【短編集】『魔女の弟子は王子様に見つかりたくない 〜逃げたい私と、見つけたい王子様の秘密恋愛ファンタジー〜』
今回は『魔女の弟子は王子様に見つかりたくない』の続きとして、リナリアとアレクシスが王都や王城の中で少しずつ距離を縮めていくお話です。
森の奥で正体を隠して暮らしていた魔女の弟子リナリア。
彼女を見つけた第二王子アレクシス。
命を救ったことから始まった二人の関係は、逃げる少女と追いかける王子という形から、少しずつ「隣に立つ」関係へと変わっていきます。
今回は、魔女として人前に立つ怖さ、王子の隣にいる覚悟、そして二人の想いが少しだけ未来へ進むお話になっています。
甘さと不安、秘密と覚悟を込めた続編として読んでいただけたら嬉しいです。
森の奥には、古い言い伝えがあった。
月のない夜、青い炎が木々のあいだを漂う時、そこには魔女がいる。
人の病を治し、失せ物を見つけ、時には未来を覗くこともできるという。だが、決して近づいてはならない。魔女に名を知られれば魂を奪われ、目を合わせれば心を縛られる。
そんな恐ろしい噂を、リナリアは幼い頃から何度も聞かされていた。
けれど実際の魔女は、魂を奪うどころか、朝が弱くて、薬草茶に蜂蜜を入れすぎて、よく鍋を焦がす老女だった。
「リナリア、また月露草を摘みすぎたね」
「だって、お師匠様が昨日、足りないって言ったんです」
「私は足りないとは言ったが、森ひとつ分摘めとは言ってないよ」
森の奥の小さな家で、リナリアは魔女エルゼの弟子として暮らしていた。
彼女は生まれつき魔力を持っていた。けれどそれは、王都では忌まれる力だった。十年前、王城で起きた魔術暴走事件以来、魔女や魔術師は厳しく取り締まられるようになった。魔力を持つ者は登録され、王家の管理下に置かれる。
だからリナリアは、名前も身分も隠して生きていた。
村に行く時は、ただの薬草売りの娘。
王都に近づく時は、目立たない灰色の外套をまとい、決して魔法を使わない。
それが約束だった。
「いいかい、リナリア。人前で魔法を使ってはならないよ」
エルゼは何度も言った。
「魔法は人を救う力にもなる。でも、人は知らないものを恐れる。恐れは剣になる。剣は、いつかお前の心を傷つける」
リナリアはいつも頷いた。
「わかっています。私は誰にも見つかりません」
その言葉は、本当のつもりだった。
だが、運命というものは、たいてい本人が一番避けたい道へと転がっていく。
その日、リナリアは王都近くの丘へ薬草を摘みに来ていた。
春の終わり。風は柔らかく、丘一面には白い小花が揺れている。王都の城壁は遠くに見え、尖塔の先には王家の旗が翻っていた。
本当なら、すぐに森へ戻るつもりだった。
けれどその時、丘の下から馬の悲鳴が聞こえた。
リナリアは反射的に顔を上げた。
道の向こうで、一頭の黒馬が暴れていた。馬車は大きく傾き、御者は投げ出され、護衛らしき兵士たちが慌てて駆け寄っている。
そして、馬車の扉が開いた瞬間、一人の青年が外へ倒れ込んだ。
金色の髪。
白銀の刺繍が入った上着。
胸元には、王家の紋章。
リナリアは息を呑んだ。
「……王子様?」
第二王子アレクシス。
王都の民なら誰もが知る名だった。冷静で聡明、けれど病弱で、公式行事に出ることは少ない。噂では、幼い頃から原因不明の発作に悩まされているという。
その王子が、今、道端で苦しそうに胸を押さえていた。
護衛たちは混乱していた。
「殿下! 医師を呼べ!」
「王都まで戻るには時間がかかります!」
「薬は!? 発作の薬はどこだ!」
リナリアは足を止めた。
行ってはいけない。
人前で魔法を使ってはいけない。
王子を助ければ、必ず調べられる。正体を探られる。魔女の弟子だと知られれば、自分だけでなく師匠にも危険が及ぶ。
それでも。
王子の顔から血の気が失せていくのを見た瞬間、リナリアの体は勝手に動いていた。
「どいてください!」
突然現れた灰色外套の少女に、兵士たちが剣へ手をかける。
「何者だ!」
「薬草師です! 発作を抑える薬草を持っています!」
嘘ではない。
薬草も持っていた。
ただし、それだけでは足りなかった。
リナリアは膝をつき、王子の手首に触れた。冷たい。脈が乱れている。これは普通の病ではない。胸の奥に、黒い棘のような魔力の残滓が絡みついていた。
呪いだ。
リナリアは唇を噛んだ。
このままでは間に合わない。
「少しだけ……少しだけだから」
彼女は小さく呟き、掌に魔力を集めた。
光は出さない。
詠唱も聞かせない。
目立たぬように、ただ静かに、黒い棘だけをほどく。
アレクシス王子の苦しげな呼吸が、少しずつ落ち着いていった。
「……っ」
王子の瞼が震えた。
