"元気なゴブロ"
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▼異常個体・元気なゴブロ
「ウオオオーーーッ!! タノシイィーーー!!!」
転がりながら叫び、壁に頭をぶつけては喜び、意味もなく全力スクワットを始める。
俺の前に現れたのは――明らかに普通じゃないホブゴブリンだった。
(……なんだ、コイツ)
体格はホブゴブリンと同じだが、挙動がおかしい。というか、異常だ。
跳ねて、回って、叫んで、笑う。テンションが振り切れている。体中の筋肉がギシギシいってる。
(ユニーク個体か……!?)
慎重に《観察》を発動すると、名前とレベルだけがぼんやり浮かび上がった。
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名称:元気なゴブロ(ユニーク個体) Lv7
スキル:発動中のスキルなし
⸻
(“元気なゴブロ”って……名前も異常だな!?)
そのとき、ゴブロがピタッと止まった。
そしてこちらを――いや、俺の微かな光を、じっと見た。
「……アッ! ヒカリ! アカイホシ、ミツケタァ!」
(やばっ!バレた!?)
こっちに向かって、地響きを立てながら猛ダッシュしてくる。
笑いながら、四足で。まるでゴリラのように。
(無理無理無理!!)
慌てて壁に潜り、地中を滑るように移動。岩盤に潜って視界を遮った。
「イナイ!? アレ……ユメ? ウソ?」
壁の向こうで、ゴブロが転がりながらがっかりしている。
(……あぶな……あれ絶対正面から戦ったら終わるヤツだ)
▼試してみる勇気
とはいえ、このままじゃ何も分からない。
せめて、“どのくらいヤバいのか”くらいは知っておきたい。
少し離れた岩陰から、そっと浮かび、火の玉の先端をゴブロの足に触れさせるように近づける。
(……いけ、鬼火! これで少しでも削れれば……!)
ピリッと焦げたような匂い。ろうそくの火に触れた時のような、微細な刺激。
ゴブロがピクッと足を上げた。
「アチ! チクチク! ……ヘヘッ、ナンダコレ!」
一瞬だけ痛がったかと思えば、すぐにその場でスクワットを始める。
しばらく見ていると――
(……え? 傷……消えてない?)
俺は混乱しつつも、火の玉の先っぽを再度当ててみる。何度も。何分も。
それでも、皮膚は赤くなりはするが、次の瞬間には元通りになっている。
(いや、これ……回復してる!)
明らかに、鬼火のダメージが“蓄積していない”。
(……ってことは、まさか、スキル……?)
▼まさかの“回復スキル”
《観察》ではスキルは見えなかった。
でも、実際に試してみたことで、ようやく確信に至る。
(コイツ……たぶん、《体力自動回復》を持ってる!!)
常時発動、持続回復……そして、俺のような微弱な持続ダメージには“完全耐性”。
(うわああああああ、やっちまった!!)
俺の戦法は、どんな相手にも時間をかけて鬼火で削る一点特化だ。
つまりこのゴブロ、俺にとって“絶対に倒せない相手”というわけだ。
「アッ! アカイノ! マタキタァ!!」
嬉しそうに走ってくる。
(うわあああもうダメだ!無理!絶対勝てない!!)
▼潔く、撤退!
俺は壁に潜り、全力で逃げた。下層の壁を、地面を、石柱をすり抜けて、浮遊速度の限界で突き進む。
「アレ~!? マテマテー! ヒカリ~! マテッテバァー!」
追いかけてくるゴブロの声が、いつまでも聞こえていた。
だが幸い、俺が壁に消えると追跡はできないようで、やがて声も遠のいていった。
俺はようやく安全圏にたどり着き、へたり込むように浮かんだ。
(やっば……まじで死ぬかと思った……)
▼知恵で挑め
でも、同時に分かった。
俺は確かに弱い。圧倒的に弱い。でも、弱いからこそ、こうして逃げて、生き残る道を探して、情報を集めている。
そして――
(あいつに勝つには、“別の攻撃手段”が必要だ)
鬼火じゃ無理だ。
でも他のスキルを見ていて分かった。
ゴブリンにもいろんなスキルがある。中には攻撃系スキルもある。
(どこかに、“俺でも習得できる攻撃手段”があるはずだ)
だから、俺は観察する。探し出す。そしていつか、元気なゴブロさえ倒せる力を身につけてみせる。
火の玉の先端を、強く灯しながら――俺はまた、静かに壁の中を進み出した。
⸻
つづく
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