狩人の水面
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対岸の岩の上に、男は座っていた。
弓矢を膝に置いて、こちらを静かに見ている。月明かりの中で、その顔はよく見えなかった。ただ、近寄りがたい雰囲気だけが、湖を越えてこちらまで漂ってきた。
俺たちは湖畔を回り込んで、対岸に向かった。
近づくにつれて、顔がはっきりしてきた。
整った顔立ちだった。アポーニアとよく似た目鼻立ちをしているが、表情が真逆だった。笑みの欠片もない。ただ静かに、こちらを見ている。
「……アルタスか」
俺が声をかけた。
男は答えなかった。
「試練を受けに来た。アポーニアに、お前を連れてこいと言われた」
しばらく沈黙があった。
それからアルタスが、ゆっくりと口を開いた。
「アポーニアに会わせたければ、あいつを連れてこい」
低くて静かな声だった。
俺は少し黙った。
「……アポーニアは、お前を連れてこいと言っていた」
「だから、あいつを連れてこい」
「それじゃ堂々巡りだ」
「そうだな」
悪びれる様子が一切なかった。
リーゼロッテが小さくため息をついた。俺も同じ気持ちだった。
(どうする……)
俺は天球を見上げた。
月のシンボルがゆっくりと動いている。レールの上を、静かに弧を描いて。
(待てよ——)
「リズ」
「なに」
「昼はアポーニアがいて、夜はアルタスがいる。切り替わるのは、あのシンボルのせいだよな」
「……そうね」
「つまり、太陽と月が同時に出ていれば、二人が同時にいられるんじゃないか」
リーゼロッテが天球を見上げた。
「……月食みたいな状態にする、ってこと?」
「ああ」
「どうやって」
俺はレールを目で追った。シンボルが動いている。あのシンボルを——止めるか、動かすか。
「とりあえず、沈む前に止めてみるか」
月のシンボルが、地平線に差し掛かり始めていた。
「やってみる」
リーゼロッテが湖畔の縁まで走った。シンボルが地平線に触れる。リーゼロッテが手を伸ばして、シンボルを掴もうとした。
指が触れた。
しかし——止まらなかった。
ゴゴゴ、という音とともに、シンボルがゆっくりと地面の中に沈んでいく。リーゼロッテの手をすり抜けて、そのまま——消えた。
辺りが、また暗くなった。
「……ダメか」
「ダメだったね」
リーゼロッテが手を見た。
その時、ニッグが湖面を指差した。
見ると——水の中で、何かが光っていた。
ゆっくりと動いている。月のシンボルだった。地面に沈んだシンボルが、湖の底を動いていた。
「……水の中か」
「取れる?」
「やってみるしかないな」
俺は湖面を見た。
「潜るぞ」
───────────────────
三人で湖に入った。
リーゼロッテがずぶずぶと沈んでいく。重い鎧のせいで、あっという間に底に向かって落ちていく。ニッグは——ぷかぷかと浮いていた。沈まない。手足をばたつかせるでもなく、ただ水面近くをゆらゆらと漂っている。
(……まるで溺死体だ)
俺はそんな二人を横目に、水の中をすうっと進んだ。霊体だから、水の抵抗がない。泳ぐ必要もない。ただ進むだけだ。
水底が見えてきた。
リーゼロッテが鎧を引きずりながら、底を歩いていた。月のシンボルを目で追いながら、じりじりと近づいていく。
シンボルが止まった。
レールの終点だった。水底に、シンボルがはまり込む溝のようなものがある。
リーゼロッテが両手でシンボルを掴んだ。
引っ張る。
動かない。
もう一度、力を込める。
ガゴッ。
重い音が、水中に響いた。
シンボルが、溝から外れた。
その瞬間だった。
大きな影が、二人の上を覆った。
(——っ)
見上げると、巨大な剣が水面を割って落ちてきた。
「リズ!!」
叫ぶより早く、リーゼロッテが横に転がった。剣が水底に突き刺さる。轟音が水中に広がる。水流が爆発するように荒れた。
俺は水をすり抜けて、一気に水面へ上がった。
湖畔に上がって、振り返る。
スカルナイトがいた。
骸骨の馬の上で、巨体をこちらに向けていた。さっきまでの微動だにしない石像のような佇まいは、もうなかった。
眼窩の奥で、赤い光が燃えていた。
敵意だった。
水面がざわめいた。リーゼロッテが水から上がってくる。
鎧の隙間から水が流れ出す。
続いてニッグが、ぷかぷかと浮いたまま岸に辿り着いた。
スカルナイトが、剣を構えた。
「……来るぞ」
──つづく──
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