心を読む妖怪“覚”と遭遇。
蝶亡・・・。
身長170センチ、
体重49キロ、
綺麗な長い黒髪、
左目は紅色、右目は紫のオッドアイ、
主に丈の短い和風のドレスを好んで着用、
高い知識と戦闘能力、そして人を自然と惹きつける
カリスマを持つ、
国家最高機密により隠されている、
恐るべき破壊者・・・。
彼女の意図は現時点では不明。
ただ、彼女は社会に対して破壊活動を行っている、
犯罪者だ。
その蝶亡に・・・。私が尊敬する・・・。
父が殺された。
私の父はとても偉大な人だった。
社会にはびこる、おぞましい化け物共から
人々を守る為、私が今、所属している組織を設立し、
何千人もの人々を守ってきた。
だが、それが蝶亡に目を付けられる原因となったのだろう。
私が・・・。まだほんの小さな子供だった時だ。
父は私を組織の本部にあたる建物に連れてくれた。
父は私に優しく微笑みながらこう語りかけてくれた。
“私の行いは数多くの人々を救ってきた、
だが、私もいずれ年をとり、ここを引退せねばならなくなるだろう。
その時は・・・。お前が私の行いを引き継いでほしい。”
私は・・・。その言葉が純粋に嬉しかった。
父に大きく私は頷いた。
“頼もしい返事だな・・・。
人々を守る為に、強くなるんだぞ、
誰よりも、例え何が起きようとも”
・・・。その時・・・。だった。
突如、建物が激しく揺れた。
それと同時にけたましい警報音が響き渡り・・・。
父は私を抱きかかえ、すぐに緊急脱出用のエレベーターに乗せた。
そのまま父は司令室に戻っていってしまった。
だけど、私は何を考えたのか、エレベーターを降りて、
父の後を追った・・・。
そこにあったのは地獄だった。
綺麗な清潔感のあった司令室は轟々と燃え盛る炎に包まれて、
何人もの人の死体が転がっていた。
私は気付いてしまったのだ、その転がっている死体の中に・・・。
父の死体も転がっている事に・・・。
さっきまで、私を抱きかかえ、生きていたものが今、
死んでいるなんて、子供の私には到底、理解出来なかった。
だから、父の元に駆け寄った。
だが・・・・。
そこでやっと私の目に、
この地獄を作り上げた主を・・・。
捉えた。
嗚呼、一生、忘れられないだろうな。
あの冷たすぎる紅と紫の瞳を・・・。
あの女は無表情だった。
周りは熱い炎で燃え盛っているのに、
アイツの周りだけは冷たかった。
子供だった私にはアイツは恐ろしい化け物に見えた。
おとぎ話に登場するような化け物ではなく、
父が言っていた化け物よりも遥かに残酷に感じた。
だから、私は精一杯、走って逃げた。
緊急脱出用のエレベーターに入り、
必死に私は緊急脱出用のエレベーターの扉を押さえつけていた。
エレベーターの中、ずっと一人で泣いていた。
悔しかった。
アイツを見て、すぐさまに逃げた私が、
情けなかった。
だから、私は決意したのだ。
絶対にあの、蝶亡を殺してやる。
それからは、私は父の仕事を引き継いだ。
幼くとも、私は復讐心を糧に、
化け物共の戦いに身を投じた。
その間も、蝶亡の情報が入ればすぐさまに
襲撃に向かった。
だが、結局は蝶亡を殺す事は出来なかった。
それでもひたすらに私は戦って、戦って・・・。
何度も化け物を殺してはまた別の化け物を殺し、
より強くなるために特訓を繰り返した。
あの環境下では狂ってしまいそうだった。
私の心を安定させるものなんて、この世界にはもうないのだから、
きっと、私は蝶亡を殺したら、生きる目的を失い、
自殺をするだろう。
だが、私は構わない。
私の後はエヴが継げばいい、
自殺をすれば、あの世で父と再開が出来る。
だから、蝶亡さえ殺せれば、私はもう、
十分に満足だ・・・。
「へへ、自殺するのか、嬢ちゃん。」
「・・・。なんだ猿。突然・・・。」
「蝶亡様を殺したら自殺するなんて、矛盾だな。」
「・・・!?
蝶亡様・・・?」
「我らが主だからな、様付けはするものだ。」
「・・・。主・・・?」
一体、何なんだ、この状況は・・・。
ああ、そうだ。
過去の事を振り返りながら歩いていたのだった。
木の上から私を見下ろす大きな猿は、
続ける。
「ここは、蝶亡様の町だ。
人間は去れ、さもないと食っちまうぞ?」
「ふん、食われる前にお前を殺してやる。
だがその前に言え、ここが蝶亡の町とはどう言う事だ?」
「おいおい、最初は確か、
嬢ちゃんは蝶亡様を殺したら自殺するっていう矛盾について、
俺が聞いたよな?答えろよ、」
「・・・。お前・・・。何故、私が
蝶亡を殺したら自殺をするつもりだという事を知っている・・・?」
そういえばおかしな話だ。
私はエヴに自殺する気でいる事を打ち明けたのを最後に、
誰にも話さず、隠していたのに・・・。
「パーバション様、
これ以上、コイツの相手をしてはいけません。」
「エヴ、この猿がなんだか知っているのか?」
「ええ、コイツは日本の妖怪である“覚”だと思います・・・!」
「“覚”って、人の心を読む事が出来るという奴か?」
「はい、これ以上、相手をしていても意味がないです。」
「確かに、そうだな、なら行くか・・・。」
エヴの推測を聞いて私は納得する。
私は過去について振り返っていた、
それを覚に読まれたから、私の過去と
これからの考えが知られたという事なのだろう。
「おい、待ちなよ、
蝶亡様はこの町に迷い込んだ人間を
ご所望だ。だから、遠慮はしねーぜ?」
覚は今まで古い木の上から
私を見下ろしていたが、木から飛び降り、
私に向かって突進してくる。
「チッ、弾丸が惜しいのに・・・!」
先の紅ドレスの女の戦いで弾丸を一発無駄にしてしまった。
だからこれ以上は無駄にしたくはない・・・。
しかし、仕方がない。
私は覚に銃を向け、引き金を引k
「!!!!?う、わあああああsんsびあbふぃい
あうfべいybふぇうgbるvじゅふwn!!!!
何だ何だ何だ!!!ソイツは!!!!
んすbふぃdgふぃdヴれんsどいjvふぃにお!!!」
私が引き金を引くその前に、
突然、何故か覚は訳のわからない奇声を絶叫し、
発狂した・・・。
どう言う事だ・・・・?
そして、覚は・・・。気絶をして倒れた。
いや、倒れて気絶をしたのかもしれないが・・・。
倒れる時のアイツの目は・・・。
死んでいた・・・。
だからよく・・・。わからん。
「パーバション・・・様・・・?」
「な、なんだ・・・?」
「もしや、遂に手を触れず、
銃も使用せずに敵を気絶させる事が出来るように・・・?」
「いやいや、違うからな?絶対に違うからな?
私は何もしていないのに、アイツが勝手に発狂して倒れたんだからな?」
「そうですか・・・。」
何故か落ち込むエヴ。
なんか・・・。腑に落ちない勝利だが・・・。
まぁ・・・。あの覚のおかげで、この町に蝶亡がいる事が明らかになった。
正直に言うとあの紅ドレスの女は信用には足り得ないから・・・。
覚の敗北には深い意味があります。
覚を発狂させるなんてそう簡単ではありませんよね?