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神様遊戯世界  作者: 吉壱
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六話

 えんしょうは何が起こったかまったく理解出来無い。今の今まで攻撃していた筈の神が横から現れ殴りつけてきた。いつブレスから逃れた。ブレスを吐いていたが見失う事は無かった筈だ。受けた攻撃は先程の雷とは違い、ダメージが桁違いだ。しかも雷が体内でより強力になりながら暴れ廻る。雷は消えずいつ終わるとも知れない痛みとダメージを負う。さっきまで弱くちぐはぐな神が、ここに来て我を屠る牙を用意してきた。それに死の感覚が先程よりも濃密になった。このままではまずいが何が起こったか分からない以上、待つのは悪手だから攻撃を仕掛ける。だがそれより先に神からの未知の攻撃をくらった。





 僕は自分の攻撃がえんしょうにダメージを与えた事にまず安心した。これで駄目だったらまずかったからだ。僕がした事は単純で、雷に全てを滅する光を混ぜずに、生命の権能を混ぜ合わせる。それだとただの雷だけど、権能は技名を決め叫んだからかより威力を増した。生命の権能を混ぜ合わせる事で、相手の体内で雷が生命力を増しながら帯電する。よって一度受けたら、雷そのものを消し去ってしまうしか無い。雷を消し去ってしまうまでいくらでも生命力を増し、相手を攻撃し続ける。我ながらとんでもない技を作ってしまった。



 まだえんしょうは混乱中だ。僕はすぐさま次の攻撃に移る。次の攻撃は左手からだ。闇と死の権能の合わせ技。僕はそれを発動させる。



 「夜帳(よるのとばり)



 すると闇の空間がえんしょうの尻尾辺りを包む。その闇の空間が消え去ると、えんしょうの尻尾辺りが消滅していた。えんしょうは何が起こったか分からない様子でのたうち回る。



 僕がした攻撃の正体は、まず闇の空間を作りそこに全てを呑み込む暗黒を加え、最後に闇の空間内を死の権能で埋め尽くす。すると闇の空間内に呑み込まれた部分は、死の権能の力により死に絶える。そうする事で呑み込まれた部分は消滅したようになる。この技もなかなかえげつない。



 えんしょうはのたうち回る事しか出来無い。そんな事をしていると、バランスを崩し転倒する。その隙に僕はトドメを決めにかかる。まだ雷はえんしょうの身体に帯電しているし、尻尾辺りの消滅も決して無視出来無い。トドメを刺す技は決めている。それを発動させようとした直後、えんしょうが形振り構わず暴れ廻る。ブレスも吐きながら暴れ廻るので近づく事はおろか、僕を狙っている訳じゃないから攻撃が読みづらいので、技を発動させるタイミングが掴めない。しかもあれだけ広かった洞窟内だが、えんしょうが暴れ廻る事で所々ヒビや崩落が始まっている所が現れている。



 このままだとまずい。洞窟の崩落に巻き込まれてしまう。僕は攻撃用の技として生み出した技を洞窟内から脱出する為に使う。



 「暗野雲(あんのうん)



 ギリギリで脱出出来た。脱出した後すぐに洞窟が崩落した。僕はえんしょうを探す。いた。空を翔んでいた。空を翔んでいれば大丈夫だと思っているのか。そんな事は無い。【暗野雲(あんのうん)】はえんしょうに近づく事も出来る。



 能力は闇の空間を作りそこに入る事で転移する事が出来る。相手に使う場合は、闇のよく分からない未知のものといった力を使い、方向感覚や五感を奪う事も出来る。だから僕に距離は意味を成さない。



 えんしょうはブレスの構えを取る。僕はそれを真っ向から迎え撃つ事にした。先程発動させようとした技を使う。



 えんしょうは長い事溜めている。僕は出来るだけ威力を上げようとする。互いに悟っていた。次の攻撃が最後である事を。そうして僕達は同士に技を繰り出す。



    ブルゥアァァァ〜  「天破滅(あまのはめつ)



 凄まじい威力の攻撃がぶつかり合う。その余波だけで、大地はえぐれ空間は割れる。全身が軋み始めるが構わず技を繰り出す。ぶつかり合う中心では火花が飛び散り互いの技の欠片が辺り一面に降り注ぐ。その光景はキラキラ光る隕石みたいになっていた。僕は不覚にも美しいと思っていた。天地創造はこの様な光景なのだろうかと。



 えんしょうのブレスは熱線。僕の技は光線といった所か。技の中身は、全てを滅する光と生命の権能の混ぜ合わせ。技名を付けた事と生命の権能を混ぜ合わせる事で、威力は桁違いに上がる。しかも【朝御雷(あさみかづち)】と同じく時間が経つ程に生命力を増して威力が上がり続ける。光線に当たった側から滅されるので、いま降り注いでいる欠片でさえ脅威だ。現にえんしょうは光線そのものには当たって無いが、欠片に当たってしまっている。そこから徐々に滅されていっている。全て滅されるまでそう時間は掛からないだろう。



 えんしょうは自分が死ぬ事を理解しているのか、僕を道連れにしようとしている。だが僕は道連れになるつもりは無い。僕が勝利してこの闘いに幕を落とす。それ以外無い。僕は更に技の威力を上げる。えんしょうもそれに食らいつく。だが決着は呆気無かった。



 えんしょうの吐くブレスの勢いが弱まり僕の光線を押し返せなくなった。その結果光線に呑み込まれて跡形もなく消滅した。僕は技を止める。そして一息つく。落ち着いた所で、えんしょうの死骸など無いから全て嘘だった様な気がするが、僕の神様としての格は明らかに上がっていた。僕はえんしょうを倒した事を実感し叫んだ。



 「えんしょう討ち取ったり〜。」



 あぁこの達成感素晴らしすぎる。このゲームだけだこれを味わえるのは。神ゲーだ。



 一段落つき僕は早速人間の棲家に向かう。えんしょうを倒した事で感謝されて信仰されるだろう。人間からの信仰とはどんなものだろうか。僕はハイテンションのまま歩く。



 棲家に着いたらまず掲示板に今日の事を書き込もうか。それに僕以外のプレイヤーがどうなってんのか知りたいしな。他のプレイヤーもこの達成感を味わえているだろうか。そんな事を考えていると棲家に着いた。その時僕は自分が想像している様な事が、起こらない事を知らなかった。



 棲家に着いて僕は大きな声で、



 「みんなもう大丈夫。えんしょうは僕こと天朝別夜(あまのあさことよる)が倒した。これからは僕が皆を守り導こう。」



 決まった。サイコーにクールだ僕。さぁ拍手喝采して出迎えてくれ。だが僕の予想に反して拍手喝采は無い。どうしてかなと思っていると、



 「えんしょうさまをたおすなんて。」



 「わしらはこれからどうすれば。」



 「もうおしまいじゃ。」



 「あんたのせいでわたしたちは。」



 「みなのものこやつをたおすのじゃ。」



 あっるぇ〜なんだこの反応。思っていたのと違いすぎる。どしてこんな事に。僕はただ生贄を求める悪い奴を倒して皆を救った救世主じゃん。なしてこんな反応。あんまりだ。



 僕が若干パニックになっている間に皆は僕を囲んでいた。ここからどうすれば信仰されるだろうか。僕は頭を抱えた。

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