火の玉と黒い玉
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腐ったダンジョンにも、慣れてきた。
《死霊の寝床》中層。
腐臭が染みつくこの場所で、俺は……今日も、ふよふよと、ゾンビを燃やしていた。
「よーし、次のゾンビいってみよー」
目の前をよろよろ歩いてくる腐ったアンデッド。
ボロボロの腕、片方だけの靴、そして虚ろな目。
……あいかわらず、キモい。
でももう、慣れた。
《観察》——
【名前】ゾンビ
【レベル】4
【HP】58/58
【所持スキル】《腐臭》
「はいはい、定番の腐臭くんね」
距離をとって、即《鬼火》。
じゅっ……
一発、二発、三発。
皮膚が焦げてきたところで——
ボッ!!
火がついた!
ゾンビは火だるまにされて、ドサリと崩れ落ちる。
──《経験値を得ました》──
「はい! 燃やしたー!」
スケルトン、ゾンビ、異常再生ゾンビ、腐臭ゾンビ、腐臭で攻撃しながら回復してくるやっかいなやつ。
もう、何体燃やしたかわからない。
だが、その努力が——ついに実を結ぶ。
◇ ◇ ◇
あるゾンビを倒した瞬間、頭の中に響いた。
──《レベルアップ》──
──《レベル10☆ 到達》──
──《新スキルを獲得しました:ダークボール》──
「き、きたぁ……ッ!!」
念願のレベル10到達。しかも☆マークつき。
ついにこのときがきた!
目の前に、ステータスウィンドウが表示される。
【名前】しつこいトオル(ウィル・オー・ザ・ウィスプ)
【レベル】10☆
【HP】10/10
【MP】30/30
【スキル】
・《鬼火》
・《祟り》
・《観察Lv2》
・《ダークボール》
「MP30……予想より伸びたな。てか、観察もLv2になってたのか」
長いこと使い続けたおかげだろう。
《観察》でHPやスキルまで見えるようになっていたのも納得。
だが、今の注目は——
《ダークボール》。
◇ ◇ ◇
さっそく、試してみる。
「えーと……ダークボール、発動!」
ポウッ……という控えめな音と共に、
俺の前に、小さな漆黒の球体が現れた。
ゆら……ゆら……
「……おっそ!? えっ、これ……動いてるよな?」
とにかく遅い。もう、風船よりも遅い。
「いやいや、なにこの……ナメてんのかってくらいの弾速……」
でも、魔力の気配はある。
明らかに、ただの“見た目だけ黒い火の玉”じゃない。
俺のMPを——5も使ってるし。
「今までのスキルは、消費MPが少なかったから……正直、MP残量なんて気にしたことなかったけど……」
これは違う。
《鬼火》や《祟り》とは、スケールが違う。
MPがガッツリ削られる感覚。これが、本当の“魔法”か。
でも——それだけじゃ、終わらない。
俺の“意思”に応じて、ダークボールの向きが少しだけ変わった。
遅いけど、曲げられる。浮かせられる。
そして——
「……止まった?」
最小まで速度を落とすと、ほぼその場に漂い続ける。
「これ、置き弾みたいなことできる……?」
ふと、ゴーストが《影移動》で現れたあの瞬間を思い出す。
——もし、ワープ先にこの弾を置いておけたら?
「……よし。これは、罠だ。新しい戦い方ができる!」
◇ ◇ ◇
俺はついに、レベル10に到達した。
《鬼火》と《祟り》に頼りきってた火の玉に、
新たな手札が加わった。
まだ弱い。
でも、道は開けた。
「次のステージに進もう。いよいよ……進化、だな」
ふよふよと浮かぶ俺の背後に、黒く静かな魔弾——ダークボールが、ノロノロとついてきていた。
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