非常勤講師時代(5)
渡辺は爆弾を売るべく博物館に行った。彼は博物館の前で水を召喚すると町で暴れまわるよう指示、水は快く引き受けてくれた。ようやく水に認められたような気がした。
渡辺は館長室に押し入ると爆弾を召喚し、取引を持ち掛けた。粘り強い交渉が続いたが、突如館内に警報が鳴り響き、館長や従業員はあわただしく逃げて行ってしまった。
渡辺が様子を確認しようとドアを開けると目の前には赤城直人がいた。渡辺は落ち着いて言った。
「外で水が暴れまわっているそうじゃないか。人が襲われているかもしれない。そっちの対処を優先すべきじゃないか?」
「その水なら飲み干した。」
「甘いな。それで『三哲』を備えたつもりか。」
「いい加減にしてくれ。もう君のことを庇いきれないんだぞ。」
「もう勝った気でいるようだが、現実を見せてやる。水よ。凍れ。」
赤城直人はうめき声をあげその場に倒れこんだ。彼は自分を殴ることで体内の氷を砕いたが、渡辺はすかさず水に蒸発するよう指示、赤城の体内で水蒸気爆発が起こり、赤城は血を流して倒れた。これが真の「自調自考」だ。
渡辺は赤城を氷漬けにし、「永久凍土から見つかった古代人」として売ることを思いついた。彼は赤城を包み込むため直方体の水を生成し始めた。慣れない作業に手こずり、ふと赤城の方に目をやると、傷口がふさがっていた。再生能力も持っているらしい。
急いで攻撃態勢をとると、赤城は倒れた姿勢から血のビームを発射してきた。渡辺はギリギリでそれをかわす。恐らくまともに戦えば勝つ見込みは5割程度だろう。しかし、渡辺は確実に勝てる作戦をひらめいた。
渡辺は足元に水流を発生させ、高速で移動しながら出口に向かい、血のビームや空気弾を放ちながら追ってくる赤城に対し博物館の物を操って飛ばしたり、床をへこませたりして妨害した。
渡辺は赤城より先に脱出すると、博物館を操って一気に崩落させた。それによって館長室にあった爆弾も爆発、渡辺は水でそれを防いだ。
かなり疲れたが、赤城はこの程度では死なない。渡辺は瓦礫を呼び寄せてその上に乗り、飛び上がると赤城がいたであろう場所に爆弾を召喚しては投げつけることを繰り返した。
くたくたになって休んでいると、突然「「くらえ!先制攻撃!」」と言う叫び声を聞こえてきたので、慌てて飛び上がった。
自分の下を二発の銃弾が通過していった。銃が放たれた方を見るとソ連とポーランドの書記長がいた。
彼らは刀を抜いた。今は戦うべきではない。
「ここで会ったが百年目!」
「ま、待て!私は顔と名前が同じなだけの別人だ!」
「何!そうなのか!では奴がどこにいるのか分かるか!?」
「奴は中央銀行を乗っ取りました!現在奴の一味が厳重に警備しているそうですが、合言葉を言えば入れてくれるでしょう!」
「その合言葉を教えてくれ!」
「『強盗だ!金を出せ!』です!」
「『強盗だ!金を出せ!』だな!ありがとう、同志よ!この恩は一生忘れない!」
ポーランドの書記長は終始呆然としてそれを見つめていた。彼らは中央銀行へと向かっていった。
渡辺は胸をなでおろし、赤城の死体を探そうと博物館の焼け跡に向かおうとしたが、なんと地中から赤城が飛び出してきた。
まさか穴を掘って逃げていたというのか。
彼は拳に光のようなものを纏い、殴りかかってくる。かわそうとするが間に合わず、拳をもろに受けて吹き飛ばされた。渡辺は水を纏って立て直そうとするが力が全く使えない。さっきの攻撃のせいだろうか。渡辺は成すすべなく赤城に取り押さえられるのだった。
彼は国外追放となった。




