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下層へ…

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挿絵(By みてみん)

崩れた石壁の隙間から、何かが「見える」ような気がしたのは、偶然じゃない。


(このへん……なんか、空気の流れが違う?)


俺の体を通り抜ける風が、壁際だけほんの少し揺れる。火の玉の身になってから、微細な変化に敏感になった気がする。


《観察》スキルを使い、周囲の違和感を確認してみると、案の定――そこには「隠された空間」があった。


岩を積み上げて隠した、かつての通路跡。その岩をすり抜けて進むと、朽ちかけた石段が見えた。


(……これが、“下層”か)


俺はためらいながらも、階段をゆっくりと下っていった。



▼鬼の巣・下層へ


一段ごとに、空気が変わる。匂いも、湿度も、音の響きすらも。上層とはまるで別世界だった。


(……暗いな、ここ)


火の玉である俺の光はかすかに周囲を照らすが、すぐに黒が飲み込んでくるような圧迫感がある。


じめじめとした土の匂い。遠くから、ズルズルと何かを引きずるような音。何体もの“気配”が周囲にちらつく。


(ここ……明らかに“魔物の密度”が違う)


慎重に通路を進み、広間のような場所に出たそのとき――俺は見た。


普通のゴブリンよりも明らかに大きく、がっしりとした体格の魔物が、石斧を振り回して木の柱を叩いていた。


(……あれ、ゴブリンじゃない)


背丈は1.5倍近く。顔も少し伸びて、猿に近い。動きもゆっくりだけど、どこか自信があるような“貫禄”があった。


(ホブゴブリン……か?)


俺はそっと距離を取り、壁に身を潜らせたまま、《観察》を発動。



名称:ホブゴブリン Lv6

スキル:???(発動中のスキルなし)



(スキルは発動してないから分からないか……)


だが、このレベル。ゴブリンのLv1〜2と比べれば、圧倒的な差だった。


(……でも、やるしかない)


俺は静かに、そっと地面から頭だけを出して――火の玉の“チリチリ”部分を、ホブゴブリンの足元に触れさせた。



▼四日間の焼き作戦


1日目。触れて数分後、ホブゴブリンは足をピクッと動かす。でも、それだけ。


熱を感じたのか、数歩後ずさり、地面を睨んでから元の場所に戻った。


(気づかれてない……? それとも、無視?)


この時点では、火傷もなければ異常もない。手応えは皆無だった。



2日目。足の皮膚が、ほんのり赤くなっていた。寝ている時間が増え、頻繁に足を擦るような仕草を見せる。


でも、攻撃されたとは思っていないらしく、こちらに警戒は向かない。


(地味だけど……確実に効いてる)



3日目。歩くたびに痛むのか、ホブゴブリンは斧を杖のように突きながら歩いていた。かかとは腫れ、皮膚がめくれかけている。


その日は、他のゴブリンと会話らしきうめき声を交わしていた。


「アシ……ヨワイ。ウマレツキ……」


(勘違いしてる!? 俺のせいなのに!?)


どうやら仲間内では、「生まれつき足が悪いホブゴブリン」と認識されているらしい。



4日目。午前――立ち上がることすら難しくなり、石壁に寄りかかって動かなくなった。


午後――うめき声をあげながら地面を這うようになり、他のゴブリンたちも困惑した表情で見守る。


夕方――やがて、呼吸のような動きが止まり、静かに事切れる。


(倒せた……四日、かけて)


俺は、静かにその死を見届けた。



▼進化の可能性


(こいつ……たぶん、ゴブリンの進化形だ)


大きさ、能力、武装。明らかに“進化”というステップを踏んでいるように見えた。


(なら、俺にも……?)


俺は、火の玉のまま。ずっと“ウィル・オー・ザ・ウィスプ”。だけど、スキルも増えてきたし、レベルも少しずつ上がっている。


進化する魔物がいるなら、俺にも進化の可能性が――。


(どんな姿になるんだろ……まさか、もっと火の玉が大きくなるだけとか?)


笑いかけた、そのときだった。



▼“何か”が来る


「ドドド……バタバタッ、ドゴンッ、ズシャーーッ!!」


明らかに、何かが――走って、跳ねて、転びながら、こちらに向かってきていた。


(え、何の音!?)


現れたのは――ホブゴブリン? いや、違う。明らかに“テンション”が違った。


「アシ……ウゴク! ムネ……バクバク! タノシイィ!」


跳ねながら登場したその魔物は、筋肉をビキビキさせながら笑っていた。目はキラキラ。意味もなくスクワットを繰り返し、転がり、笑い、また起き上がる。


(……なんだよ、これ!? 元気すぎるホブゴブリン!?)


その異常なテンション、異様な挙動。


(え、待って……コイツ、“普通”じゃない)


俺は《観察》を発動しようとするが、動きが速すぎて視界がブレる。


「ウヒヒ! オレ、マエ、タタカッタ! マケナイ、カラダ! マエヨリ、ゲンキ!」


(……何言ってんの!? でも、マジで、やばそう)


俺の火が、かすかに揺れた――緊張ではなく、“警戒”のために。


つづく。

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