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第162話 ゲッターロボ號(1991-92年)

 ゲッターロボシリーズの第三作『ゲッターロボ(ごう)』ですが、アニメ版は前作『ゲッターロボ』『ゲッターロボG』との直接の関わりはありません。これに対して、石川賢による漫画版は前作の神隼人が指揮官として最初から登場しており、前作とのつながりが明確にあります。


 このように、アニメ版と漫画版で内容が大きく異なり、一般的には漫画版の方が高く評価されています。真ゲッターロボも登場しますし。


 ただ、私はアニメ版の方が好きなんですよ。漫画版は『月刊少年キャプテン』での連載時にチラ見はしていたんですが、通して最後まで読んではいないんですね。


 これ、放送開始が2月11日とまだ受験の最中だったのに第1話から最終話までリアルタイムで見ているんですよ(爆)。もっとも、もう勉強がどうのこうのって時期ではないですけど。


 主役ロボのゲッターロボですが、最初は前作のプロトゲッターみたいな感じで登場します。単色で非変形、おまけに非武装の作業用ロボ(宇宙開発用)なんです。ただ、装甲はダイヤモンドの数千倍の高度を持つ磁鉄鋼(じてっこう)――とリアルタイム当時のアニメ誌などの二次資料には書いてあったんですが、最近はG鉄鋼とかG鉱石と表記するみたいです。作中の発音も「ジーてっこう」でした――を使っており、敵である「プロフェッサー・ランドウ」の侵略ロボ「メタルビースト」と同等だったので、何とか戦えていたという。


 この磁鉄鋼の産地である北極をランドウ側に抑えられていたので、ゲッターロボの修理や強化が思うに任せず、倒したメタルビーストの磁鉄鋼を使って何とかしのいでいるという設定でした。また、開発者の(たちばな)博士が、スーパーロボ開発者にしては非常に珍しく武装化を嫌っていたので、武装化も遅くなったという。


 このため、三機に分離、三形態に合体するゲッターロボになるのが第11話からという。この分離合体で別形態になることについても「本当は別に作った方がいいけど、資材が足りないから一体のロボを複数の用途に使い回すしか方法がない」という理由付けがされています。


 第一形態のゲッター(ごう)は、作業用ゲッターロボの形態を受け継いでいますが、バックパック部が追加されています。武器として、拳を飛ばすナックルボンバーがあるほか、トマホークやブーメラン・ソーサーなどの武装も追加されました。ロボ名の號は操縦者の一文字(いちもんじ)(ごう)の名前から取っています。


 このナックルボンバーですが、実は偶然の産物でした。腕部の修理未了で拳が外れかかっていたのを、油圧で無理矢理射出したという。それが威力があったので正式に武装になり、磁鉄鋼の持つ磁力で引き戻すという形になっています。鋼鉄ジーグの同名武器と違って(笑)、片手ずつの発射です。これ、Wikiとかには油圧のことしか書いてないんですが、二回目以降、正式に武装になってからは発射に磁鉄鋼の磁力の反発力を利用してたような気もするんですよね。記憶違いかもしれませんが。


 このゲッター號ですが、カラーリングが青色メインで陸戦用と、歴代ゲッターの伝統(ゲッター1とゲッタードラゴンは赤色メインで空戦用)から外れているんですね。

 

 じゃあ空戦用はというと、第二形態のゲッター(しょう)なんです。こっちが赤色メインで空戦用という。しかも、初の女性型ゲッターです。パイロットは、開発者の橘博士の娘である(たちばな)(しょう)


 こいつの特徴的な武装は、何と言ってもブレストボンバーでしょう。何とあの「おっぱいミサイル」なんですね(笑)。ただ、おっぱいミサイルと違って使い捨てではなく戻ってきます。腕にドリルが付いているので、当然ドリル突撃もやります。ただ、さすがに時代的なものもあって、このドリルで地下に潜る描写はありませんでした。


 このゲッター翔は、この頃までには珍しく女性型ロボとしては強いロボでした。ほかにはパティーグ・ガラットぐらいしか思い当たらないという。


 第三形態は水中戦用のゲッター(がい)ですが、カラーリングは黒メインです。パイロットは真面目系な大道(だいどう)(がい)。何と声優は前作の主人公である流竜馬を演じていた神谷明という。


