これからのために
様々な属性の魔法を手の上で出したシオンに仲間達は頭を抱えた。
「今だにシオンお嬢様の事を侮っていました」
「いや、どうしてこんな凄い能力が知られていないんだ!?隠していた?全然隠してないじゃん!?自分でバラしてるじゃん!?」
「お嬢ってバカなの?」
「どうして敵に手の内をバラすんですかぁ~シクシク」
何故かシオンの仲間達がパニクっていた。
「昔から仕えている仲間も知らなかったのか………」
「普段は聡明なのに、時々わからない行動を取られますなぁ~」
だからシオンは~~みたいな空気になっていた。
「あんた達ねぇーーー!!!!いい加減にしなさいよっ!!!!」
「「「お前がなっ!!!?」」」
ぴぇっ!?
全員に反論された。
解せぬ!?
そこにクスクスッと笑い声が聞こえた。
「マジで規格外なヤツだなぁ?」
「本当に。面白いものが見られて良かったわぁ~」
城壁の上から笑いながら答えた。
「さて、そろそろ名残惜しいが、おいとまさせて貰うぜっ!」
「楽しかったわぁ~また遊びましょうなぁ~」
ピキッ!?
「ここまでしてこのまま帰れると思っているのか!?」
「ああ、思っているね」
ジグモが腕を上げて指をパチンッと鳴らすと背後から20人ほどの仲間が現れた。
!?
「仲間がいたか!」
「確かに幹部二人だけって事はないか………」
仲間達は交戦するのか見逃すのか、シオンに視線を送った。
「………まだ春夏秋冬の見習いレベルか。でも20人もいると厄介ね。弱すぎる訳でもない。仕方がないわね」
敵の実力を見抜く目もシオンの特技の一つだった。
「安心しろ。オレ達は完全に帝国から撤退する!最後の仲間を脱出させる為にここにいたに過ぎない!」
なるほど。
メイゲン伯爵は金さえ積めば誰でも通すって話だったわね。国内の暗殺者達も、ここから国外へ逃がしたのかしら?
「できればもう会いたくはないわね」
「オレもそう思うが、他国で力を蓄えたらまた会えるかもな?」
「うふふっ、うちもまた会いたいものですわぁ~」
「そうね。私も奴隷にした女性達を口封じで皆殺しにした事は忘れないわ。絶対に償わせてやる!」
ギランっと鋭い視線をお互いに交わすとシュッと消えるように去っていった。
『オレ達よりここの伯爵を追わなくていいのか?隠し通路から逃げているかもなっ!』
最後にそんな声が聞こえた。
「私の護衛騎士達はここでしばらく傷を癒しつつ、奴らが戻って来ないか見張っていて下さい。ハルとアキは私についてきて」
「「かしこまりました!」」
シュルルルル!
タンッ
シオンの側に【風車】(かざぐるま)が刺さった。
「あら?グットタイミングね。秋桜からだわ」
括りつけられた手紙を読むと、事前にメイゲン伯爵家を探っていた秋桜は、秘密の脱出口を見つけており、そこを潰してくれたらしい。メイゲン伯爵は脱出できず屋敷に手勢を集めて閉じこもっているみたいだ。
「良い仕事するじゃない♪」
シオンはニヤリッと嗤うとメイゲン伯爵の屋敷に乗り込むわよ!と号令を掛けるのだった。
シオン達が城門からメイゲン伯爵の屋敷に向うと、多くの怪我人がいた。
!?
「これはどうしたのだ!」
ブルーネット公爵が状況説明を求めた。
「はっ!メイゲン伯爵の屋敷を取り囲んだ所までは良かったのですが、屋敷に手強い配下がいるようで、なかなか突入が出来ておりません!装備から裏稼業の者達ではないかと思われます!」
「チッ、なるほどな。シオンが裏稼業の奴らを粛清しまくっていたからな。逃げ出すのをメイゲン伯爵を頼ったのか」
「でも、少しおかしくない?どうしてサッサと国外へ逃げなかったのかしら?」
考えるシオンに秋桜が現れて答えた。
シュッタ。
「失礼します。どうやら裏稼業の奴らはメイゲン伯爵を、今までの繋がりから脅迫していたようです。今まで散々、目ざわりな人物を消す依頼をしていたようですので」
「はぁ~自業自得じゃない」
同情はできないわね。
「メイゲン伯爵は逃げられず最後の悪あがきをしようとしているので、帝国中に散った裏稼業の奴らが集まっているなら好都合よ!一気に大掃除と行きましょう!」
「はい!お供します!!!」
ハルとアキは元気に返事をするのだった。
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