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妖怪事件と銃少女  作者: 黒炎 ルカ
パーバションの報告
6/11

雪女と遭遇。


いつの間にか、ラルーの姿は消えていた。

また私に取り憑いたか・・・。それとも・・・。

とにかく、私達を追いかける者はいない以上、走る理由はない為

私は広い古屋敷の中をエヴと共に歩いていた。


「そういえばエヴ。」


「はい、なんでしょう?」


「こっちに来てみたはいいが、迷路のように入り組んでいるな?」


「はい、そうですね。」


「・・・。そもそも、こっちに来た理由は・・・?」


「こっちの空気が冷たい気がするからです。」


「・・・。それが決め手・・・?」


「化け狐は雪女が警護している部屋に蝶亡がいると言っていました。

なので、雪女が警護してるのなら付近の空気が冷たくなるのでは?

と私は推測したのです。」


「・・・。」


まぁ、今更、引き返すのも面倒だから、諦めて進むか・・・。

それにしても、急に寒くなってきたな・・・。


「パーバション様。」


「なんだエヴ。」


「寒いですね。」


「ああ、寒いな。まぁ、冬が明けたばかりだしな・・・。」


「・・・。雪女が近いと思います。」


「いやいや、雪女とか関係なく、冬が明けたばかりだと思うが?」


「アンタ、親切だねぇ。

寒いのは私のせいじゃなくて、冬が明けたばかりだからって・・・。」


突然、背後から話しかけられ咄嗟に私は銃を背後の人に向ける。

真っ白。

最初に感じた印象はそれだった。

その人は真っ白だった。

長い真っ白な髪を後ろに束ねて、冷気を放つ薙刀を持っている事から

猛将の気を感じた。

白い和風の着物を着ていて、銀色に輝く日本刀を腰からぶら下げて携帯して

いる・・・。

限りなく色素の薄い青い瞳はまるで凍てついた水晶のよう。

美しい・・・。


「おや、その黒い物は矢か?

そんな物を持って蝶亡様の部屋の前をうろつく人間なんて・・・。

怪しいったらありゃしない・・・。ねッ!!」


「!?」


突然、その女性は薙刀を振るい始めた。

私は反射的に後ろに飛ぶ。

だが、それは私の誤算だった。

私は背後の壁に強く身体を打ち付けて、その場にうずくまって痛みに悶える。

おかしい・・・。


私の背後には壁などなかった・・・!!

どう言う事なのだ・・・!?


「塗壁!ナイス!」


だが、女性のそんな声を聞いて私は悟る。

確かに私の背後には壁などなかった。

そこを突如、壁が現れた。

つまりは、その壁は・・・。


「パーバション様!囲まれました!」


「エヴ、囲まれたというのは、壁にか?」


「はい、その通りです。」


「なるほど、私達は塗壁に囲まれ、雪女からは逃れられない

正に絶対的、危険な状況にあるという事だ。

そんな状況を打破する為には・・・。」


「雪女を撃破するのみです・・・!!」


「ああ、そうだ。エヴ。」


私は直ぐに立ち上がり、

エヴと背中合わせになり、お互いの考えを確かめ合う。

見るからに雪女は戦い慣れているようで、

余裕そうな表情を浮かべて、私に薙刀の刃を向ける。

薙刀から冷気を感じる・・・。


「冷たいな。その薙刀」


「ああ、コレね。私の妖力で作った氷の薙刀さ。

斬り付けた相手が逃げ延びても、血液を時間をかけながら凍らせ

殺す事が出来る優れモノなんだ。」


「それはなんと恐ろしい薙刀だ。

ならば斬られぬように気を付けないと」


「それが、出来るかしらッ!!」


そして雪女は私に斬りかかる。

それを避ける為に私は横に飛ぶ。

またしても想定外が起こる。

私が避けて標的をなくした薙刀を雪女はわざと木の床に叩きつける。

すると、小さく鋭い氷の破片が辺りに飛び散る。

それが私の足に刺さる。

小さい為、歩行には問題はないが、痛い・・・。


「なるほど・・・ッ!

