荒野にて
ごめんなさい。
仕事で忙しくて、新章の準備に時間がかかりました!
引き続き毎日更新するよう心がけます!
南へ、南へ──太陽が焼き尽くすような乾いた風に吹かれながら、俺は荒野を漂っていた。
見ろよこれ。道なき道をひたすらふよふよ飛んで、気づけば砂の大地が果てしなく続く。
緑なんて一切ない。ただ、時折カラカラと転がる枯れ草だけが、俺の目に涙を誘う…孤独だ…いや、これは砂粒だな。
こう何もないと見る物なんて、自分のステータスくらいのもんだ。
【トオル】
レベル:6
HP:21 / 21
MP:56 / 56
スキル:《祟り》《ダークボール(Lv5)》《透明化》《影移動》《観察(LV3)》
(MPは全快してるし、HPもグリゴロの「癒しのまじない」でフルリカバー。完璧なコンディション……のはず)
そう、自信たっぷりに進んでいた、のだが──
「……あれ、人の街?」
遠く、砂塵の彼方に見えるオアシス。まるで蜃気楼のように、城壁が陽炎に揺れていた。
(あれが、サルタンか……)
オアシス都市サルタン、この荒野唯一の都市で、交易拠点として栄えている。周りが魔物がうろつく荒野のため、冒険者も多く在籍しているらしい。
サルタンが見えたってことは目的地ももうすぐだ。
喉が渇く。気のせいか、俺の火の玉ボディがじりじり乾いてる気がする。
なんだろう……街の活気が懐かしいな…ちょっと見物してみるか…
(人里の空気が恋しいなんて、俺もだいぶ未練たらしいな)
だが。
(いや、ちょっと待て)
以前、道端で塩を撒かれただけで「うっ……」ってなった記憶が蘇る。
もし今あの街に入って、「おやまあ幽霊さん」なんて拝まれたら──
ピシューン☆
(うっかり消滅だわ!!)
……うん、よそう。街はまたの機会にしよう。
◆
そうして街を迂回し、荒野の奥へと進んでいたある日。
戦士の墓と呼ばれるダンジョンの手前。小高い岩陰の陰に潜んでいた俺は、野営している人間たちの姿を見つけた。
冒険者、だろうか。若い男女三人組。
鎧をまとった戦士、ローブ姿の僧侶、そしてスリングとナイフを携えた軽装の少年。
「やっぱり、戦士の墓ってアーレイスの霊廟があるって噂なんだよ」
「うさんくさいってー。古代の英雄? そんなのロマンだろ」
「でも、最近瘴気の反応が強まってるってギルドの情報にもあったし……」
(お、これは有益情報。聞き耳スキル欲しいな……)
と、思ったその時。
「……誰だっ!?」
(げ、バレた!?)
気配を察知され、俺は咄嗟に影へと潜り込む。《影移動》で岩陰を抜けて背後に──
「うわっ、幽霊だ!!」
軽装の少年が叫び、戦士が剣を抜く。
(ま、まずい……戦わないといけないか…)
攻撃を避け、ダークボールで牽制。しかし、確実に殺すには《祟り》を発動してじりじり削るしかない──
でも。
(……普通の若者たちを、俺……本当に、殺すのか?)
俺の中に、一瞬の躊躇が生まれた。その刹那。
「光よ、穢れを祓え──《ホーリー・ライト》ッ!!」
眩い光が俺を包む。
「ぐあああああああッ!?!?!?」
やばい、これ……聖属性!?
痛い、痛い! 俺のMPが! HPも削れてる!?
(あっぶな……このままじゃマジで……)
──その時だった。
ガッシャアアアアアアン!!
突如として、爆音とともに現れたのは──
「ちょおおっとそこまでぇぇええ!! 何してんのあんたたちーッ!!」
ガシャガシャと走り寄ってくる、全身鎧の人影。
……いや、首がない!?
そのまま、冒険者と俺の間にタックルで割って入り──
「よーしよしよし、ストーップ! 魔物にも事情ってもんがあるのよ! あんたたち、幽霊だって悪さしてるわけじゃあないでしょ!?ったく、最近の若いもんはすぐ魔物見ると魔法ぶっぱなすんだから!」
……すごい勢いで喋ってる。
(な、なにこの人……いや、魔物?)
冒険者たちはポカンとしている。
「わ、私は僧侶として亡霊を……!」
「正当でもなんでも、まずは話を聞くの! いきなり聖属性ぶちかますなんて、通り魔と同じよ!!」
騒然となる一同。そして、俺はただただ──
(なんか……すっごく頼もしそうなヤツが来たぞ?)
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