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第333話 機動戦士ガンダム00 その4 主人公業務を分散させすぎ編

 『00』語りの4回目は、気になる脇役について語ろうと思ったのですが、その前に一応主人公サイドの重要脇役「ガンダムマイスター」について軽く触れようと思って書き始めたところ、意外に長くなってしまったので彼らについて語る回にしたいと思います。


 本作のガンダムパイロットは刹那も含めて「ガンダムマイスター」と称しています。なぜドイツ語の「職人」なのかはともかく、何か特別感があるのは確かです。前に「なろう」の活動報告で「何でもドイツ語にするとカッコ良くなる説」について話し合ったことがあるんですけど(笑)、そんな感じでしょうか。


 まずは、狙撃ガンダム乗りの「ロックオン・ストラトス」から。これも偽名で、本名はニール・ディランディとライル・ディランディの双子の兄弟です。ファーストシーズンで兄が戦死して、セカンドシーズンで弟が後を継ぐというパターンで、ロボ的には『ゴライオン』の銀貴と銀亮の兄弟を思い出すんですが、個人的にはむしろ『カムイ伝』パターンだと思ったり。


 兄のニールの方は、一見飄々としたタイプなのですが面倒見の良い兄貴分タイプでした。弟のライルは、優秀な兄にコンプレックスを持っているタイプでしたね。


 兄ニールの方は母艦プトレマイオスのオペレーターであるフェルト・グレイスに軽く慕情を寄せられるのですが、このときフェルト十四歳という事案恋愛だったりします(笑)。


 弟ライルの方はセカンドシーズンから加わった母艦プトレマイオス2の操舵手アニュー・リターナーと恋愛関係になるのですが、彼女は実は敵勢力の人造人間イノベイドで、本人の意志を奪われて敵対関係になってしまいます。この頃だと『グレンラガン』のニアを思い出すのですが、よく考えたらフォウ・ムラサメ以来ガンダムシリーズでもよくあるパターンですね。結局アニューを救うことはできず悲劇で終わるという。


 てか、これ最初から味方として登場するのは珍しいパターンなんですが、実質的には「敵強化人間との悲恋」って歴代ガンダム主人公が担当する伝統の恋愛業務じゃないですか。感想欄で「むしろ主人公らしい」って書かれてたんですが、それも当然かなと。


 なお、ニールに思いを寄せていたフェルトの方は十九歳に成長したセカンドシーズンでは刹那に慕情を抱いたり、敵から寝返ったソーマ・ピーリスを難詰したりと、むしろヒロイン業務をこなしていて、マリナよりヒロインっぽかったりします(笑)。Wiki読む限りでは劇場版では更にヒロインっぽくなってるようなのですが。


 お次が飛行機ガンダム乗りのアレルヤ・ハプティズム。非常に穏やかで優しい人柄なのですが、実は二重人格で、過激で殺伐としたハレルヤという人格が中に潜んでいて、ピンチの時に顔を出したりします。


 こいつ、実は人革連の超兵計画の被験者……というか被害者で、強化人間にされたあげくに失敗作として処分されそうになったところを脱走しています。のちに超兵ソーマと出会って、超兵計画が生き残っていたことを知り、その施設を単独で破壊に行って超兵候補の強化人間を皆殺しにしたりしています。ただ、これは超兵として戦闘に狩り出されて苦しめられるよりは、それから開放してあげたいという思いが強かったようですが。


 そして、その超兵ソーマが、実は超兵機関に捕らわれていたころの恋人マリーが洗脳された姿だったことに気付いて彼女を取り戻そうとします。


 これについては、ソーマのところで詳しく語りたいので、とりあえず置いておきます。


 マイスターの最後はナドレ系に乗っていた「ティエリア・アーデ」。実は人間ではなく人造人間イノベイドだったりします。中性的な男っぽく描かれていて、女装潜入作戦なんかをやったりもしていたのですが、実は設定上は性別は無いそうです。


 最初はイオリア計画を司るメインコンピューター「ヴェーダ」を盲信していたのですが、そのヴェーダがラスボスであるリボンズ・アルマークによって操られていたことに気付いてからは自分の意志を持つようになります。このあたり、実は精神的には刹那の同類なんですよね(笑)。最初はヴェーダの計画に従わないで勝手なことばかりする刹那と対立していたのですが、実は似た者同士だったという。


 何と、こいつはセカンドシーズン終盤でリボンズに撃たれて死亡します。しかし、そこでヴェーダの中に意識を移すことに成功して、リボンズの支配からヴェーダを開放するという重要な役割を果たすことになります。セカンドシーズンでは、そのままコンピューター内の意志という『キャプテンハーロック』のトチローとか、『鋼鉄ジーグ』のマシンファーザーみたいな感じになっていたのですが、劇場版では肉体を取り戻してるみたいですね。


 さて、実は今回を書く前にいただいた感想で「マイスターたちはイマイチ」「感情移入しにくい」みたいな意見が多かったのですが、今回書いてみて分かりました。こいつら、「主人公業務」を分散され過ぎなんです。


 確かに、今までもガンダムに乗るメイン系レギュラーは『Gガン』以降は結構いたのですが、『Gガン』でも『W』でも、あくまで脇役の範疇(はんちゅう)でした。『SEED』ではダブル主人公、『DESTINY』ではトリプル主人公になってますが、せいぜいそこまで。特に「主人公業務」に関して言えば、せいぜい二人までなんですよ。『DESTINY』だとキラが「無謬の超主人公」(『逆シャア』のアムロと同じ)になっていて「悩んだり苦しんだりして成長する」という「主人公業務」からは開放されているので。


 ところが、本作においては「主人公業務」を受け持つメンバーが多すぎるという(笑)。明らかに「脇役」レベルなのがティエリアだけなんですよ。このティエリアですら「自己アイデンティティの確立」という「主人公業務」で刹那と被っているんです。逆に言うと、同じ業務が二人に分散してるから刹那にもティエリアにも焦点が当たらずにボケてしまっているというか。


 更に言えば、ヒロイン業務も分散されてるんで、マリナが空気ヒロインになってて、フェルトが脇役ポジのままヒロイン業務を代行しているという(笑)。このせいでルイスやソーマの方がヒロインっぽく感じるんじゃないかと。


 本作は「個々のパーツ」については結構見るべきところがあるんですけど、全体で言うとイマイチ感が漂っているんですが、このあたりにその原因のひとつがあるのかなと思ったりしました。


 さて、次回こそ気になる脇役、ライバルズについて語りたいと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言]  『00』はW系、更に元をたどると聖闘士星矢系……という印象が強いです。一応は男子向けなんですが、女性ファンを強く意識している点が。  だからヒロインらしくないのも当然かな、という気がしま…
[気になる点] 被害者ではなく、この場合、「被験者」では? 確かに、被害者なのですが。 [一言] ライバルズも、主人公ズや、ヒロインズと同じような気が?
[一言] やあ、00のヒロインはティエリア説支持派のくまです(まて >マイスター  これもある意味パワーワードでした。 >ロックオン  熟考すれば伏線が最初から散りばめられている兄弟なんですが、余…
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