和のために戦う戦士」なのです!(爆) 「愛と平和の戦士ギレン・ザビ」!!(核爆) 


 これに対しては、ブライトのように「ザビ家の独裁をもくろむ男が何を言うのか!?」とか叫んでもどうもなりません。だって平和と人類の救済のためには必要なんだもん。


 ……実はこれ、『逆シャア』のときのシャアが半分このモード入っちゃってます。皮肉なことに。シニカルなシャアは自分でそれを自覚して「これでは道化だよ」とか言ってますけど。これについては『逆シャア』のところで語りましょう。


 ここまで強烈なラスボスというのは、そうはいません。だから、ガンダム(アムロ)ともシャアとも戦わずキシリアに殺されるというポジションでありながら、ラスボスはギレンだと誰もが思っているという。


 この「悪の魅力」――本人的には正義でしょうが、我々の基準からすれば大量虐殺をした悪の独裁者です――に惹かれた人は多いようで、ファンは結構います。


 何より、この人が主人公のゲームが作られて人気シリーズになったことがすべてを物語っているでしょう。何度も言及しているシミュレーションゲーム『ギレンの野望』シリーズです。何しろギレンの立場になって、ジオン公国を独裁運営して連邦との戦争の勝利を目指すゲームですから。もうひとりの主人公として連邦側のレビル将軍も選べますが、はっきり言って刺身のつま(笑)。ギレンになりきった気分で楽しむことができます。


 ……もっとも実際にやってみると、ギレンが「地球連邦に比べ我がジオンの国力は三十分の一以下である」とか言ってたのを体感できてしまったり(笑)。安物の量産兵器とはいえドバドバ戦線に投入してくる連邦軍に対抗しようとしても、予算も資源も限られる。新兵器の開発を優先しようとすると戦線が崩壊しそうになるし、戦線維持に汲々(きゅうきゅう)としていると今度は連邦の新兵器が出てきて一気に戦線が崩壊するという悪循環。おまけに前線の一士官の配属まで指示しないといけない。いやー、独裁者って本当に大変ですね!(笑)


 以前に書きましたが「リアルじゃないけどリアリティがある」ってことで、非常に面白いゲームですから、ガンダムオタクでシミュレーションゲームが好きならお勧めですよ……って、そんな人ならとっくにやってるだろうけど(笑)。


 ドズル・ザビについてはビグザムのところで軽く触れてますが、基本的に用兵家として有能です。サブタイにもいただいた「戦いは数だよ兄貴」のセリフからもわかるように、戦略戦術の常道をわきまえて、奇策に頼ろうとかしません。その「奇策」ビグザムを苦し紛れに使って効果があっても、これまたサブタイにいただいた「量産の暁には」と言ってるように、基本は物量であることを忘れていません。二つもサブタイにいただいたように、名ゼリフも結構多いんですよね。


 人事に多少のえこひいきはありますが、特攻時には部下を退艦させるなどの配慮も欠かさず、部下からの信望も厚いタイプ。


 怖い風貌(ふうぼう)に似合わず、女子供にも優しい、いい男なんです。


 これに対してキシリア・ザビは外見通りの冷酷(ねえ)さん。劇場版だと妹にされてしまいましたが、TV版ではドズルの姉です。その割に階級は少将だったりしますが(笑)。


 TV版だと前にも書いたように、機密保持のために鉱山基地を爆破させたりとか冷酷な面が強調されてます。その一方で「男子の面子(めんつ)、軍の権威、それが傷つけられてもジオンが勝利すればよろしい!」と一喝するような合理主義者の面もあります。ただ、この直後に「その上であなたの面子も立ててあげましょう」と言っているので、部下の人心掌握はできていたでしょう。マ・クベのように心酔している部下もいましたし。


 ギレンの政敵として、いろいろ立ち回ったりしていましたが、結局のところ政治的にはギレンから主導権を奪えませんでした。それで、ギレンが父親を殺したことを奇貨(きか)として自らの手で直接射殺するという暴挙に出て、一時的に独裁権を握ったものの、結局これが命取り。肝心の連邦軍との戦闘に敗れて脱出しようとするところをシャアにバズーカで頭をぶち抜かれて死亡しました。


 ……もしかして、このとき脱出用に乗ってたザンジバルってランバ・ラルやシャアの乗艦だったやつ? だったら、いくら復讐のためとはいえ結局それ沈めちゃったシャアも大概なんですが。もっとも、艦橋に一発バズーカぶち込まれただけで爆沈するザンジバルも脆すぎる気が(笑)。


 それなりに有能な人ではあるんですが、ギレンほど明確なビジョンを持ってた感じではないんですよね。何か権力自体を目的としていた感があって、そういう意味ではギレンよりは小者かなという気がします。


 ああ、ザビ家の三人で終わってしまった。早く次に進みたいのに……


 君は生き延びる(ついてくる)ことができるか?(笑)

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