終焉
持ち込まれた証拠に、城を任されていた宰相はすぐに西部へと伝令を飛ばした。
ちょうどその頃、ゼノン皇帝がサラグモを凍り漬けにした頃であった。
秋桜は、帝都に残った兵力で北部のメイゲン伯爵を捕まえにいく事を期待していたが、律儀な宰相はいざと言う時の準備は指示したが、皇帝に確認の伝令を飛ばしたのだ。
そして同時刻───
「シオンお嬢様、お待たせしました!」
喜びながらハルが入ってきた。
シオンはベットで横になりながら書物(小説)を読んでいた。
「えっ?もう夕飯???」
ベットの側には飲み物や食べかけのオヤツなど置かれていた。
うむ。すでに立派なヒキニートになっていた。
「違います。シオンお嬢様を襲った常闇の蜘蛛の殲滅が完了しました。もう大丈夫ですよ!」
!?
「もう!?私のヒキニート生活の終焉か…………シクシク」
いや、何で泣いてんのよ!?あんた?
仮にも王妃になろうという人物がそれでいいのか?
すでに心までヒキニートにクラスチェンジしていまい手遅れだったか!?
「はっ!?いけない。いけない。そろそろ正気に戻って準備しないとね」
残念ながら、シオンは正気を取り戻し寝巻きを着替えた。そんな時、ちょうど来客があった。
「シオンは起きているかい?」
なんと、ゼノン皇帝がやってきたのだ。
あっぶねぇーーー!!!!
あんな姿と部屋は見せられないからね。
「皇帝陛下、こんな時間にどうされました?」
シオンは入口まで出ていき皇帝を出迎えた。
「もう大丈夫なのか?」
「はい!三食昼寝付きで、完全回復しました!」
両手を胸の前で拳を作り元気アピールをした。
「それは良かった。それと報告がある。シオンを襲撃した首謀者を倒した」
「えっ!?皇帝陛下が首謀者を倒したのですか!?」
「ああ、凍り漬けにしたんだが、お前の仲間が首謀者の顔を覚えていてな。サラグモと言ったそうだ。名前を聞く前に凍り漬けにしたからな。まさか幹部だとは嬉しい誤算だった」
二コリッとシオンに微笑んだ。
「わ、私の為にありがとうございました」
「うん。シオンも体調が良くなって良かったよ」
ゼノンは笑いながらシオンの顔を両手で掴んだ。
ホワイ?
「元気になってくれて良かったよ。君が自分を囮にして裏組織を釣ろうとした事を聞いたときのオレの気持ちがわかるかな?出発前にいったよな?無理しないようにと。そこに無茶もするなと、言わなかったオレが悪いのかな?」
シオンは首を振ろうとしたが、しっかりと掴まれている為に動かせなかった。
あう、あう、あう。
「さて、そんなシオンには罰を受けてもらおう。元気になったんだろ?」
「えっ!?いや!?、あ~~まだ体調が悪い………かな?」
「三食昼寝付きで完全回復したんだろう?オレがどれだけ心配したと思っているんだ!」
ゼノンはシオンを片腕を腰に回して持ち上げた。
この体勢は、ま、まさか!?
「う、うそでしょーーーーーーーー!!!!!」
「少しは反省しろっ!!!!」
お尻ペンペンされました。
うぎゃーーーーーーー!!!!!!!!!
けっこう痛かったよ?
ってか、恥ずかしくて死んじゃう。
シオンはお仕置きが終わった後、膝を抱えて黄昏れていました。
ル~~ル~~ル~~~
終わった。
もう終わったのよ。
この歳でお尻ペンペン…………
もうお嫁にいけない…………
いや、その旦那さんにされたんですけどね?
「皇帝陛下、ありがとうございます。これでシオンお嬢様も少しは【懲りる】と思います」
「いえいえ、護衛の皆さんもご無事で良かったです。特にリオン殿とは酒を飲み交わした仲だしな。知り合いが死ぬのは辛いので良かったよ」
なんか二人で話してるし。
すっかり、いじけモードのシオンでした。
シオンのお仕置きも終わり、ゼノンはハルから美味しいお茶を頂いている時、帝都から伝令が到着した。
「宰相からか」
ゼノンは手紙を読むとハルに渡した。
「これは………シオンお嬢様、秋桜が北部の領主メイゲン伯爵がシオンお嬢様を殺す依頼をした証拠が見つけたそうです」
キュッピーーーーーーン!!!!!
シオンの目が光った。
「よし!カチコミに行くわよ!!!」
うん。お嬢様が【懲りる】って言葉を【知らない】事を【知って】いましたよ。
ハルとゼノンは大きなため息を付くのだった。
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