リナリアは慌てて手を離した。
「水を。あと、この薬草を煎じて飲ませてください。今すぐ王城へ戻れば大丈夫です」
「待て。名は?」
兵士の一人が問う。
リナリアは外套のフードを深く被った。
「ただの薬草売りです」
そう言って、彼女は逃げた。
丘を越え、森へ入り、息が切れるまで走り続けた。
その夜、エルゼはリナリアの話を聞き終えると、深いため息をついた。
「王子を助けたのかい」
「はい」
「魔法を使ったね」
「……はい」
「見られたかい?」
「多分、見られていません。でも、王子様が目を開けかけて……」
エルゼは黙り込んだ。
怒られると思っていた。けれど師匠は、しばらくしてリナリアの頭をそっと撫でた。
「人を救ったことは、間違いじゃないよ」
「でも、約束を破りました」
「約束より命が軽いとは、私は教えていない」
その言葉に、リナリアの胸が熱くなる。
けれど次の瞬間、エルゼは真剣な声で言った。
「だが、これから気をつけなさい。王族というのは、助けられた恩を忘れない。特に、命を救われた者はね」
その予言は当たった。
翌日から、王都では噂が広まった。
第二王子アレクシスの命を救った謎の薬草師の娘。
灰色の外套。
銀に近い淡い髪。
春の花のような声。
王子は彼女を探している。
リナリアは村へ行くたびに、その話を聞かされた。
「王子様が直々に探しているらしいよ」
「お礼をしたいんだって」
「いや、命の恩人だから城に迎えたいとか」
「でも、その娘、どこの誰かわからないんだろう?」
リナリアは薬草籠を抱えながら、顔を引きつらせた。
見つかりたくない。
絶対に、見つかりたくない。
そう思っていたのに。
三日後、彼は森の入口に現れた。
護衛も連れず、質素な旅装に身を包んだ青年が、古い樫の木の下に立っていた。
金色の髪が木漏れ日に揺れている。
リナリアは木陰に隠れ、全身を硬直させた。
なぜここに。
なぜ一人で。
なぜ、そんなにも真剣な顔をしているのか。
青年――アレクシス王子は、森に向かって静かに言った。
「あなたがここにいるかはわからない。けれど、どうしても礼を言いたかった」
リナリアは息を止めた。
「助けてくれて、ありがとう」
その声は、王子というより、ただ一人の青年のものだった。
「私は幼い頃から、あの発作に苦しんできた。医師にも原因はわからなかった。だが、あなたが触れた瞬間、胸の奥にあった冷たいものが消えた」
リナリアの指先が震える。
気づかれている。
「あなたは、ただの薬草師ではないのだろう」
リナリアは逃げ出そうとした。
しかし、枝を踏んでしまった。
小さな音。
アレクシスが振り向く。
目が合った。
青い瞳だった。
噂で聞くよりもずっと優しく、ずっと寂しそうな瞳。
「……君だったのか」
リナリアは一歩下がった。
「違います」
「まだ何も言っていない」
「人違いです」
「では、なぜ逃げる?」
「王子様が怖いからです」
口にしてから、自分でも驚いた。
アレクシスも驚いた顔をした。
けれどすぐに、少しだけ悲しそうに微笑んだ。
「そうか。怖がらせてすまない」
彼は近づかなかった。
剣も持っていない。
ただ、距離を置いたまま、丁寧に頭を下げた。
「私はアレクシス。君の名を聞いてもいいだろうか」
リナリアは答えなかった。
答えれば、何かが始まってしまう気がした。
「名を知られると困るのか?」
「……はい」
「なら、聞かない」
意外な返事だった。
リナリアは思わず顔を上げる。
アレクシスは静かに続けた。
「君が私に名を告げたくなるまで、私は待つ」
その日から、奇妙な日々が始まった。
リナリアは逃げた。
アレクシスは追いかけた。
ただし、剣も兵士も使わず、毎回律儀に森の入口で待っていた。
ある日は、王都の菓子職人が作った蜂蜜菓子を持って。
ある日は、古い薬草図鑑を持って。
またある日は、ただ雨に濡れながら、樫の木の下で立っていた。
「帰ってください」
「君が一言話してくれたら帰る」
「話しました。帰ってください」
「今のは追い払う言葉だ」
「では、さようなら」
「それも違う」
リナリアは困り果てた。
王子様というものは、もっと高慢で、命令ばかりする人間だと思っていた。
けれどアレクシスは違った。
彼はリナリアを捕まえようとしない。
正体を暴こうともしない。
ただ、彼女がそこにいることを確かめるように、何度も森へ来た。
「どうしてそこまで私を探すんですか」
ある夕暮れ、リナリアはとうとう聞いた。
アレクシスは少し考えてから答えた。
「最初は、礼を言いたかった」
「もう聞きました」
「ああ。次は、君がなぜ逃げるのか知りたくなった」
「知ったらどうするんですか」
「君が苦しんでいるなら、助けたい」
