火の玉とカースト
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ゾンビを倒した。
それだけで、ほんの少しだけ、強くなった気がしていた。
火の玉でも、工夫すればなんとかなる。
弱くても、手を尽くせば通じることもある。
「……俺、案外やれるんじゃね?」
そう思い始めた矢先に、それは現れた。
——ゴーストだ。
薄暗い通路の先に、ふわふわと浮かぶ火の玉。
その両脇に、ゆらりと浮いている“手”のような影がある。
まるで、俺のなれの果て、いや、進化形のような姿——
「……なんだ、あれ」
そいつは俺よりもひとまわり大きく、漂う雰囲気も重い。
俺が“火の玉”なら、あれは“炎の精霊”って感じだ。
慎重に距離を保ちつつ、《観察》を発動する。
⸻
【名前】ゴースト
【レベル】6
【HP】24/24
【所持スキル】《影移動》
⸻
「影移動って……やっぱりワープ系だよな……」
そう思った瞬間、やつはふっと姿をかき消し、
気がつけば俺の背後にすうっと現れていた。
「うおっ!? こっちくる!? やばっ——」
……と思ったら、すれ違いざまにまったくの無視。
「……スルー!?」
◇ ◇ ◇
まさかの、完全無視。
まったく警戒されていない。攻撃もされない。
「いや……いやいや、俺、存在感ゼロじゃん……」
これはもうあれか。
幽霊界のスクールカースト最下位ってことか。
ちょっとでも見返してやろうと、《鬼火》をぶつけてみる。
……が。
「すり抜けた!? 通じねぇのかよ!!」
《祟り》も当然、まったく効果なし。
「くっそ……これが格の違いってやつかよ……!」
◇ ◇ ◇
ゴーストが去ったあとも、俺はしばらくその場に漂いながら考える。
「……でもさ」
ふと思い出したのは、鬼の巣で見かけたゴブリンたち。
あのとき、ホブゴブリンと一緒にいた奴らは、普通のゴブリンだった。
——そう、共存していた。
「たぶん、あれって“進化前”と“進化後”の関係だったんじゃないかな」
つまり、ウィル・オー・ザ・ウィスプとゴーストも、
ゴブリンとホブゴブリンみたいに、下位と上位の関係なのかもしれない。
「……もしかしたら、俺も……成長していったら、ゴーストになれるのかな」
希望的観測だ。確信なんてない。
けど、そう思えた瞬間、少しだけ前向きになれた気がした。
「まずは、レベル10を目指そう。話はそれからだ……!」
◇ ◇ ◇
“見向きもされなかった”ことは、さすがにショックだった。
けど、“あんな風になれるかもしれない”という目標ができた。
いつか、振り向かせてやる。
このしつこさ、ナメんなよ……!
つづく
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