やるな・・・。是非、この戦法を使わせてもらいたいものだ・・・。」


「この勝負に勝てたらいいわよ。

ただ、同じ物を人間が再現出来るかしらッ!」


雪女は私を追いかけ、また斬りかかってくる。

それを、私はひたすら避けるしかない・・・。

中途半端な足の痛みに集中力が乱され、

銃を武器とする私には、大変キツい戦いとなってきた・・・!


「再現は一応は可能です。雪女・・・!」


エヴが華麗な足技で雪女を私から引き離す。


「あら、貴女。武術派?面白いじゃない・・・!!」


「ええ、確かに“薙刀 対 武術”は興味深い戦いですねッ!」


エヴと雪女が向き合う。


「パーバション様。

この戦い。私が決めてもいいでしょうか?」


エヴは私を横目に見つめながら確認を取る。


「久々に火が付いたか、

存分に暴れてこい、エヴ・・・!」


エヴは武術を巧みに操り、一見、不利な戦いで勝利する事を生きがいに

している。今までもエヴは無茶で無謀な戦いを生き抜いてきた。


“銃撃隊30人 対 武術のエヴ”


“何百人を喰らった狼10匹 対 武術のエヴ”


“イエティ50匹 対 武術のエヴと銃の私”


などなど・・・。ほとんどエヴ一人で撃破をしている。

だから、私はエヴの実力を買っている。


エヴなら・・・雪女に勝てるッ!


「では、存分に暴れさせて頂きます・・・!」


エヴは私の返事を聞くと、構えを取り、足に力を込め

雪女に飛びかかる。重い蹴りの一撃を何度も素早く繰り出す為に、

雪女は薙刀の柄の部分で受け止めては避けて、防御に徹される。


なるほど、そう言う事か・・・。

私はエヴの考えを悟り、関心をする。


つまりは、雪女は非常にバランスを取れた強さを持っている。

薙刀という武器の利点である、平均より上の速さに致命傷を負わせる事が可能な

攻撃力、丈夫な柄を盾に出来る防御力・・・。

それを雪女は最大限まで活かしきっている・・・。

特に攻撃面において、その強さを発揮する。

速い斬撃に、例え避けられたとしても、氷という素材から破片を飛び散らせ、

広範囲にダメージを与える事が出来る・・・。


だが、攻撃をさせなければどうだ?

速さも攻撃力も使えなくなる。ただ残されるのは防御のみ。

だからあくまでも攻撃をし続けず、防御に逃げるのが心理という物。

持久戦に持ち越せれば、薙刀を振るう程の力など残らない・・・。

そうなれば・・・。


「強いね、人間ッ・・・!

速いし、強い・・・。もしアンタが男だったら惚れてたかもッ!!」


「ええ、私も、そんな男性がいるのであれば惚れてしまいますね。

そして同じく、貴女が男性なら私も惚れてしまいそうです・・・!」


「ハハッ!面白いな、人間ッ!!

気に入った!特別に私のとっておきを見せてやろうッ・・・!!」


「とっておき・・・?」


だが、甘かった。

相手は雪女。人間ではない。

それも、相手は歴戦練磨の強敵だ。

まだ何かとてつもない力を隠し持っている可能性が高い・・・!


雪女は薙刀でエヴに向けて強烈な突きを放つと、

飛んでエヴから距離を取り、薙刀を木の床に突き刺した。

すると、辺りが急激に凍てつき始める・・・。

なるほど、私達を凍死させる気かッ・・・!

塗壁に囲まれ、薄暗かった空間は冷たさに支配され真っ白に凍りつく。

暗いこの空間はあっという間に白く青い氷の世界に変貌する。


「まずい、エヴッ!速く決着を付けろ!!」


私は精一杯に叫ぶ、私の叫びを聞き、エヴは雪女の方へ駆け出す。

雪女の懐まで来ると、エヴは雪女を蹴ろうとする。

だが、雪女は着物の裾から鋭い針を取り出すと、エヴの肩を刺した。

痛みにエヴは雪女から距離を取り、肩を押さえつける。

エヴが・・・。危ない・・・!!