 ゲッターの第三形態の伝統に忠実に、地味です(笑)。ただ、投げ技は使っていませんでした。また、胸から強力なブレストビームを撃てるので、いらない子ではないです。


 このゲッターロボ號の特徴は、何と言っても玩具で再現可能な三機分離三形態合体を実現していたことでしょう。ただ、無理矢理三機合体にしていた感はあって、一機はバックパックとして合体する形が多いという。


 また、合体後パワーアップもありまして、最終的にはゲッター號がパワーライザーという強化パーツと合体してスーパーゲッター號になるという。ただし、この形態だと分離はできなくなります。


 このように、なかなか凝った作りでギミックも優秀なロボだったのですが……いかんせん、デザインがカッコ悪かったんですねえ(爆)。同時代的に言うと、いささか古い。しかも、カラーリングが微妙という。


 あと、不思議なことに敵キャラの設定が妙にマジンガーを思い出すんですよ。悪の博士がボスで、幹部が爵位を持っていたりとか。もっとも、ラセツ伯爵はあしゅら男爵というよりはグレンダイザーのガンダル司令官っぽい感じでしたが、ガンダル司令官の逆で女性がメインで男性が中に隠れてました。


 これ、Wiki読んで初めて知ったんですが、元はマジンガーのリメイク企画だったのをゲッターに変えた名残だったんですね。ブレストボンバーとかも、マジンガーシリーズの女性ロボの影響だという。


 もっとも、磁鉄鋼とかナックルボンバーとか鋼鉄ジーグっぽい部分もあるので、ダイナミック系巨大ロボットアニメへのオマージュが多く含まれているだけかもしれませんが。


 中盤から美形悪役っぽいナルキス子爵というキャラが登場し、こいつが最終的に下克上してプロフェッサー・ランドウに取って代わってラスボスになります。こいつの正体が一切不明で、作中では素性は明かされませんでした。


 本作のストーリー面について言うと、思いっ切りスーパーロボに回帰しています。ただ、90年代の作品だけあって、スーパー系でも可能な限り「なぜそうなのか」という合理的な理由付けはされています。ゲッターロボは元々は宇宙作業用ロボなので非武装で、それをやむなく武装化するという。量産できないのは資材が足りないからで、変形合体も資材不足を補うためという。


 また、そのパワーアップについても丁寧にストーリー上で描かれており、ゲッターロボは苦戦しながらも徐々に強くなっていくという。爽快感こそ少ないものの、緊迫感があり、RPG的な成長の楽しみもありました。


 90年代に、あえて伝統的なスーパーロボットを蘇らせた作品として、私は高く評価しています。


 惜しむべきは、作画レベルが安定していなかったことで、作画が粗い回と丁寧な回の落差が激しかったという。もっとも、この時期には全体的に作画が低レベルなアニメもあったので、それに比べれば平均的なクオリティは高かったと思えます。


 そして、本作の主題歌については、ダメージソングと神ソングが同居しているという凄まじい有様なんですね。前期オープニング……というか、四クール全五十話やってるうちの第14話まで、つまり一クールぐらいしか使われてない初期オープニングが「21世紀少年(21st Century Boy)」です。これがスーパーロボしてる作品内容と恐ろしいまでに合っていなかったという。歌自体は決して悪い歌とは思いません。ただ、ひたすら作品内容にもイメージにも合っていなかったんです。「せっかくスーパーロボしてるのに、どうしてこんな歌なんだか」と放送開始時から思っていました。


 そうしたら、同じ思いの苦情が多かったのか、それともスタッフもそう考えたのか、第15話で早々にオープニングもエンディングも差し替えになりました。その後期オープニングが「ゲッターロボ號」と作品タイトルそのまんまの歌だったのですが、何と作曲が渡辺宙明大先生で、歌手が「アニキ」水木一郎という超スーパーロボットソングになっていたんですよ!


 これが歌詞の中でロボ名は連呼するわ、必殺技は叫ぶわと、もう嬉しくなるくらいオールドファッションなスーパーロボットソングだったんです。オープニングがこれに変わったときは感動しましたね、マジで。


 世間的な評価、特にオタの間での評価は圧倒的に漫画版の方が上で、スパロボにも最近まで登場できなかったという不遇な扱いの作品なのですが、このアニメ版については、もっと評価してもよいのではないかと個人的には思っています。

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