うろつく鎧のリーゼロッテ
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「……で? あんた、名前は?」
夜の野営地に、焚き火の明かりがぱちぱちと弾けている。
俺と冒険者三人組──と、その間に割って入った、首のない鎧。
ガシャリ、と身じろぎしてから、鎧の中から声が響いた。
「わたし? あたしはね、デュラハンのリーゼロッテ。世に言うユニーク個体ってやつね《うろつく鎧のリーゼロッテ》それがあたしの名前さ。ま、気軽にリズって呼んでくれていいわよ」
なんだろう、このアネゴ感。すごい頼りになる。
というか、そもそも何なんだ、この状況は。 幽霊(俺)と人間の若者三人と首なし鎧が、焚き火囲んで仲良く座ってるってどういう空間?
「な、なんか…すみませんでした…幽霊なんて初めてで…つい…」
「うんうん、そうよね。びっくりしちゃうのも仕方ないわ。でも、見た目だけで即バトルはやめようね!」
リズ姐さん、若者たちに指導中。 いや、姐さん言うけどお前ユニーク個体の魔物だろ!? なんでそんな平然と仲裁してんの!?
とまあ、そんな感じで、俺が燃やされた一件もあって(HPがゴッソリ減った)、少しギクシャクしたが、なんとか和解ムードになった。
「それで……トオル、だったかしら? あんた、何でこんなとこウロついてんの?」
白と金の鎧が、火に照らされて鈍く光るロッテの鎧越しに、彼女の目があるであろう位置から視線を感じる。
「戦士の墓を目指してるんだ。俺が…行かなきゃいけない場所らしいんだ。」
かつて英雄と謳われた「大戦士アーレイス」。 俺がここに導かれた理由があるとしたら…アーレイスの霊廟なんだろうか…
「……ふぅん。いい目してるじゃないの」
リズがどこか嬉しそうに肩を揺らした。
冒険者たちは、「俺たちは明日、ギルドへの報告だけ済ませたら引き返すつもりだよ」と言っていた。
瘴気の影響で危険度が上がっているらしく、深入りは禁物らしい。
それを聞いたリズは「ちょうどいいわね!」とガシャガシャ立ち上がり、手を腰に当てて宣言した。
「このお姉さんが、あんたの旅に付き合ってあげるわ!」
「え?」
「私も最近ヒマでねぇ。この墓に用があって、この辺うろついてたけど、どうにも落ち着かなくてさ……誰かと行くなら、ちょうどいいかなって思って」
……これが後に続く「戦士の墓攻略コンビ」の、始まりであった。
◆
翌朝、俺とリズは冒険者たちに見送ってから、荒野を進む。
「ねえ、トオル。幽霊って寝ないんでしょ?」
「まあ、眠気はないな。疲労もあんまり感じない」
「ずるーい! あたしなんか錆びるから夜露だけでも大変よ!」
軽口を叩きながら、でも確実に目的地へと進んでいる。
遠く、砂塵の中にぽっかりと空いた黒い穴が見えてきた。
──戦士の墓。
乾ききった大地に穿たれた、古の死者たちが眠る場所。
(さて、どんな奴らが待っているやら)
俺は、リズとともにその闇へと足を踏み入れた。
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