私は銃を雪女に向け、狙いを定める。

手が震え、狙いが定まらない・・・!

このままだと、銃まで凍りついて使い物にならなくなる・・・!

今すぐ撃たねばッ・・・!


「パーバション様!私は大丈夫です!

撃たなくても大丈夫です!

って私は言っているのですから!

テがまだあります!勝利の!だから!」


「!?」


そう言う事か・・・。エヴ・・・!

分かったぞ・・・・!!


「ちょっと、人間。貴女、文法がおかしいわよ?

寒さに頭、やられちゃった?

無茶な事はせずに、大人しくお仲間に助けてもらったら?」


「私は、無茶な戦いを一人で制するのが好きなのです・・・。

だから、貴女との戦いも制してみせます・・・!」


「活きがいいのはいいのだけれど、この状況で言う?」


「私はまだ、不利には陥っていません・・・!」


「はぁ・・・。悪かったわね。寒さのあまり壊れちゃうなんて、

思わなかったわ・・・。」


「分かっていないのは貴女です・・・。

確かに私は一人で無茶な戦いを制するのが好きだと言いました。

ですが、私は一度も、貴女との戦いを“一人”で制するなんて、

言っていません・・・!」


「・・・え・・・!?」


雪女はようやく、事を理解し、咄嗟に私の方を振り向く。だが遅かった。

 パァンッッ・・・!!!

雪女が私に振り向く時にはもう・・・。私は引き金を引いていたのだから・・・。


雪女の白い着物に赤いバラが花開いた。

そして、雪女はゆっくりと倒れた。

それと同時に、床に突き刺した氷の薙刀は粉々に砕けた。

次第に氷の世界に豹変していた辺り一帯は、元通り薄暗い空間に戻る。

氷の世界の主が崩れたからか・・・。


理解出来ずに苦しんでいるだろう。

だから教えてやる。

エヴの文法が狂った言葉を、見直せ。

縦に読めば分かるだろう。


それを私は理解したから、撃った。

雪女は勝手に私が何もしないと勘違いをして、

私を全く警戒していなかった。それが雪女の敗因だろう。


「エヴ、大丈夫か?」


「肩の傷は深いですが、それほど重症ではありません・・・。

・・・。気付いてくれると思っていました。」


「この私がお前の悲鳴を聞き逃す訳が無いだろう?

すぐにでも助けてやる。」


「・・・。ありがとうございます・・・!

パーバション様ッ・・・!」


嬉しそうにまたかすかに笑うエヴ。

本当に今日は珍しすぎる日だ・・・。


「所で・・・。この私達を囲んでいる壁はどうしたものか・・・。」


「あ」


「エヴ。助けてくれ。今回はお前の妖怪知恵が必要だ・・・!」


私達を取り囲んで密室状態にしているこの塗壁は厄介だ・・・。

しばらく手間取りそうだ・・・!













・・・









「いよいよ・・・。ね・・・。

初仕事なんだもの、失敗は許されないわ・・・。」


私は紅いドレスの裾を引っ張って


「それにしても、未だにこの紅い服の意味に気付く人がいないなんて、

サンジェルマン伯爵も落ちたわね・・・。

わざわざ、紅いドレスを着たのに、なんか損したわ!」


緊張しているかって?ええ、もちろん。

緊張してるわ。勝てるかどうか五分五分って所なのだから。

あまり私は戦闘をした事がないから、これで私の実力が決まるわ。

それに、この戦いにはこれからの私やお兄ちゃん、ナラスの人生が

かかっているのだから。さぁ、覚悟を決めて、

行きましょう・・・!

今回の戦いは心理戦要素が強いですね・・・。

まだエヴのメッセージが解らない人がいるかもなので、

いたら、活動報告にてコメントをお願いします・・・!

返答をいたしますので・・・・!!

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