ザ・フィアー・オブ・ウォーキング…
ブックマーク、レビューとかしていただけるとやる気に繋がります!本当にお願いします!やる気にね、繋がるんですよ!やる気はやっぱね、出たほうがいいですからね!ぜひね!お願いしますね!!
《死霊の寝床》中層——そこは、上層とは違った意味で、空気が重かった。
天井は低く、地面はぬかるみ、腐臭が漂う。
骨の山が途切れ、今度は肉付きの悪い腕や足が転がっている。
ここにいるのは、スケルトンではなく——
「うっわ、出た……ゾンビ……」
通路の先でよろよろと歩いていたのは、
腐った皮膚に覆われた人間型の魔物。
骨がむき出しの腕から、緑色の何かが滴っている。
目は空洞。
口は常に半開き。
脳みそは……たぶん飾り。
だが、油断してはいけない。
「たしか、観察スキルで——っと」
──《観察》発動──
【名前】ゾンビ
【レベル】3
【HP】48/48
【所持スキル】《腐蝕の唾液》
「HPたっか!? スケルトンの倍以上あるじゃん!」
しかもスキルがもう気持ち悪い。《腐蝕の唾液》ってなに?
……いや、想像したくない。
ゾンビはこちらに気づいたのか、フラフラと腕を広げて近づいてくる。
だが、スピードは遅い。スケルトンと同じくらいだ。
「ふふ、トオル式ヒットアンドアウェイ、行かせてもらおうか」
そう言って、距離を取りながら《祟り》を発動——
……しかし反応はなし。
「えーっと、そうだった。ゾンビ、アンデッドだった」
つまり、《祟り》は効かない。
ならばと《鬼火》を一発、ポッと灯してぶつける。
じゅわっ……
「効いてる……のか?」
ゾンビの腕がじりじりと焦げる。
だが、すぐにその焦げた部分が、プルンと盛り上がって再生した。
「おいおいおいおいおいおい!? 再生すんのかよ、そこ!?」
焦げて回復、焦げて回復。
完全に鬼火のダメージ<再生力という残念な図式が完成している。
「ダメだこれ、火力負けしてる!」
◇ ◇ ◇
……しかし、状況は偶然に転がる。
2発目の《鬼火》をぶつけたとき——
ゾンビの肩口に赤く火がつき、ボンッと小さく炎がはぜた。
火がついた!?
いや、これは本物の“炎上”だ!!
ゾンビは再生を試みるが、火が肉を焼く速度の方が早い。
しかも、ゾンビが自分で火を消す方法は——ない。
「……おおお!? ……おおおお!!?」
目の前で、ゾンビがゆっくりと、しっかり燃えていく。
10秒
20秒
30秒
そして——
ボトリと音を立てて、ゾンビが崩れ落ちた。
──《経験値を得ました》──
「……っしゃぁッ!!」
◇ ◇ ◇
「つまり、鬼火って“火をつける”ことができるんだ……!」
これまではじわじわチリチリ焼くだけの地味技だったが、
相手が“よく燃える素材”なら、一定確率で本格的に炎上させることができる。
ゾンビの再生力を超えるには、炎上させるしかない。
そこに気づけたのは、大きな前進だった。
「……ま、うっかり燃えないやつに当てるとただの気休めなんだけどね」
でも、俺は知ってしまった。
《鬼火》の、ほんのちょっとの“ポテンシャル”。
「この調子で、中層でもなんとか……なる! ……かもしれない……!」
やや弱気な確信を胸に、俺はふわふわと進んでいった。
つづく
ブックマーク、レビューとかしていただけるとやる気に繋がります!本当にお願いします!やる気にね、繋がるんですよ!やる気はやっぱね、出たほうがいいですからね!ぜひね!お願いしますね!!