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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
詩人の湖畔・狩人の水面編

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狩人の水面

ブックマーク、レビューとかしていただけるとやる気に繋がります!本当にお願いします!やる気にね、繋がるんですよ!やる気はやっぱね、出たほうがいいですからね!ぜひね!お願いしますね!!


対岸の岩の上に、男は座っていた。

弓矢を膝に置いて、こちらを静かに見ている。月明かりの中で、その顔はよく見えなかった。ただ、近寄りがたい雰囲気だけが、湖を越えてこちらまで漂ってきた。

俺たちは湖畔を回り込んで、対岸に向かった。

近づくにつれて、顔がはっきりしてきた。

整った顔立ちだった。アポーニアとよく似た目鼻立ちをしているが、表情が真逆だった。笑みの欠片もない。ただ静かに、こちらを見ている。

「……アルタスか」

俺が声をかけた。

男は答えなかった。

「試練を受けに来た。アポーニアに、お前を連れてこいと言われた」

しばらく沈黙があった。

それからアルタスが、ゆっくりと口を開いた。

「アポーニアに会わせたければ、あいつを連れてこい」

低くて静かな声だった。

俺は少し黙った。

「……アポーニアは、お前を連れてこいと言っていた」

「だから、あいつを連れてこい」

「それじゃ堂々巡りだ」

「そうだな」

悪びれる様子が一切なかった。

リーゼロッテが小さくため息をついた。俺も同じ気持ちだった。

(どうする……)

俺は天球を見上げた。

月のシンボルがゆっくりと動いている。レールの上を、静かに弧を描いて。

(待てよ——)

「リズ」

「なに」

「昼はアポーニアがいて、夜はアルタスがいる。切り替わるのは、あのシンボルのせいだよな」

「……そうね」

「つまり、太陽と月が同時に出ていれば、二人が同時にいられるんじゃないか」

リーゼロッテが天球を見上げた。

「……月食みたいな状態にする、ってこと?」

「ああ」

「どうやって」

俺はレールを目で追った。シンボルが動いている。あのシンボルを——止めるか、動かすか。

「とりあえず、沈む前に止めてみるか」

月のシンボルが、地平線に差し掛かり始めていた。

「やってみる」

リーゼロッテが湖畔の縁まで走った。シンボルが地平線に触れる。リーゼロッテが手を伸ばして、シンボルを掴もうとした。

指が触れた。

しかし——止まらなかった。

ゴゴゴ、という音とともに、シンボルがゆっくりと地面の中に沈んでいく。リーゼロッテの手をすり抜けて、そのまま——消えた。

辺りが、また暗くなった。

「……ダメか」

「ダメだったね」

リーゼロッテが手を見た。

その時、ニッグが湖面を指差した。

見ると——水の中で、何かが光っていた。

ゆっくりと動いている。月のシンボルだった。地面に沈んだシンボルが、湖の底を動いていた。

「……水の中か」

「取れる?」

「やってみるしかないな」

俺は湖面を見た。

「潜るぞ」

───────────────────

三人で湖に入った。

リーゼロッテがずぶずぶと沈んでいく。重い鎧のせいで、あっという間に底に向かって落ちていく。ニッグは——ぷかぷかと浮いていた。沈まない。手足をばたつかせるでもなく、ただ水面近くをゆらゆらと漂っている。

(……まるで溺死体だ)

俺はそんな二人を横目に、水の中をすうっと進んだ。霊体だから、水の抵抗がない。泳ぐ必要もない。ただ進むだけだ。

水底が見えてきた。

リーゼロッテが鎧を引きずりながら、底を歩いていた。月のシンボルを目で追いながら、じりじりと近づいていく。

シンボルが止まった。

レールの終点だった。水底に、シンボルがはまり込む溝のようなものがある。

リーゼロッテが両手でシンボルを掴んだ。

引っ張る。

動かない。

もう一度、力を込める。

ガゴッ。

重い音が、水中に響いた。

シンボルが、溝から外れた。

その瞬間だった。

大きな影が、二人の上を覆った。

(——っ)

見上げると、巨大な剣が水面を割って落ちてきた。

「リズ!!」

叫ぶより早く、リーゼロッテが横に転がった。剣が水底に突き刺さる。轟音が水中に広がる。水流が爆発するように荒れた。

俺は水をすり抜けて、一気に水面へ上がった。

湖畔に上がって、振り返る。

スカルナイトがいた。

骸骨の馬の上で、巨体をこちらに向けていた。さっきまでの微動だにしない石像のような佇まいは、もうなかった。

眼窩の奥で、赤い光が燃えていた。

敵意だった。

水面がざわめいた。リーゼロッテが水から上がってくる。

鎧の隙間から水が流れ出す。

続いてニッグが、ぷかぷかと浮いたまま岸に辿り着いた。

スカルナイトが、剣を構えた。

「……来るぞ」

──つづく──

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