七話
「みなのものかこめかこめ。」
「にがすな。」
「えんしょうさまのかたき。」
どうしよう。本当にどうしよう。なんか人間の皆やる気だ。ていうか敵とか知ってんのね。まずいな。予定では今頃僕は神様として迎い入れて貰えた筈だったのに。知らぬ間に敵対していた。えんしょうと闘った後の今だから分かる。この人間達が僕を傷つける事などできやしない。とりあえず対話から始めようか。
「人間達。僕は君達を傷つける事は無い。だからまずは落ち着こう。」
そう言ったが反応無し。そこまでしてえんしょうにこだわる理由が分からない。僕で良くない。
「えんしょうさまがいないとわしらはいきていけん。」
「おまえじゃえんしょうさまのかわりにはならない。」
「えんしょうさまのおかげでわしらはいきてこれたのだ。」
いまいちよく分からない。えんしょうがいる事で生きていられるとはどういう事か。理由を聞いてみよう。
「えんしょうは君達に何をしてくれたのかな。教えてくれたら、僕も同じ事が出来るかもしれない。」
そう言ってみると僕が最初にあった女性が、
「えんしょうさまはわたしたちにしょくもつをめぐんでくだされた。それでわたしたちはいきてきた。」
おっと雲行きが怪しくなってまいりました。こぉれはまずい。僕は朝と夜の神様で食物など出せないぞ。どうしよう。えんしょう殺しちゃった。もう食物出てこないじゃん。それは皆僕を責めるよね。僕の生命の権能で何とかならないか。
いや、そもそも人間達に信仰される必要あるのか?。チュートリアルでは認知されると、神様としての格が上がっていくよと書いてあったけど。神様やそれに近しい存在を殺す事でも上がっていくと書いてあった。僕はそれを達成した。神様としての格が上がっている以上、信仰される必要無いな。えんしょうの敵として認知されてもいるし。
よし。切り替えて行こう。信仰されるのは辞めた。それよりもまだ余り使えて無い権能を使って解釈を広げよう。光と闇はまだまだ解釈を広げられるけど、生命と死、天界と冥界を統べる、不壊は余り解釈を広げられて無い権能だ。それをどうにかして広げよう。
ポス
僕が考え事をしていると、人間の一人が僕を殴りつけてきた。痛みなどは感じない。それどころか僕を殴りつけてきた人間の方が、痛みなどを感じていた。僕はこれからこの人間達をどうしようか。信仰される必要が無くなった以上、友好的に接する必要は無い。かといって殺す必要も無い。まぁ放置でいいか。害はないし。
「人間達、君達は好き勝手に生きて行きなさい。僕は君達には関与しないから。」
そう言って僕は考え事に没頭した。それから人間達は僕に攻撃してきたが、全て無視した。そしたらだんだんと攻撃が通用していない事を悟り、一人また一人と攻撃を止めていった。
まずは生命と死からだ。生命と死はそのまんまの力だろうけど、どこまで出来るのか。僕は試しに大地に生命の力を流し込んだ。だが何も起こらなかった。この大地はどうなってんの?。死んでいるのか。生命の権能の力を流し込むだけでは何も起きない。解釈を広げよう。生命は何かを生み出す事も出来るはずだと思う。だから草や木などを生み出すイメージをして生命の力を大地に流し込む。
すると大地に草や木などが生えてきた。まだ背丈は低いが確かに生えてきた。よし、このままどんどん流し込もう。流し込みながら食物などもイメージする。そしたら食物なども生えてきた。僕は一旦そこで権能の力を流し込むのを止めて、食物を食べてみる。美味しく無い。食べて食べれない事は無いが、食べたいとは思わない。もっとイメージを明確にそして生命の力を強く。
次に出来た食物を食べてみると少し美味しくなった。最初に出来た食物と食べ比べてみると差は歴然だった。僕はこの結果に一応満足して死の権能の力を使おうとしたが、ここで予想外の出来事が起きた。なんと大地が消滅していっている。何事か分からない。何故急にこんな事に。大地に生命の力を流し込んだからだろうか?。僕は大地をよく見てみると、それは僕とえんしょうが闘っていた方から消滅していっている。
僕はそれを見て原因を理解した。【天破滅】だと。あれのとえんしょうの熱線が、ぶつかって飛び散ったものが大地に降り注ぎ、大地を少しずつ消滅させていったのだろう。それがここまで来たのだ。だがどうやってあれを止めるか。消滅していっている大地に触れると僕も消滅してしまうかもしれない。【夜帳】でどうにか出来るか。
僕は【夜帳】を発動して大地を消滅させていった。だが、それでは追いつかないし大地がもっと消滅してしまう。僕はそこで死の権能の力で消滅を止める事ができないか考えた。消滅を死なせる事ができれば【天破滅】により消滅していっている大地を救えるかもしれない。
僕は死の権能の解釈を広げ消滅そのものを死なせる事に集中する。だが上手くいかない。権能のレベルが低いのだろう。生命の権能程に使っていなかったので、どうにもならないのだろう。僕は諦めずに死の権能を使う。そうやってしばらく集中してやっていると、死の権能が効いてきたのか消滅が徐々に緩やかになっていった。僕はここぞとばかりに死の権能に集中する。すると消滅が完全に死に絶えた。成功した。僕は一息つく。これで生命と死の権能のレベルが上がって解釈も広がった。まぁレベルが上がっているかどうかは分からないけど、前よりも出来る事が増えたので上がっているだろう。
僕はここら一帯を生命溢れる所にしようと生命の権能を使い環境整備し始める。僕が住みやすい用に。僕は先程からずっと人間達の事を忘れていたが、人間達はずっと僕を見ていた。