四話
尾を叩きつけられた僕はその後地面に叩きつけられる。一瞬意識が飛んで意識が戻ると今度は全身に今まで味わった事のない痛みが走る。
「いたい! 痛い!! いた たすけて!!」
僕は涙と鼻水をたれ流しながら痛みに耐える。いや耐える事は出来無い。どうしてどうしてどうしてどうしてゲームなのにこんなに痛いのか。さっぱり分からない。頭の中はぐちゃぐちゃ心は折れ欠け満身創痍だった。
グルワァー
龍が吼える。何か来る。それだけはぐちゃぐちゃの頭の中でも理解出来た。早く此処から逃げないと。死んでしまう。だけど痛すぎて身体を動かせない。
ブルゥアー
何かしてきた。最初それが何か分からなかったけどだんだんと龍が火を吐き僕を燃やしている事を理解する。
「あああぁあぁーあぁーあぁあああぁあああぁー」
声にならない叫びが出る。
熱い暑いアツいあつい暑いアツいあつい熱い暑いアツいあつい熱い暑いアツいあつい暑いアツい暑いアツい熱い。
死ぬ死ぬ死ぬと思って心が折れる。だが死なず燃やされ続ける。神体は丈夫でなかなか死ねない。それがかえって生地獄だった。
どれくらい経っただろうか。龍が火を吐くのを辞めた。僕はもう立ち上がる事は出来無い。心が折れてしまった。龍が何かを言っているが理解出来無い。僕の意識は落ちた。
「なんだ貴様。火神か? だから我の炎に耐えられたのか? いや違う。 最初は燃え尽きそうだったのにだんだんと耐える様なかたちなった。 それが貴様の権能か!?」
えんしょうは苛立っていた。我の前に神が現れる事になったからだ。神はこの世界を遊び場としか思っていない。好き勝手にルールを敷き自分勝手に行動する。それが神。我らの様にこの世界で生まれた存在ではない。そんな奴らが好き勝手するのは許せない。そんな事を思いながら次の攻撃を繰り出そうとする。その瞬間我は死を確信した。
僕は目を覚ます。何が起こったか理解出来無い。いや理解したくない。何故何故何故何故こんな事になった。僕はただ神様に成ってこのゲームを遊びたかっただけなのに。理不尽だ理不尽だ理不尽だ理不尽だ理不尽だ。僕はなにもしていない。あぁなんだこのゲーム。クソゲーだろ。僕は吼えた。僕は神様だ僕は神様だ僕は神様だ僕は神様だ。そう自分に言い聞かせる。すると不思議な事に折れていた心が持ち直す。あぁ神様は最強で最恐なんだ。こんな奴には負けられない。僕は神様だ。意識が朦朧とする中で僕はしっかりと立ち上がる。
僕はえんしょうを倒すために僕の権能を使う。イメージする。僕がえんしょうを倒す所を。僕の権能で天界と冥界を統べる、この二つは今意味がない。だからそれ以外。光と闇、生命と死、そして不壊。これらの権能を用いてえんしょうを倒す。
左手に光を、右手に闇を、自身に生命を、えんしょうに死を。不壊はよく分からない。意識すれば神体は硬くなるのだろうか。まぁこれで行こう。
左手が眩しく光る。右手が黒く染まる。僕はその両手を持ってえんしょうに向かう。えんしょうは両前足を握りしめ殴りかかる体勢。
そのえんしょうに向かって両手を振り抜く。えんしょうも同時に両前足を振り抜く。
ズガァーン
両手と両前足がぶつかったとは思えない凄まじい音がする。洞窟内がぶつかった余波で揺れ動く。
あぁやり合う事ができている。それなら恐れる事はない。光と闇を強くする。もっともっと強く。光と闇まだどんな権能かよく分からないけどこれが今の僕の攻撃手段。効いているか分からないが止める訳にはいかない。
だんだんと押されて来る。僕は一度間合いを取る。バックステップした後すぐに今までいた場所にえんしょうの両前足が突き刺さる。
ズドーン
これまた凄まじい音だ。膂力はえんしょうのほうが上。ここが洞窟内でよかった。これが外だと空を翔んで僕は手出し出来無い事になっていただろう。
さてどう倒す。光と闇は強く強く強くと思いながら両手に纏わす。先ほどよりも眩しく、黒く染まる。今度は尾を叩きつけようとしてきたので、僕はえんしょうに向かって走り出す。尾が叩きつけられた。
ズバーン
僕はそれをえんしょうに近づく事で回避する。そしてえんしょうの顎下を両手でぶん殴る。
ガキィーン
鱗を殴ったとは思えない感触。思った通り凄まじく硬い。そしてえんしょうにダメージはない。すぐさま僕を噛み殺そうとしてくる。僕はそれを横に回避する。
ガン
歯と歯が合わさる。あれに噛まれるとヤバイな。僕は更に光と闇を強くする。そして僕自身に生命の権能を用いて生命力を上げる。えんしょうには死の権能を。今の所生命と死は光と闇のように目に見えないため分からないが、権能のレベルが低いから殺せないだけでレベルが上がると死を与える事が出来るかもしれない。期待しておこう。
ここでお互いに無言の様子見。相手の出方をうかがっている。しばらくするとえんしょうが吼えた。僕も吼えた。
グルァー ああああああぁー
まだまだ終わらない。闘いの再開だ。