瘴気の錫杖
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空気が変わった。
森に漂っていた清浄な気配が、少しずつ──いや、確実に濁っていく。
(これは……何か来る)
回復したばかりの俺の“魂”に、嫌な感覚がまとわりつく。
まるで、身体の奥がじわじわ腐り始めるような、どす黒い違和感。
その正体は、すぐに現れた。
「ようやく姿を現したな、グリゴロ……森の主よ」
森の奥から、フード付きの男が現れる。
手には長く黒ずんだ錫杖──紫のもやを撒き散らす、瘴気の杖。
その名は──ダントン。
この傭兵団のリーダー。人間たちを統率する存在。
「お前が“癒し”を使う限り、こちらの戦いは一向に進まない。ならば──まず、お前を黙らせる」
ダントンはゆっくりと錫杖を地面に突き立てた。
ズゥゥン……ッ!
鈍い音とともに、紫のもやが地面から広がっていく。
草がしおれ、根が黒く変色する。
(これが……瘴気!?)
霊である俺ですら“気持ち悪い”と感じるこの空気。
フォレストウルフの一体が呻くように低く唸った。
ダントンの後ろには、二人の屈強な男が立っていた。
一人は両手斧を担いだ斧使い。もう一人は鋭い目で周囲を狙う弓使い。
「さあ──落ち葉ども。踊って見せろ。腐る前にな」
まるで汚泥を煮詰めたような声。
その一言が合図のように、敵側が突撃を開始する。
対するこちらも、すでに戦闘態勢に入っていた。
「ワンッ!」
フォレストウルフが左右から走る。
そして──
「ピヨッ!」
「ぷしゅううぅぅ!!」
マタンゴが飛び出し、空中に《しびれガス》を放つ。
俺も負けじと、ふわりと浮かび、前線に躍り出る。
(こっちも“全員”だ。これが──ラストバトル!)
まずは、斧使いが吼えながらウルフに突進する。
スキル名は叫ばないが、斧の軌道が広い。おそらく《ワイドスラッシュ》。
それをフォレストウルフが跳躍で回避し──ガブッ!
「うおッ!? くそ、速ぇな……!」
斧使いの脇腹に食いつくが、硬い装甲で傷は浅い。
その隙に俺が回り込む。
「《祟り》……!」
――――――――――
【MP:56 → 54】
――――――――――
背後にぴたりと貼りつき、呪いを染み込ませる。
フォレストウルフと俺の同時削り。確実に効いている。
だが、そのとき──
「汚せ、腐らせろ……」
ダントンが再び錫杖を突き立てる。
瘴気がぶわりと舞い、地面からグリゴロの根に染み込んでいく。
「……っ」
グリゴロの幹が軋む音が聞こえた。
「やはり、効くな……貴様の命の根、本来この森の恵みを受けているだけの存在。ならば、森が腐れば──お前も沈む」
(やばい! グリゴロが……!)
そして、グリゴロの“癒しのまじない”の気配が──止んだ。
(……今、回復が止まった!?)
まずい。このままだと長期戦は不利になる。
グリゴロが支えていた均衡が、崩れ始めている。
「ダークボール……!」
俺は再び魔弾を放つ。
――――――――――
【スキル発動:《ダークボール》】
【MP:54 → 51】
――――――――――
瘴気の中をゆっくりと漂う黒い球。
その動きは鈍いが、放った先にはダントンがいる。
(届け──ッ!)
──けれど、ダントンはそれを見て、嘲るように笑った。
「遅いよ、魂のクズ」
そして杖を振るう。
その瞬間、瘴気が弾丸を包み込み、無力化する。
(……ダメだ。あの杖、普通じゃない……!)
瘴気で森を汚染し、回復役を止め、
自らは最前線には出ず、毒のような術でじわじわと削ってくる。
これが、人間のリーダー──ダントン。
(でも、負けない……!)
戦力は拮抗している。あとは、どこで“決定打”を打てるか──それだけだ。
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