表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二章完結】堕神アレスと竜人の幼女 〜無垢な竜人幼女と神へ返り咲く!ゆる旅、解呪ファンタジー〜  作者: くれは
元最強神・善なる素行

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/59

47.「……せんにゅう」

 閑散とした暗くて冷たい空気が流れる町の地下。町の住人すら知らない古くてもう使われていない地下水路がある。

 闇市を開催している『奴隷商』は地下水路が好きなのかと思うほど、摘発される場所らしい。学ばないのかと疑問に思うだろう。だが、摘発されたのは王都の一件だけ。騎士団長のユース以外は無能だと奴等も思っているわけだ。そして、奴隷制度を破滅させようとしている王国側が奴隷を飼っているわけないと、今回から組み込まれたのが必ず奴隷を一人連れてくること。


 あれからユースたちの情報を辿って開催される闇市の場所へ足を踏み入れた。

 地下水路にある大きな空間は殆ど光はなく、暗い中で無数の椅子が置かれている。


「おい。地下水路と言うのは、こんな空間があるものなのか」


 王都でも感じていた違和感。それに対して涼しい顔をしているユースが頭を掻いた。


「うーん、普通なら違和感を覚えるよね? 実は、これも()()だよ」

「……魔法。空間魔法か」

「――御名答。空間魔法にも色々あるらしいけど、この魔法使いは自在に空間を作り出せるようだ。しかも、外見はそのままで中だけが自由にね……」


 相当な魔法使いを闇の『奴隷商』は飼っているらしい。

 しかも、この程度なら魔法使いとして犯罪者扱いは出来ないという。【従属の首輪】を製作している封印の魔法使いと同じだ。

 

 王都のときと同じく出入口で取り調べのようなことが始まる。ユースたちは潜入のために変身薬を飲んでいて無事入れた。変身魔法使いの作った魔法具で、市場には出回っていない。魔法具を探知する方法はなく、潜入にうってつけだと笑っていた。

 反して素のままなアレスと幼女だったが、外見は関係なく止められてしまう。

 理由は単純だった。一桁の子供を連れていること。


 この世界で一桁の子供を奴隷にする者も少なくない。但し、リスクもあるため、ぼんくらな大貴族の息子か『奴隷商』の人間だけだ。


「ああ、コイツは話せない。だから煩わしくなくて奴隷にした」


 最もなことを言うと、疑いながらも【従属の首輪】を確かめる。しっかりと彫られた名前と提示された会員証を照らし合わせてから、下品な笑みを浮かべた門番代わりの男が漏らした。


「くはっ……良い趣味した野郎だぜ」


 普段ならアレスに惑わされてもおかしくないが、ユースの持ってきた魔法具『影の眼(シャプス)』効果だ。変身薬は高価すぎて四人分用意するのは難しかったらしい。


 見た目は認識阻害の眼鏡で、黒色をしている。これは『幻影』の魔法を使う魔法使いが作ったものだ。貴重品らしく、借りただけ。


 無事に潜入したアレスたちは左右に別れて座る。何かあったときの費用は全額騎士団持ち。

 任務後、すぐに封印を解除させるため、引きこもりな封印の魔法使いへ伝令を出している。彼女は【従属の首輪】などの魔法具をどうにかしたいと考えている一人だ。


「おい、奴隷になって変わったところはないか」


 続々と奴隷を引き連れた客が集まる中、アレスは隣で立ったままの幼女へ声を掛ける。

 奴隷は全員が整列したように立っていて分かりやすい。


 幼女は不自然にならないよう小分けにした魔法紙へ文字を書いて渡してくる。

 『いつもとおなじ』


 幼女は呪いによって痛みを感じない。だが、誰でも駒として使っていそうなユースも、フウルに対してだけ少し違う印象を持っていたアレスは心配していなかった。


 そんなとき、まだ開始の合図すらない中で舞台へ一人の男が現れる。男の異様さはすぐに分かった。男の首には【従属の首輪】が嵌まっていて、主だろう名前も刻まれているにも関わらず舞台で我が物顔をしている。


 静かだった会場も少しだけざわついた。禍々しい黒い首輪をつけているのに、なぜそこに立っているのかと……。


「あー……こうやって人前に出るのは何年ぶりだったか。俺様はカロス。クズ共が飼ってる奴隷の首についてるソレを作った男だ」


 再びシーンと静まりかえる中、男の首輪に刻まれた名前を確認したアレスは口角を上げる。


 『獣の主“カロス”』


「――フッ。あの男、随分な異常者らしい」


 他の客も気づいたようで再びざわつきだすのを主催者だろうスーツに身を包んだ中年男が汗を掻きながら走ってきた。

 客に説明をする中、カロスと名乗った男は手鏡を取り出して自分の顔から首までを映してうっとりしている。


 自分自身を奴隷化させるなんて異常者はこの男くらいだと誰もが思った。それから、どうしてそんなことをしたのかと言う真っ当な疑問が浮かぶ。

 何かメリットがあるのか考えて思うのは奴隷を使った呪いを付与して能力を植え付ける方法だ。だが、実験として使っているだけで奴隷になる必要はない。


 視線だけ向けた先のユースも驚きや呆れを通り越して面白いとばかりに笑っている。

 【従属の首輪】などを作って現在まで姿を目撃した者はいなかったらしく、誰もこんな異常者だと思わないはずだ。


 飼われている奴隷たちも思うところがあるのか、強張った表情をしている。


「あー、最後に一言。奴隷は堕ちる奴が悪い! 見てみろ。俺様は自らを奴隷化させてるが、それは自分が大好きすぎて束縛したかったからだ。無能に飼われているてめぇらは、俺様たちより優れた能力を持っているのに歯向かわない。だから、現在(いま)がある」


 言いたいことだけを吐き出した演説に満足したのか、舞台袖へ去っていった。自分大好きで自己中心的な男だとは思っていなかった怒り心頭のフウルを宥めるユースが見える。


 殺到する質問に対して主催者は汗をかきながら「守秘義務です」と宥めていた。


 自分が大好きだからと奴隷を選択した男へ興味を向けたアレスだったが、追いかけるわけにもいかず舞台に向き直る。

 少しの間を置いてから、静まりかえる会場で舞台だけが怪しげな青い光へ包まれ、幕開けとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