リナリアは胸が痛くなった。
助けたい。
その言葉を、王族の口から聞く日が来るとは思わなかった。
「王子様には無理です」
「なぜ?」
「私が、王子様の国で恐れられているものだからです」
アレクシスの瞳が揺れた。
リナリアはフードを外した。
淡い銀色の髪が風にほどける。隠していた耳飾りの奥で、小さな魔石が青く光った。
「私は魔女の弟子です」
森が静まり返った。
「怖いでしょう?」
リナリアは笑おうとした。
けれど声が震えた。
「あなたを助けたのは薬草だけじゃありません。魔法を使いました。王城へ連れて行くなら、今です。きっと褒められますよ。王子様の命を狙った怪しい魔女を捕まえたって」
アレクシスは黙っていた。
リナリアは背を向けた。
やっぱり。
やっぱり、言うべきではなかった。
その時、背後から足音がした。
逃げようとしたリナリアの手を、アレクシスが掴む。
強くはなかった。
振り払えば、すぐに離れそうな手だった。
「怖くない」
彼は言った。
「君が私を救ってくれた。その事実は変わらない」
リナリアは振り返れなかった。
「魔女だと知っても?」
「魔女だから救えたのだろう」
「国の決まりに背くことになります」
「なら、決まりの方を変える」
その言葉に、リナリアは目を見開いた。
アレクシスは真剣だった。
「私はずっと、自分の弱さを呪っていた。王子なのに民を守れない。兄上のように剣も振るえない。発作が起きるたび、周りに迷惑をかける。そんな自分が嫌だった」
彼はリナリアの手をそっと離した。
「だが、君に救われて初めて思った。私が苦しんできた理由にも、意味があるのかもしれない。魔法を恐れる国の中で、魔法に救われた王子がいる。その事実が、誰かを守るきっかけになるかもしれない」
リナリアの胸が震えた。
「そんなことをしたら、王子様が危険です」
「君ほどではない」
「私は慣れています」
「慣れていい痛みではない」
その一言で、リナリアは泣きそうになった。
誰にも見つかりたくなかった。
魔女だと知られたくなかった。
けれど本当は、ずっと誰かに知ってほしかったのかもしれない。
怖い噂の中にいる自分ではなく、人を救いたいと願う自分を。
「……リナリアです」
小さな声で、彼女は言った。
アレクシスが息を呑む。
「私の名前」
青い瞳が柔らかく細められた。
「リナリア。綺麗な名だ」
その日から、二人の秘密が始まった。
王子は森へ通い、魔女の弟子は逃げるのを少しだけやめた。
リナリアはアレクシスの呪いを少しずつ解いた。
アレクシスは王城の古い記録を調べ、魔女迫害の始まりが十年前の事件だけではなく、王家内部の陰謀に関わっていることを突き止めた。
十年前、王城で魔術暴走事件を起こしたのは魔女ではなかった。
王位継承争いの中で、禁じられた呪具を使った貴族たちがいたのだ。
その呪具の欠片が、幼いアレクシスの体に残り、発作を引き起こしていた。
真実に近づくほど、危険も増した。
ある夜、リナリアの家が襲われた。
黒い外套の男たちが森に火を放ち、エルゼを捕らえようとした。
「魔女を差し出せ! 王子を惑わせた罪で裁く!」
リナリアは震えた。
自分のせいだ。
王子と関わったから、師匠まで巻き込んだ。
しかしエルゼは杖を構え、笑った。
「まったく。年寄りの家に押し入るには、礼儀がなってないね」
リナリアも前に出た。
もう隠れない。
青い魔力が足元に広がり、燃え上がる森の炎を包み込む。
火は花びらのようにほどけ、夜空へ消えた。
男たちが怯む。
その時、森の奥から馬蹄の音が響いた。
「そこまでだ!」
アレクシスだった。
彼は王家の紋章を掲げ、兵士たちを連れて現れた。
「彼女たちは罪人ではない。王子である私の命を救った恩人だ」
黒外套の男たちは逃げようとしたが、王国兵に取り押さえられた。
その場で明らかになったのは、魔女を利用して過去の罪を隠そうとしていた貴族派の企みだった。
翌月、王都の広場で、アレクシス王子は民の前に立った。
隣には国王と第一王子。
そして少し離れた場所に、灰色の外套をまとったリナリアがいた。
「十年前の魔術暴走事件について、新たな証拠が見つかった」
アレクシスの声は広場に響いた。
「罪なき魔力持ちを恐れ、遠ざけ、傷つけてきた歴史を、我々王家は見直さねばならない。魔法は罪ではない。力そのものではなく、それをどう使うかが人を裁く基準であるべきだ」
民はざわめいた。
その視線がリナリアに集まる。
怖かった。
逃げ出したかった。
けれど、アレクシスが振り返った。
その瞳に、あの日と同じ優しさがあった。
リナリアは一歩前に出た。
「私は魔女の弟子です」
広場が静まる。
