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THE WORLD

作者: ★田舎者☆

フィクションです。

「ダンッ。」


銃声が聞こえる。


「ダダンッ。」


また聞こえる。


ここまでそう遠くないな。僕は頭の、どこか遠くの方で、そんな事を思いながら、ふらふらと高いマンションの間の狭い路地を歩いていく。




時は2315年。

5年前に終結した

「第三次世界大戦。」

あれから世界はおかしな方向を向いてしまっているらしい。

僕が通う私立中学で習ったんだけど、サバンナとかいうジャングルは、潤いを、木々を、全てを人々にとられて、砂漠になってしまったらしい。

まぁ、とにかく世界は荒んでるのさ。




僕?

僕は今年の十月で十四歳の、私立なんかに通ってるお坊ちゃま。夏川 信二。

そして、これから僕は死にに行く。


先程、銃声のした辺りへ行くと、男が二人、一人は頭を、一人は胸を撃たれて死んでいた。


別になんとも思わないよ。こんなの、もう当たり前だから。

大人達は、欲に負けた。

その結果がコレ。僕はそんな大人たちを、星の数程見て来た。

そんな大人になりたくないから、僕は、今日こそ死にたいのさ。


生まれ変わったら、星になりたいなぁ、なんて思いながら、僕はそこにたたずんでいた。


カラスが鳴きだして、僕は正気に戻った。

気が付くと、目の前には僕に向かって銃口を向ける男がいた。

僕は両手を広げて、受け入れる準備をした。

「死んだらよ、」

突然の男の声に、僕はそこに直って男を見た。「死んだらよ、何にも残んねぇぞ?あんた、それでもいいのかい?」

ぼそぼそと掠れた声で、話し出した。

「こいつらだって、生きたかったんだよ。きっと。生まれ変わったらなんていうけどな、生まれ変わるのには時間がかかるのさ。そんなのもったいないだろ」

銃口は突き付けられたまま。でも、僕は一歩前に踏み込んで少し大きな声で、

「どうして知ってるの?」

って聞いた。

誰にも話した事ないのに。

「わかるさ。そういうもんだ」

含み笑いされた。

それでも僕は

「早く撃って下さい。あなたには関係ないんだから」

とまた両手を広げた。


現実なんて、どうせ腐ってるだろ?腐った世の中で腐って生きて、腐って死ぬのなら。

若さを、心を忘れないうちに。


ズダァアン。


銃声が頭に響いて、遠くなっていった。


気が付いたら、僕は自宅のベットで寝ていた。


「また死ねなかったのか」

部屋の天井をぼんやりと眺めて、僕はそんな事を言っていた。



ズダァアン。



撃たれた。はずだけど。


僕はよけていた。銃弾を。すかさず懐の護身銃で男を撃った。

倒れる男。

何度も、何度も。

僕は男を撃ち続けた。

ああ。僕はもうとっくの間に頭がおかしくなってたのか。

ひょっとしたら、大人だけじゃなくてさ、僕ら人間自体、みんなおかしいのかもね。自嘲気味に笑って目を閉じて、僕は自分の頭を撃った。


ベットから出て、窓を開けた。また朝が来たのか。どうせなんにもないくせに。


遠くに見える町並みをみて僕は呟いた。




「ああ、世界は荒んでる」

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― 新着の感想 ―
[一言] 臨場感あふれて非常に魅かれ、ノーストップで読んでるうちに世界に引き込まれてしましました。 高評価をさせていただきます
[一言] もう一度コメントを残しに来ました!前回のは本当に申し訳ありませんでした。 さて、話は本題に入りまして。 今の世界を見ていると、どうしてもこうなってしまいそうな気がしてならなくなりました。人…
[一言] Worldとはまた違った、シリアスなお話でしたが、どことなく惹きつけられるものがありました。
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