心の中のトモダチ
{ねぇ…生きてる…?}
聞こえてきたのはまわりからじゃない…心の中…
{うん…生きてるよ}
{大丈夫だったんだね!}
声のトーンが高くなる。
{今日は疲れたから時空転送で帰ろうよ}
{いいよ}
なにをやっているんだろう…私は誰だろう…。
{ねぇねぇ…大丈夫?}
{あ…大丈夫だよ}
ここはどこ?少し薄暗い中に青い炎のようなものがぼやぼやっと光る
{ねぇ…あなたって誰?}
{え…忘れたの!?ずっとずーっと君のトモダチだったじゃない!}
{わからない…わからない…わからない…!!}
{お…落ちついて!落ちるから!}
ここから記憶は途切れている、その日その時その時間自体何も覚えていない…
「気が付いた?愛依ちゃん」
「ここ…は…?」
「ここは私の家、愛依ちゃんが倒れていたから、運んできたの」
「そ…そうなんですか…どうも…」
この人は…確か…草場…草場…草場葵さんだ!
「葵さん…ありがとうございます」
「あら、そう?うふふっ!」
何気な笑いもなぜか怖くなっていく。
「あ…あのぉ…帰りますね」
「あ…あら…そうなのわかった」
「お世話になりました。」
「またおいで!」
なんでだろう…ここがどこかもわからない
なんでだろう思い出せない何かが…
{やっと気が付いたんだね!}
どこかで聞き覚えのある声…
あ、あの時の…
{あなたは誰なの?}
{ぼく?ぼくはなにものでもないんだ}
{どういうこと?}
意味が分からない…
{ぼくは君が作り出した空想上の人物なんだ}
つまり…私が自ら作り出したってこと?
{そ…そんなのありえない…ありえないよ!}
{なんで?君自身がぼくを作り上げたのに?君の<トモダチ>って存在を}
ありえない…作る必要もない…はず…
{なんで?なんでなの?君はいつできて…いつ終わるの?}
{終わりも始まりもない…空想の世界ってね…空想で始まり空想で終わるんだ…}
{世界はそんなに小さいものなんだよ?}
{せ…世界は…小さく…ない…}
か細い声を出したって…意味がないんだよ…。
心の中で自分の言葉を思い返す何が何だか…さっぱりだ
{つ…つまり…君は…僕なんだよ!}
{え…}
その言葉で私は我を失った。