「でも、誰かを呪うために魔法を学んだわけではありません。苦しむ人を助けたかった。泣いている人の痛みを、少しでも軽くしたかった。ただ、それだけです」
誰かが石を投げるかもしれない。
罵声が飛ぶかもしれない。
そう思った。
だが最初に聞こえたのは、小さな拍手だった。
かつてリナリアに薬を買いに来た村の女性だった。
次に、子どもを助けられた父親が拍手した。
やがて拍手は広場全体へ広がっていく。
リナリアは涙をこらえた。
アレクシスがそっと隣に立つ。
「リナリア」
「はい」
「もう逃げなくていい」
その言葉に、彼女は小さく首を振った。
「まだ少し怖いです」
「なら、怖い時は私の後ろに隠れればいい」
「王子様の後ろに隠れる魔女なんて、変です」
「魔女を追いかけ続けた王子も、十分変だ」
二人は顔を見合わせて笑った。
それから数年後、王国には新しい制度が作られた。
魔力を持つ者を縛るためではなく、守り、学び、正しく力を使うための学舎。
その初代講師の一人に、森の魔女エルゼの名が記された。
そして王立薬草魔術院の庭では、淡い銀髪の女性が子どもたちに薬草の見分け方を教えていた。
彼女の隣には、よく金髪の青年が訪れた。
王子としての公務を抜け出しては、薬草茶を飲みに来る困った人。
「リナリア」
「また来たんですか、アレクシス様」
「君に見つかりたくて来た」
「私は見つかりたくなかったんですけど」
「それは昔の話だろう?」
リナリアは少しだけ頬を赤らめる。
「……今でも、少しは逃げたいです」
「では、追いかける」
「王子様なのに?」
「君の前では、ただのアレクシスでいたい」
風が庭の花を揺らした。
リナリアは昔の自分を思い出す。
誰にも見つかりたくなくて、名前も隠して、森の奥で息を潜めていた少女。
けれど今は、見つけてくれた人がいる。
恐れずに、手を伸ばしてくれた人がいる。
「アレクシス様」
「何だ?」
「私を見つけてくれて、ありがとうございます」
王子は優しく笑った。
「こちらこそ。逃げ続けてくれてありがとう」
「そこは普通、逃げないでくれてありがとう、では?」
「いや。君が逃げたから、私は追いかける理由を得た」
リナリアは呆れたように笑い、それからそっと彼の手を取った。
魔女の弟子は、王子様に見つかりたくなかった。
けれど、見つけられてしまった。
逃げながら、隠れながら、怖がりながら。
それでも少しずつ、彼に惹かれていった。
そして今、彼女はもう逃げない。
たとえ世界がまだ少し怖くても。
この手を握ってくれる人がいる限り、リナリアは前を向いて歩いていける。
森の奥で隠れていた魔女の弟子は、王子様に見つかった。
それは彼女にとって、人生で一番困った出来事であり――
人生で一番、幸せな魔法だった。
☆★
『魔女の弟子は王子様に見つかりたくない』
――見つかった魔女は、王子様の隣でまだ少し逃げたい
王立薬草魔術院が開かれてから、三度目の春が来た。
かつて魔女の噂を恐れて誰も近づかなかった森の入口には、今では小さな石畳の道が敷かれている。道の脇には白いリナリアの花が植えられ、風が吹くたびに細い花びらが揺れた。
その道を、今日も子どもたちが駆けていく。
「先生! 月露草って、夜じゃないと光らないんですか?」
「朝摘んだら効き目がなくなるって本当?」
「先生、先生! 昨日、庭の隅に青いキノコが生えてました!」
薬草院の庭先で、リナリアは両手いっぱいに薬草籠を抱えながら、子どもたちに囲まれていた。
昔なら、魔力を持つ子どもは隠されていた。
家族が怯え、村人が噂し、本人でさえ自分の力を怖がっていた。
けれど今は違う。
少なくとも、この場所では。
「月露草は夜に光るけれど、朝摘んでも薬には使えるわ。ただし、夜明け前に摘んだ方が鎮静効果は強いの。青いキノコは……食べていないわよね?」
「食べてません!」
「偉いわ。青いものは綺麗だけれど、森では綺麗なものほど慎重に扱うこと」
リナリアがそう言うと、子どもたちは真剣な顔で頷いた。
その様子を少し離れた回廊から眺めていたエルゼは、湯気の立つ薬草茶をすすりながら、満足げに目を細めた。
「立派になったもんだねえ」
隣に立つアレクシスは、穏やかに微笑んだ。
「ええ。彼女は昔から、誰かを救う力を持っていました」
「昔から? あんた、あの子の昔をそんなに知ってるのかい?」
「……森で逃げられていた頃なら、少しは」
「それは昔を知ってるとは言わないね。追いかけ回していただけだよ」
アレクシスは否定できず、苦笑した。
王子である彼は、この三年で随分と変わった。
病弱な第二王子。
表舞台にあまり出ない、静かな青年。
かつてそう呼ばれていた彼は、今では王国の制度改革に関わる中心人物の一人となっていた。
