懲りないヤツ
【作者から一言】
お陰様で執筆が進み、1日も絶える事なく毎日更新ができています。
すでに10話分ほど書き溜まっており、予約分を入れると、久々に100話達成しました。
物語は佳境に差し掛かり終盤に迫っております。
どうか最後までお楽しみ下さい。
2人が大きくため息をついているとシオンは続けた。
「なにを2人でため息をついているのよ!それよりも、ようやく暗殺依頼を出していたメイゲン伯爵家の証拠を掴んだんでしょう?逃げられる前にカチコミをかけるわよ!」
「シオン……無理と無茶をするなと言ったばかりなのを忘れたのか?」
「覚えているわよ!あんな恥ずかしい……そ、そんなことより!私の大切な仲間が傷ついたのよ?それにお母様も狙われた!私が黙っている訳ないでしょう?」
シオンの目が鋭くなった。
これは冗談ではなく真面目な話である。
「冗談ではなく本気なんだな?」
「ええ、もう油断も慢心もしないわ。大切な人を傷つけられて、我慢なんかできない性分なのは知っているでしょう?」
ニヤリッと不敵に笑った。
「はぁ~~うちのお姫様は我儘で困るな。でもまぁ、やられて終わりっていうのは、オレも性分じゃないから気持ちはわかるけどな。仕方がない」
ゼノンはシオンと同じくニヤリとすると準備に取り掛かった。
「今日は遅い。北部に向かう準備をしてくる。明日の朝出発だ」
「了解よ。………ありがとう」
急にしおらしくしたシオンにゼノンはドキッとした。
「ね、寝坊はするなよ?明日の朝に迎えにくる」
「はい!………って、ゼノンもくるの!?」
驚くシオンに言った。
「当たり前だ!オレの見てない所でもうシオンが傷つくのを見たくないからな」
すでにお互いを名前で呼び合っている事に気付いていない。あのお尻ペンペンが二人の仲を縮めたのだろう。
(どういう理屈だよっ!?)
この1日のおかげで、距離的に帝都と連携して北部へ部隊を向かわせる事ができた。
そしてその夜───
「ようやく汚名を挽回できるチャンスがやってきた訳だ」
とある部屋に護衛騎士達が集まっていた。
ほとんどのメンバーがまだ包帯グルグル巻の状態だった。
「みんな、この度は本当にごめんなさい!」
すでに何回も頭を下げているエリザがまた謝っていた。
「エリザ、もういいから。オレ達は仲間だ。仲間がピンチなら助けるのは当然だろうが?」
「そうだよ。そんなに自分を責めなくてもいいから」
「そうそう、また飲みにいきましょう!」
エリザは涙を流しながら小さく、ありがとうと言った。
「さて、オレ達は先の戦いで無様な失態を犯していまった。これはエリザのせいではなく、オレ達の油断が招いた結果だ」
一同が頷いた。
「失態は次の作戦で挽回するぞ!」
「「おうっ!!!」」
まだ傷の癒えぬ者が多い中で気持ちを一つにしたシオンの護衛騎士達が闘気をみなぎらせて結束した。
そして夜が明けて次の日になりました。
「やぁシオン!清々しい朝だな」
「そ、そうですね」
顔を赤くしてシオンは横を向いた。
「ちょっと!うちのお嬢に何かしたのっ!」
身体に包帯を巻きながら、アキが腕を組んで仁王立ちして皇帝に突っかかった。
「ちょっとアキ!皇帝陛下に無礼でしょう!?」
慌ててハルが止めるがアキは止まらなかった。
「婚前まえにお嬢に変な事をしたらマリア様がただじゃおかないんだからね!」
清々しいほどの他力本願であった。
「アキ、私は大丈夫よ。ちょっと昨日、ゴニョゴニョされただけだから…………」
!??
シオンは真っ赤になって頭から煙もでてモジモジしていた。
「ちょっ!?マジでお嬢に【ナニ】したの!?」
「そうですよ!シオンお嬢様に何かあったら私が殺されるんですからね!」
アキはシオンの様子から取り乱し、ミスティも両親からシオンの身を守ると密命を受けている手前、いきなりヤッチャいましたなどと言われたら死刑レベルの話なのである。
「だ、大丈夫だから!ちょっとお尻を何度も触られただけだから!?」
ピキッ!?
その場が凍った。
「ちょっ!?まっ!?ちがっ!?誤解を生むような言いかたーーーーー!!!!!!」
必死に弁解する皇帝に、アキとミスティは目の色を変えて怖い顔になっていた。
「ミスティ~どう思う?」
「アキさん、これはギルティだと思いますね~」
武器を舐めながらジリジリとにじり寄る。
理由を知っているハルは、ニコニコと笑いながらただ見守るだけだった。
こうして、いつもの日常が戻ってきたシオン達でした。
最後までお読み頂きありがとうございます!
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