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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
詩人の湖畔・狩人の水面編

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4層

ブックマーク、レビューとかしていただけるとやる気に繋がります!本当にお願いします!やる気にね、繋がるんですよ!やる気はやっぱね、出たほうがいいですからね!ぜひね!お願いしますね!!


螺旋階段の底に、たどり着いた。

最後の一段を踏んだ瞬間、視界が開けた。

広い。

天井が高く、壁が遠い。3層の吹き抜けとはまた違う広さだった。石造りの空間の大半を、水が満たしていた。

水溜まり、と呼ぶには大きすぎる。湖、と呼ぶには天井が低い。その中間のような、静かで黒い水面が、どこまでも広がっていた。

「……でかいな」

「そうだね」

リーゼロッテが前を向いたまま答えた。

水面の真ん中に、細い小道が一本通っていた。両側は水だ。幅は三人が横に並ぶとぎりぎりという程度。その先に、小島がある。小島の中央に、下へと続く階段が見えた。

「あの階段が5層への道か」

「たぶんね」

「行くか」

小道に踏み出した。

水面は静かだった。波一つない。しかし——

(何かいる)

水面の下、黒い水の中に、何かが動いている気配がした。

鑑定を走らせる。

しかし水の中まではうまく届かない。

「リズ、水の中に何かいる」

「わかってる。気をつけて」

三人で、慎重に小道を進んだ。

───────────────────

半分ほど進んだところだった。

水面が、揺れた。

さざ波が立つ。それが広がっていく。

次の瞬間——銀色の何かが、水面を割った。

小魚だった。

手のひらほどの大きさ。銀色の鱗が、薄暗い光の中できらきらと光っている。ヒレが——おかしかった。薄くて鋭い、刃のような形をしていた。

一匹じゃない。

二匹、三匹、十匹——水面のあちこちから銀色の魚が跳ね上がり、こちらに向かってくる。

「っ、飛んでくる!」

「散るな、小道から落ちる!」

リーゼロッテが怒鳴った。

三人が身を低くした。刃のヒレを持つ小魚が頭上を飛び越えていく。かすりでもしたら切れる。

「数が多い!」

しかし、魚たちは通り過ぎなかった。

旋回した。

空中で向きを変えて、水面に戻らず——集まり始めた。

「……なんだ?」

魚が、重なっていく。一匹が別の一匹に寄り添い、また別の一匹が加わり、みるみるうちに塊になっていく。

形が、変わっていく。

頭ができる。胴ができる。尾ができる。

「……でかい」

気づいたら、小道の前方に巨大な魚が立ちはだかっていた。

銀色の鱗が、無数の小魚で構成されている。一匹一匹がまだ動いていて、塊全体がうねるように蠢いている。口にあたる部分には、刃のヒレを持つ小魚がミキサーのように渦を巻いていた。

鑑定を走らせる。

───────────────────

【ウォーフィッシュ(群体)】

Lv:???

HP:???

MP:???

───────────────────

(レベルが読めない……)

「でかいな」

「そうだね」

リーゼロッテが静かに言った。

「口に近づいたら終わりだね」

「ああ」

ウォーフィッシュが動いた。巨体が小道に向かって突進してくる。

「退け!」

三人が左右に分かれた。ウォーフィッシュの口が小道を掠める。刃のヒレが石を削る音がした。

「攻撃が通じるか試す!」

───────────────────

【スキル発動:《ダークボール(Lv7)》】

【MP:78 → 75】

───────────────────

胴体に叩き込んだ。数匹が弾け飛んだ。しかし——穴が開いた部分に、水中から新しい魚が補充されてくる。傷口が塞がっていく。

(倒しても意味がない。補充される)

「キリがない!」

「わかってる!」

リーゼロッテがウォーフィッシュの側面に拳を叩き込んだ。また数匹が弾け飛ぶ。また塞がる。

(どこが弱点だ——)

俺はウォーフィッシュ全体を観察した。

銀色、銀色、銀色——

その中に、二箇所だけ、色が違う部分があった。

黒い。

目の位置に近い。二つ、左右に。

鑑定を走らせた。

───────────────────

【フィッシュコマンダー】

Lv:23

HP:???

MP:???

───────────────────

(あれが核だ)

「リズ!」

「なに!」

「黒いやつが二匹いる。目の位置だ。試しにそこを狙ってみろ!」

リーゼロッテが右目側のフィッシュコマンダーに向かって拳を繰り出した。

その瞬間——ウォーフィッシュの動きが変わった。

周りの銀色の魚が、フィッシュコマンダーを包み込むように群がった。盾になっている。

「やっぱりそこだ!」

「でも守られてる!」

「わかった——作戦を変える」

俺は二匹のフィッシュコマンダーの位置を頭に叩き込んだ。右目と左目。

「リズ、ニッグ、聞いてくれ」

───────────────────

作戦は単純だった。

リーゼロッテとニッグが右目側のフィッシュコマンダーに向かって全力で攻撃を仕掛ける。ウォーフィッシュの意識を右側に引きつける。

その間に、俺は透明化で姿を消して左目側に回り込む。

リーゼロッテが右側のフィッシュコマンダーを捕まえた瞬間——透明化を解除してダークボールを叩き込む。

「タイミングは?」

「私が捕まえたら叫ぶ。その声を合図にして」

「わかった」

ニッグが長剣の柄に手をかけた。

「行くぞ」

───────────────────

【スキル発動:《透明化》】

【MP:75 → 60】

───────────────────

姿を消した。

リーゼロッテとニッグが右目側に向かって動き出す。ウォーフィッシュが反応した。群れの大半が右側に集まっていく。

俺は小道の端を、気配を殺して左目側に回り込んだ。

フィッシュコマンダーが見えた。黒い体が、群れの中でゆっくりと動いている。周りの銀色の魚が薄い。右側に意識が向いている。

右側では、リーゼロッテとニッグが激しく動き回っていた。ニッグの剣が銀色の魚を斬り散らす。リーゼロッテが腕を伸ばした。

「今だ!」

リーゼロッテの声が響いた。

右側のフィッシュコマンダーを、両手で掴んでいた。

ウォーフィッシュが波打った。混乱したように、全体がぐらりと揺れる。

左目側のフィッシュコマンダーが、右側に意識を向けた。

その目の前で——俺は透明化を解除した。

フィッシュコマンダーと、目が合った。

「おっと、こっちがお留守だぜ」

───────────────────

【スキル発動:《ダークボール(Lv7)》】

【MP:60 → 57】

───────────────────

至近距離から叩き込んだ。

フィッシュコマンダーが、声もなく弾け飛んだ。

右側では、リーゼロッテが掴んだまま離さなかった。そのままフィッシュコマンダーを小道に叩きつけた。

二匹、同時。

静寂が来た。

ウォーフィッシュが——崩れた。

巨大な魚の形が、ばらばらになっていく。一匹一匹の小魚に戻って、水面に落ちていく。ぽちゃん、ぽちゃん、という間の抜けた音が続いた。

やがて、水面が静かになった。

銀色の魚は、一匹もいなかった。

「……終わったか」

俺は息をついた。

「終わったね」

リーゼロッテが手を見た。フィッシュコマンダーを掴んだ手に、細かい切り傷が入っていた。刃のヒレだ。

「大丈夫か」

「これくらいは平気」

ニッグが剣を鞘に収めた。腕は——落ちていなかった。

小道の先、小島の中央に、下へと続く階段が静かに待っていた。

───────────────────

【執念深きトオル】

Lv:20

HP:52/60

MP:57/120

───────────────────

「行くか」

「ああ」

三人で、小島へと歩き出した。

──つづく──

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