魔力を持つ者を一方的に管理する旧制度は廃止され、魔術と薬草学を正しく学ぶための仕組みが作られた。もちろん、すべてが順調に進んだわけではない。
魔女を恐れる者はまだいる。
魔力を利用しようとする貴族もいる。
王城の中にも、アレクシスの方針を快く思わない者は残っている。
それでも、変化は確かに始まっていた。
その中心にいるのが、灰色の外套を脱いだ魔女の弟子、リナリアだった。
「アレクシス様」
子どもたちを薬草畑へ送り出したリナリアが、こちらへ歩いてきた。
「今日も公務の途中で抜け出してきたんですか?」
「抜け出してはいない。視察だ」
「視察なら、なぜ毎回お茶菓子を持ってくるんですか」
「視察には手土産が必要だろう」
「王子様の視察って、そんなに甘いものなんですね」
リナリアは呆れたように言いながらも、彼が持ってきた包みを受け取った。
中には、王都で評判の焼き菓子が入っていた。
蜂蜜と木苺の香りがする。
リナリアは一瞬だけ嬉しそうに目を輝かせ、すぐに表情を引き締めた。
「……ありがとうございます」
「嬉しいなら、嬉しい顔をしてくれていい」
「しました」
「一瞬だった」
「見逃してください」
「無理だ。君の嬉しそうな顔を見るために持ってきた」
リナリアの頬が薄く染まる。
それを見たエルゼが、わざとらしく大きな咳払いをした。
「若いねえ。薬草茶が砂糖なしでも甘くなりそうだ」
「お師匠様!」
「何だい。事実だろう」
アレクシスは楽しそうに笑った。
そんな穏やかな時間が、リナリアにはまだ少し不思議だった。
昔の彼女は、王子様とこんなふうに話す日が来るなど想像もしなかった。
ましてや、魔女の弟子である自分が、王立の学舎で子どもたちに教え、王族と並んで歩くなど。
幸せだった。
けれど幸せは、いつも少しだけ怖い。
失うかもしれないと思うから。
その不安は、翌週、現実のものとなった。
王城から正式な使者が訪れたのは、雨の降る午後だった。
黒い馬車が薬草院の門前に止まり、濃紺の制服を着た王城官吏が降りてきた。
リナリアはその姿を見た瞬間、胸がざわついた。
「王城から?」
エルゼが眉をひそめる。
官吏は丁寧に頭を下げた。
「リナリア殿。王太后陛下より、王城への招待状をお預かりしております」
「王太后陛下……?」
リナリアは封書を受け取った。
厚い白紙。
金の封蝋。
王家の紋章。
中には、短い文が記されていた。
――第二王子アレクシス殿下の命の恩人であり、王立薬草魔術院の講師であるリナリア殿を、春の夜会へ正式に招待する。
文字は美しかった。
だが、その美しさが逆に怖かった。
春の夜会。
王族、貴族、各国の使節が集まる大きな場。
そこへ、魔女の弟子である自分が呼ばれる。
それが何を意味するのか、リナリアにもわかった。
ただの招待ではない。
試されているのだ。
リナリアという存在が、王城に受け入れられるのか。
アレクシスの隣に立つ資格があるのか。
「……お断りしてもいいでしょうか」
思わず漏れた声に、官吏は困ったような顔をした。
「強制ではございません。しかし、王太后陛下はぜひお会いしたいと」
エルゼは黙ってリナリアを見た。
リナリアは封書を握りしめる。
見つかった。
もうとっくに見つかっている。
それなのに、また逃げたくなる。
その日の夕方、アレクシスが薬草院に来た時、リナリアは庭の奥で一人、薬草を選別していた。
「リナリア」
呼ばれても、彼女は顔を上げなかった。
「夜会のことを聞いた」
「そうですか」
「無理に出る必要はない」
その言葉に、リナリアの手が止まった。
「……出なくても、いいんですか?」
「ああ。君が嫌なら断ればいい。王太后陛下には私から話す」
優しい。
アレクシスはいつも優しい。
けれどその優しさに甘え続けていいのか、リナリアにはわからなかった。
「私が逃げたら、アレクシス様は困りますか?」
「困るというより、寂しい」
「そういう答えはずるいです」
「正直に言っただけだ」
リナリアは小さく息を吐いた。
「私は、怖いです」
「うん」
「夜会に行けば、たくさんの人に見られます。魔女だと知っている人も、知らない人も、きっと私を見る。王子様を惑わせた女だとか、王家に取り入った魔女だとか、そういうふうに言う人もいるかもしれません」
「いるだろうな」
「否定しないんですね」
「嘘はつきたくない」
アレクシスは静かに続けた。
「君を悪く言う者はいる。私の選択を批判する者もいる。だが、君を尊敬している者もいる。君に救われた者もいる。君に学びたい子どもたちもいる」
リナリアは顔を上げた。
アレクシスの青い瞳が、まっすぐ彼女を見ていた。
