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【第二章完結】堕神アレスと竜人の幼女 〜無垢な竜人幼女と神へ返り咲く!ゆる旅、解呪ファンタジー〜  作者: くれは
元最強神・善なる素行

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31.「……じゅうぞくのくびわ?」

 【従属の首輪】は主人となる者が呪文を唱え、魔力を注ぐことで成立する。但し、首輪に触れるだけで魔力が流れるわけじゃない。それでも、魔法が浸透できないこの世界で、魔力の扱いが上手い人間も少なく不安は拭えないため、以前購入した布を巻かせて対策する。呪文を知っている者がどの程度いるかも把握出来ないのもあった。


 王都へ戻るには、再び門番のいる正門から入らないといけない。クラトスが戻ったことで、制限は解除されているはずと、三人は門の前へやってきた。


 もう一人捕まっていた妖精はアレスが水路へ落ちる際、通路に放り投げたことで騎士団が回収したと聞いている。

 闇市に潜入して一網打尽を狙っただけあって、丁重に保護されていることを信じるしか無かった。


 それに対して、この人魚は保護を求めなかったのが疑問である。おかげでアレスは命拾いしたわけだが――。


「そこの三人、止まってください!」


 まさか、門番に扮して騎士団の少女がいるとは思ってなかったアレス以外の二人は顔を強張らせる。アレスも一瞬感心した表情をしたが、相変わらず涼しい顔をしていた。


 仮面は幼女によって塵も残さず廃棄済み。問題があるとしたら首輪を勘付かれないかだけ……。


()()何か問題でも?」


 別な意味で仮面をつけた口調のアレスは敢えて『また』と言葉に付け足した。これは一度、正式な形で王都に入って出たことを示唆(しさ)している。

 とはいえ、王都も入るのは大変だが、出るのは簡単だったりした。


 ――王都へ犯罪者が入り込んでいる場合を除いて……。


 特徴的な耳の形からして、彼女は亜人種の『鳥類』なのは分かった。彼らは『羽耳』という特殊な耳を持ち、一度聞いた音は忘れないとか。加えて視野の広さと視覚に秀でている。

 亜人種すべての変身に対して呼ばれる『獣化』が出来る個体は、人間の姿で羽根を生やし飛べるらしい。


 見定めるようなピンク色の瞳は、すぐに笑顔に変わる。


「はい! 問題ありません。()()、王都を楽しんで行ってくださいねー!」


 含みのある言葉を返す少女は、()()()()()()感が拭えない。

 アレスの代わりに笑顔で返す二人を連れて、追手を確認しながらすぐさまクラトスの家へ向かう。


 半日以上帰ってこないアレスたちを心配したタレイアが家の前で下を向いて座り込んでいた。


「ハッ! アレスさーん‼ 心配してたんですよー! と、お人形さんみたいに綺麗な子……まさか⁉」

「――さっきのうるさい騎士団女と似てねぇか」


 どこか似た雰囲気を感じる涙目のタレイアに毒づきながら、幼女を抱き締める姿を尻目に中へ入っていく。

 トントンと小さな音が響く中、どこか落ち着きのないクラトスと目が合った瞬間。ガタッと音を立てて椅子から立ち上がる。


「アレス‼ あー……無事で良かったよぉ」


 思った以上に心配されていたことを知ったアレスだったが、なんの感情も生まれていない顔をしていた。そして、幼女とタレイアも中へ入ってきたところで事と次第を話して聞かせる。


 先ずは、問題の首輪だった。人魚が自分で布を取り外して見せると、二人は一気に暗い顔をする。問題は、まだ発動していない【従属の首輪】の解除方法だ。


「うーん……難しい問題だね。基本として、呪いは僕たち呪い師が解いたり、解呪方法を導くように。封印関連は、“封印の魔法使い”しか分からないんだ」


 封印の魔法使いは、世界中で数えたら以外と複数人いるらしい。攻撃魔法や一部の強力な魔法は、世界で一人なんて話もあるほど貴重だという。また、魔法を習得しても報告義務はないが、良い職に就けることで隠す者は少ないのだとか。


 しかも、この王都で一人だけ封印の魔法使いがいると聞かされる。

 ただ、絶望的に困難な場所でお抱え魔法使いだった。


 絶望的でお抱えと言ったら一つしかない。


「……王城か。さっき、騎士団の女に目をつけられたばかりだな」

「え? 目をつけられたんですか⁉ あ……途中で追いかけられたという……?」


 溺れて死にかけたという自分の失態は伏せて、大体の話をしたアレスが腕を組む。複数人座れるだけの広さと椅子やソファーはなく、小さな水槽を抱える人魚だけがクラトスの前で座っていた。


 しかも、人魚の姿じゃないと話せないため、肝心の逃げた理由を聞いていない。


 王城は決められた時間に謁見は可能だが、それは国王であり、封印の魔法使いへ会うことは叶わない。

 しかも、なんらかの事情があったとしても理由を話さないと【従属の首輪】を解除はしてくれないだろう。つまり、闇市にいたことを明かす必要があった。


「貴様の権限で、どうにかならないのか?」

「僕は国王陛下からマイスターの称号を直接賜った身だけど……。彼女、封印の魔法使いとしては位も高くて群を抜いてるんだけど……滅多に人前へ出てこない引きこもりなんだよ」


 全員で引きこもりの魔法使いを想像する。ボサボサの髪に丸眼鏡、三つ編みおさげまで出てきたところで打ち消した。


「それにしても人魚は僕も初めて見たな……。加えて、希少な卵だろう? 事情を察して力になってくれるとは思うけど……」

「難関なのは、会うまでですね……!」


 近くに置いてあった度の入っていない眼鏡をかけるタレイアが、良いことを言ったと演じてみせてくる。だが、誰もが思うことで溜め息が漏れた。

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