4層
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螺旋階段の底に、たどり着いた。
最後の一段を踏んだ瞬間、視界が開けた。
広い。
天井が高く、壁が遠い。3層の吹き抜けとはまた違う広さだった。石造りの空間の大半を、水が満たしていた。
水溜まり、と呼ぶには大きすぎる。湖、と呼ぶには天井が低い。その中間のような、静かで黒い水面が、どこまでも広がっていた。
「……でかいな」
「そうだね」
リーゼロッテが前を向いたまま答えた。
水面の真ん中に、細い小道が一本通っていた。両側は水だ。幅は三人が横に並ぶとぎりぎりという程度。その先に、小島がある。小島の中央に、下へと続く階段が見えた。
「あの階段が5層への道か」
「たぶんね」
「行くか」
小道に踏み出した。
水面は静かだった。波一つない。しかし——
(何かいる)
水面の下、黒い水の中に、何かが動いている気配がした。
鑑定を走らせる。
しかし水の中まではうまく届かない。
「リズ、水の中に何かいる」
「わかってる。気をつけて」
三人で、慎重に小道を進んだ。
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半分ほど進んだところだった。
水面が、揺れた。
さざ波が立つ。それが広がっていく。
次の瞬間——銀色の何かが、水面を割った。
小魚だった。
手のひらほどの大きさ。銀色の鱗が、薄暗い光の中できらきらと光っている。ヒレが——おかしかった。薄くて鋭い、刃のような形をしていた。
一匹じゃない。
二匹、三匹、十匹——水面のあちこちから銀色の魚が跳ね上がり、こちらに向かってくる。
「っ、飛んでくる!」
「散るな、小道から落ちる!」
リーゼロッテが怒鳴った。
三人が身を低くした。刃のヒレを持つ小魚が頭上を飛び越えていく。かすりでもしたら切れる。
「数が多い!」
しかし、魚たちは通り過ぎなかった。
旋回した。
空中で向きを変えて、水面に戻らず——集まり始めた。
「……なんだ?」
魚が、重なっていく。一匹が別の一匹に寄り添い、また別の一匹が加わり、みるみるうちに塊になっていく。
形が、変わっていく。
頭ができる。胴ができる。尾ができる。
「……でかい」
気づいたら、小道の前方に巨大な魚が立ちはだかっていた。
銀色の鱗が、無数の小魚で構成されている。一匹一匹がまだ動いていて、塊全体がうねるように蠢いている。口にあたる部分には、刃のヒレを持つ小魚がミキサーのように渦を巻いていた。
鑑定を走らせる。
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【ウォーフィッシュ(群体)】
Lv:???
HP:???
MP:???
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(レベルが読めない……)
「でかいな」
「そうだね」
リーゼロッテが静かに言った。
「口に近づいたら終わりだね」
「ああ」
ウォーフィッシュが動いた。巨体が小道に向かって突進してくる。
「退け!」
三人が左右に分かれた。ウォーフィッシュの口が小道を掠める。刃のヒレが石を削る音がした。
「攻撃が通じるか試す!」
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【スキル発動:《ダークボール(Lv7)》】
【MP:78 → 75】
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胴体に叩き込んだ。数匹が弾け飛んだ。しかし——穴が開いた部分に、水中から新しい魚が補充されてくる。傷口が塞がっていく。
(倒しても意味がない。補充される)
「キリがない!」
「わかってる!」
リーゼロッテがウォーフィッシュの側面に拳を叩き込んだ。また数匹が弾け飛ぶ。また塞がる。
(どこが弱点だ——)
俺はウォーフィッシュ全体を観察した。
銀色、銀色、銀色——
その中に、二箇所だけ、色が違う部分があった。
黒い。
目の位置に近い。二つ、左右に。
鑑定を走らせた。
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【フィッシュコマンダー】
Lv:23
HP:???
MP:???
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(あれが核だ)
「リズ!」
「なに!」
「黒いやつが二匹いる。目の位置だ。試しにそこを狙ってみろ!」
リーゼロッテが右目側のフィッシュコマンダーに向かって拳を繰り出した。
その瞬間——ウォーフィッシュの動きが変わった。
周りの銀色の魚が、フィッシュコマンダーを包み込むように群がった。盾になっている。
「やっぱりそこだ!」
「でも守られてる!」
「わかった——作戦を変える」
俺は二匹のフィッシュコマンダーの位置を頭に叩き込んだ。右目と左目。
「リズ、ニッグ、聞いてくれ」
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作戦は単純だった。
リーゼロッテとニッグが右目側のフィッシュコマンダーに向かって全力で攻撃を仕掛ける。ウォーフィッシュの意識を右側に引きつける。
その間に、俺は透明化で姿を消して左目側に回り込む。
リーゼロッテが右側のフィッシュコマンダーを捕まえた瞬間——透明化を解除してダークボールを叩き込む。
「タイミングは?」
「私が捕まえたら叫ぶ。その声を合図にして」
「わかった」
ニッグが長剣の柄に手をかけた。
「行くぞ」
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【スキル発動:《透明化》】
【MP:75 → 60】
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姿を消した。
リーゼロッテとニッグが右目側に向かって動き出す。ウォーフィッシュが反応した。群れの大半が右側に集まっていく。
俺は小道の端を、気配を殺して左目側に回り込んだ。
フィッシュコマンダーが見えた。黒い体が、群れの中でゆっくりと動いている。周りの銀色の魚が薄い。右側に意識が向いている。
右側では、リーゼロッテとニッグが激しく動き回っていた。ニッグの剣が銀色の魚を斬り散らす。リーゼロッテが腕を伸ばした。
「今だ!」
リーゼロッテの声が響いた。
右側のフィッシュコマンダーを、両手で掴んでいた。
ウォーフィッシュが波打った。混乱したように、全体がぐらりと揺れる。
左目側のフィッシュコマンダーが、右側に意識を向けた。
その目の前で——俺は透明化を解除した。
フィッシュコマンダーと、目が合った。
「おっと、こっちがお留守だぜ」
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【スキル発動:《ダークボール(Lv7)》】
【MP:60 → 57】
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至近距離から叩き込んだ。
フィッシュコマンダーが、声もなく弾け飛んだ。
右側では、リーゼロッテが掴んだまま離さなかった。そのままフィッシュコマンダーを小道に叩きつけた。
二匹、同時。
静寂が来た。
ウォーフィッシュが——崩れた。
巨大な魚の形が、ばらばらになっていく。一匹一匹の小魚に戻って、水面に落ちていく。ぽちゃん、ぽちゃん、という間の抜けた音が続いた。
やがて、水面が静かになった。
銀色の魚は、一匹もいなかった。
「……終わったか」
俺は息をついた。
「終わったね」
リーゼロッテが手を見た。フィッシュコマンダーを掴んだ手に、細かい切り傷が入っていた。刃のヒレだ。
「大丈夫か」
「これくらいは平気」
ニッグが剣を鞘に収めた。腕は——落ちていなかった。
小道の先、小島の中央に、下へと続く階段が静かに待っていた。
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【執念深きトオル】
Lv:20
HP:52/60
MP:57/120
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「行くか」
「ああ」
三人で、小島へと歩き出した。
──つづく──
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