「夜会は戦場ではない。けれど、君にとっては戦場のように感じるかもしれない。だから、無理はしなくていい。ただ……」
「ただ?」
「私の隣に立つ君を、見たいと思っている」
胸の奥が、きゅっと苦しくなった。
王子の隣。
それは、夢のような場所ではない。
きっと視線が刺さる。
言葉に傷つく。
怖くて、足がすくむ。
それでも、アレクシスはその場所で一人で戦ってきたのだ。
魔女に救われた王子として。
魔法を恐れる国を変えようとする王族として。
リナリアは薬草籠を置いた。
「……逃げたら、追いかけてくれますか」
アレクシスが少し驚いた顔をした。
それから、柔らかく笑った。
「もちろん」
「王城の夜会で逃げても?」
「廊下でも庭でも温室でも、君が逃げるなら追いかける」
「王子様なのに?」
「君を見つけるのは、私の得意分野だ」
リナリアは思わず笑ってしまった。
「では、行きます」
「本当に?」
「はい。でも、途中で逃げるかもしれません」
「構わない」
「その時は、ちゃんと見つけてください」
アレクシスは一歩近づき、リナリアの手を取った。
「約束する」
春の夜会の日。
リナリアは、灰色の外套ではなく、淡い青のドレスを身にまとっていた。
エルゼが仕立て屋に頼んでくれたものだ。派手すぎず、けれど森の月光のように静かな美しさがある。
銀色の髪はゆるく結い上げ、耳元には小さなリナリアの花飾り。
鏡に映る自分を見て、リナリアは落ち着かない気持ちになった。
「……誰ですか、これ」
「お前だよ」
エルゼが背後で笑った。
「綺麗だよ、リナリア」
「お師匠様までそういうことを言うんですか」
「事実を言っただけだ」
「みんな、事実って言えば何でも許されると思ってませんか」
「許されるさ。褒め言葉ならね」
リナリアは深呼吸した。
王城へ向かう馬車の中、彼女はずっと手袋の指先を握りしめていた。
アレクシスは隣に座り、あえて何も言わなかった。
その沈黙がありがたかった。
王城の大広間は、眩しいほどの光に包まれていた。
高い天井から吊るされた水晶灯。
磨き上げられた床。
音楽。
香水。
絹の衣擦れ。
笑い声。
リナリアは一歩入った瞬間、息が詰まりそうになった。
視線が集まる。
誰かが囁く。
「あれが例の魔女の弟子?」
「第二王子殿下の命の恩人らしいわ」
「本当に魔法を使うのかしら」
「殿下はなぜ、あの娘を……」
手が冷たくなる。
その時、アレクシスが自然に彼女の手を取った。
強く握るのではなく、いつでも離せるように。
けれど、確かにそこにいると伝えるように。
「大丈夫?」
「……今すぐ薬草畑に帰りたいです」
「正直でいい」
「でも、まだ逃げません」
「偉い」
「子ども扱いしないでください」
「では、勇敢だ」
リナリアは小さく睨んだが、少しだけ肩の力が抜けた。
やがて、王太后が姿を現した。
白銀の髪を美しく結い、深緑のドレスをまとった老婦人だった。その眼差しは鋭く、広間にいる貴族たちの声が一瞬で静まるほどの威厳がある。
リナリアは背筋を伸ばした。
王太后はゆっくりと近づいてきた。
「あなたがリナリアね」
「はい。お招きいただき、ありがとうございます」
リナリアは深く礼をした。
王太后はしばらく彼女を見つめた。
長い沈黙。
広間中が二人を見守っている。
やがて王太后は言った。
「顔を上げなさい」
リナリアは恐る恐る顔を上げた。
王太后の瞳は厳しかった。
けれど、敵意ではなかった。
「アレクシスを救ったこと、王家の者として礼を言います」
「……私にできることをしただけです」
「それが難しいのです。多くの者は、できることがあっても恐れて動けない。あなたは恐れながらも動いた」
リナリアの胸が震えた。
王太后はさらに続ける。
「私は魔女を恐れる時代に生きてきました。魔法によって傷ついた者も見てきました。だから簡単に、すべてを受け入れるとは言えません」
広間に緊張が走る。
アレクシスの手にわずかに力がこもった。
だがリナリアは、静かに頷いた。
「はい」
王太后は少しだけ目を細めた。
「けれど、恐れだけで人を裁つ時代は終わらせねばならないのでしょう。アレクシスがそう望み、あなたがその証となるなら、私は見届けます」
それは承認だった。
完全な歓迎ではない。
それでも、確かな一歩だった。
リナリアは深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
その瞬間、広間に拍手が起こった。
大きくはない。
けれど確かに、誰かが始めた拍手だった。
リナリアは泣きそうになりながら、必死に堪えた。
しかし、夜会が穏やかに進むかと思われた時だった。
一人の貴族が前へ出た。
灰色の口髭を蓄えた男。旧制度を支持していたことで知られる侯爵だった。
「王太后陛下のお言葉に異を唱えるつもりはございません。しかし、民の不安を払うためにも、この娘が本当に危険ではないことを示す必要があるのでは?」
広間がざわめく。
侯爵はリナリアを見た。
「魔女の弟子殿。ここで一つ、魔法を披露していただけませんかな。もちろん、安全なものを」
リナリアの体が固まった。
これは好奇心ではない。
晒し者にするための言葉だ。
魔法を見せれば、やはり魔女だと恐れられる。
断れば、危険だから見せられないのだと噂される。
アレクシスが前に出ようとした。
だが、その前にリナリアは彼の手をそっと離した。
「リナリア」
「大丈夫です」
声は少し震えていた。
けれど足は動いた。
リナリアは広間の中央へ進む。
大勢の視線が突き刺さる。
昔なら逃げていた。
今でも逃げたい。
けれど、ここで逃げたら、薬草院の子どもたちはどう思うだろう。
自分の力を怖がっている子どもたちは。
魔法は隠さなければならないものだと、また思ってしまうのではないか。
リナリアは深呼吸した。
「では、危険ではない魔法を」
彼女は近くの花瓶から、一輪の白い花を取った。
そして掌に乗せる。
詠唱はしない。
炎も雷も起こさない。
ただ、花にそっと魔力を流した。
白い花びらが淡く光る。
その光は広間に広がり、傷ついた花びらの先を修復していく。
しおれかけていた花は、朝露を浴びたように瑞々しく開いた。
それだけだった。
だが、その小さな魔法に、広間の空気が変わった。
リナリアは静かに言った。
「私の魔法は、誰かを従わせるためのものではありません。傷ついたものを癒やし、弱った命を支えるために学んできました。もちろん、魔法は使い方を間違えれば危険です。剣も、火も、言葉も同じです」
彼女は侯爵を見た。
「だから私は、隠れるのではなく、正しく学び、正しく教える道を選びました。怖がられても構いません。でも、知ろうともせずに恐れるだけの時代は、少しずつ終わらせたいのです」
広間は静まり返った。
最初に拍手をしたのは、アレクシスだった。
次に王太后。
そして、少しずつ拍手は広がった。
侯爵は苦々しげに口を閉ざした。
リナリアはその場で礼をし、ゆっくりとアレクシスのもとへ戻った。
彼は何も言わず、ただ手を差し出した。
リナリアはその手を取る。
「逃げませんでした」
「見ていた」
「怖かったです」
「知っている」
「褒めてください」
アレクシスは少し驚いた後、心から嬉しそうに笑った。
「君は誰より勇敢だった」
その言葉だけで、リナリアはもう十分だった。
夜会の終わり頃、二人は広間を抜け出し、王城の温室へ向かった。
ガラス張りの天井越しに、星空が見える。
夜の温室には甘い花の香りが満ち、遠くから音楽が微かに聞こえていた。
リナリアは大きく息を吐いた。
「やっぱり逃げましたね」
「これは休憩だ」
「王子様も逃げるんですね」
「君を追いかける名目で」
「私、先に逃げてませんけど」
「では、私が先に逃げたことにしよう」
二人は並んで温室の小道を歩いた。
リナリアの足元で、小さな夜光花が淡く光る。
しばらく沈黙が続いた後、アレクシスが立ち止まった。
「リナリア」
「はい」
「今日、君を夜会に連れてきたのは、王城に認めさせるためだけではない」
リナリアは彼を見上げた。
アレクシスの表情は、いつになく真剣だった。
「私は、君と共に歩きたい」
胸が鳴った。
「薬草院だけではなく、森だけでもなく、王都だけでもない。この国の未来を、君と一緒に見たい」
アレクシスはそっと跪いた。
リナリアは息を呑む。
彼は懐から小さな箱を取り出した。
中にあったのは、宝石を散りばめた豪華な指輪ではなかった。
銀の細い輪。
中心に、小さな青い魔石とリナリアの花を模した装飾がある。
「王族としての求婚ではない。今ここにいる、ただのアレクシスとして聞きたい」
彼は彼女を見つめた。
「リナリア。私の隣にいてくれないか」
リナリアの目に涙が浮かんだ。
幸せすぎて怖い。
そう思った。
今でも少し、逃げたい。
この手を取れば、もう本当に戻れない気がした。
森の奥に隠れていた少女には戻れない。
けれど。
戻りたいとは、もう思わなかった。
「……私は魔女の弟子ですよ」
「知っている」
「怖くなる日もあります」
「その時は一緒に逃げよう」
「王子様なのに?」
「君のためなら、逃げ方くらい覚える」
リナリアは泣きながら笑った。
「それでは国が困ります」
「なら、逃げた後に戻ればいい」
「勝手ですね」
「君に見つかってしまったから」
「見つけたのはアレクシス様です」
「では、お互い様だ」
リナリアは震える手を差し出した。
「はい」
アレクシスの瞳が揺れた。
「本当に?」
「はい。私でよければ、あなたの隣にいます」
指輪が、リナリアの指に通される。
青い魔石が淡く光った。
その光は、昔アレクシスの呪いを解いた時と同じ色だった。
優しくて、静かで、温かい光。
アレクシスは立ち上がり、リナリアの手を包み込んだ。
「ありがとう」
「こちらこそ」
「もう逃げない?」
リナリアは少し考えた。
そして、いつものように少しだけ意地悪く笑った。
「時々は逃げます」
アレクシスも笑った。
「では、時々は追いかける」
「すぐ見つけないでくださいね」
「努力する」
「絶対すぐ見つける顔です」
「君のことになると、我慢が効かない」
リナリアは頬を赤らめ、視線を逸らした。
温室の外では、夜会の音楽が終わろうとしていた。
王城の空には星が瞬き、遠くの森は静かに眠っている。
かつて彼女が隠れていた森。
彼が彼女を探し続けた森。
そして今、二人が並んで戻っていく場所。
翌朝、王都には大きな噂が広がった。
第二王子アレクシスが、魔女の弟子リナリアに求婚した。
貴族たちは驚き、民は騒ぎ、薬草院の子どもたちは大喜びした。
エルゼは薬草茶をすすりながら、呆れたように笑った。
「まったく。隠れて暮らしていた弟子が、王子の妃候補とはねえ」
リナリアは真っ赤になって叫んだ。
「まだ候補です! 正式にはこれからです!」
「でも指輪はしてるじゃないか」
「これは……その……魔石の研究も兼ねて」
「苦しい言い訳だね」
そこへ、朝から訪ねてきたアレクシスが微笑みながら言った。
「では、研究ということにしよう。私たちの未来についての」
リナリアは顔を覆った。
「アレクシス様、そういうことを人前で言わないでください」
「人前でなければいい?」
「そういう意味ではありません!」
子どもたちが庭の向こうで笑っている。
エルゼも笑っている。
アレクシスも、リナリアも、少し照れながら笑っている。
魔女の弟子は、王子様に見つかりたくなかった。
けれど見つかって、追いかけられて、手を取られて。
今では、逃げる場所よりも、帰りたい場所が増えていた。
それは森の家。
薬草院。
王城の温室。
そして、アレクシスの隣。
リナリアは指輪に触れながら、春の空を見上げた。
怖い未来がなくなったわけではない。
けれど、怖くても歩ける未来ができた。
そのことが、何よりも幸せだった。
「リナリア」
名前を呼ばれ、彼女は振り返る。
アレクシスが手を差し出していた。
「今日は王都の薬草市へ行く約束だろう?」
「……忘れていません」
「逃げる?」
リナリアは少しだけ考えてから、彼の手を取った。
「今日は逃げません」
アレクシスは嬉しそうに笑った。
「それは残念だ」
「なぜ残念なんですか」
「追いかける口実がなくなる」
リナリアは呆れながらも、手を離さなかった。
「では、逃げない代わりに、一緒に歩いてください」
「喜んで」
春の光の中、二人は並んで歩き出す。
王子様に見つかりたくなかった魔女の弟子は、今日も少しだけ照れながら、その隣を歩いていく。
もう隠れるためではなく。
誰かに見つかることを、恐れすぎないために。
そして、いつかこの国のどこかで、自分と同じように怯えている誰かがいたなら、今度は自分が見つけに行けるように。
リナリアはそっと呟いた。
「私、見つけられてよかったです」
アレクシスが彼女を見る。
「私も、君を見つけられてよかった」
二人の手の間で、青い魔石が淡く光った。
それは、隠れていた少女が前へ進むための、小さくて確かな魔法だった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は、魔女の弟子リナリアが「見つかりたくない」と逃げていた頃から少し成長し、アレクシス王子の隣で前を向こうとするお話でした。
王城の夜会、貴族たちの視線、魔女への偏見。
それでもリナリアは逃げきるのではなく、自分の魔法と想いを認め、アレクシスの手を取る道を選びました。
二人の物語は、ここで一つの大きな節目を迎えます。
ただ、正式な結婚式編については、もしこの作品に人気が出たり、評価やコメント、ブックマークをいただけた場合に、続編として書いていけたらと思っています。
リナリアが本当に王子の隣に立つ日。
魔女の弟子が王子妃として祝福される日。
そして、森の魔女エルゼや薬草院の子どもたち、王城の人々が見守る中で行われる結婚式編も、いつか描けたら嬉しいです。
少しでも面白いと思っていただけましたら、評価・コメント・ブックマークで応援していただけると励みになります。
ありがとうございました。




